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iPS細胞で動物再生医療を推進するVetanic、シードラウンドで1.5億円の資金調達を実施

PR TIMES / 2021年7月15日 14時45分

先進的な医療技術の獣医領域への応用をめざす大学発バイオベンチャー



2021年7月15日

株式会社Vetanic(本社:東京都 港区、代表取締役CEO:望月 昭典、以下「Vetanic」)は、慶應イノベーション・イニシアティブが運営するKII2号投資事業有限責任組合、QBキャピタルおよびNCBベンチャーキャピタルが共同で運営するQB第ニ号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資にて、1.5億円の資金調達を実施致しました。

Vetanicは日本大学と慶應義塾大学発のスタートアップ・ベンチャーで、動物向けのiPS細胞由来再生医療等製品の開発を進めています。これまでイヌ等の一部の動物種では、マウスやヒトに比べiPS細胞の樹立が困難(多能性誘導耐性)であることが知られていました。日本大学生物資源科学部 獣医学科獣医外科学研究室 枝村一弥教授(獣医師)、久留米大学医学部動物実験センター 塩澤誠司准教授(元慶應義塾大学医学部生理学教室、獣医師)および慶應義塾大学医学部生理学教室 岡野栄之教授(医師)らは共同研究でこの課題を克服し、臨床応用に適したiPS細胞を作製する独自技術を完成、特許を共同出願しています(*1。本技術を用いて、iPS細胞由来イヌ間葉系幹細胞(MSC)をはじめとした多様な再生医療等製品の研究開発を推進、農林水産省に薬機法(*2に基づく動物用再生医療等製品として製造販売承認申請し、実用化を目指します。

動物医薬品市場は年平均成長率12.5%で拡大しており、2023年には610億ドルに成長すると見込まれています (*3。ペット保険が一般化し年々加入件数が増える中、先進的なヒト用医療技術を利用した動物向け高度医療件数も目覚ましく増加しています (*4。再生医療については現在自家幹細胞治療が主流であるため市場規模は限定的であるものの、世界的にもその治療効果への期待が集まっており、年平均40%近くの市場成長率で拡大すると見込まれています(*5。

近年、米国や欧州ではイヌ、ネコ、ウマなどのペット向け幹細胞治療を提供する企業が台頭していますが、日本においては現在、無菌操作などの設備要件を満たした少数の先進的な動物病院が、自ら脂肪由来MSCの調製を行い治療に利用するにとどまっています。これら細胞調製作業は煩雑であり、治療開始までのリードタイム、ドナーあるいは動物病院間での品質同等性、他家細胞治療における動物倫理あるいは治療費などの課題から、未だ広く普及するには至っていません。一方で、本邦では本年3月に世界初の動物用再生医療等製品(同種脂肪組織由来MSC製品)が薬機法に基づき農林水産省より製造販売承認を受け、今後市場拡大を後押しすると期待されています (*6。
このような市場環境のなか、Vetanicはドナー依存性の低いiPS細胞を用いた再生医療等製品の開発を目指します。

Vetanicの技術は、新たに見出した初期化因子セットをウイルスを用いずに遺伝子導入し、最適な培養条件によって、多能性誘導耐性の高いイヌ等の動物種においても臨床応用に適したiPS細胞を得ることが可能です。

[画像: https://prtimes.jp/i/83002/1/resize/d83002-1-c9f3e1009df037ac36a1-0.png ]



この臨床グレードのiPS細胞をマスターセルバンク化することで、ドナーに依存することなくMSCを誘導することが可能となり、既存MSC治療の課題解決が図れます。更に、現在多方面で開発が進んでいるヒトiPS細胞応用再生医療に倣い、多様な再生医療等製品の獣医領域での開発にも応用可能です。

また、Vetanicが開発するiPS細胞由来再生医療等製品は、国際的な展開が可能です。日本は過去50年以上に渡り狂犬病が発生していない、世界的にも稀な狂犬病フリー国です。(*7 iPS細胞という日本発の世界的な技術を基に作られた、先進的かつ安全な製品を全世界の市場に届けるべく、開発して参ります。

これからもVetanicは、本iPS細胞を利用することでこれまでの技術課題を解決、高品質・低コスト、ドナーフリーで倫理的な再生医療等製品の開発・普及を促進し、より多くの動物たちの健康的で幸せな生活を通じて、人々へも幸福を届けて参ります。



iPS細胞とは

細胞を培養して人工的に作られた多能性の幹細胞のこと(人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell))。2006年8月に京都大学の山中伸弥教授らにより世界で初めてiPS細胞が作製され、その画期的な功績から2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞した。山中らは、皮膚などに分化・成熟した体細胞に4つの初期化遺伝子を組み込むことで、あらゆる生体組織に成長できる受精卵のような万能な細胞を作ることに成功した。この技術を基に現在数多くの再生医療技術の開発が国内外で進められている。


間葉系幹細胞(MSC)とは

MSCは体にもともと備わっている幹細胞(体性幹細胞)の一つで、自己複製能と他の細胞への分化能を持つ細胞である。iPS細胞に比べると分化できる細胞のタイプが限られているが、骨、軟骨、脂肪、神経、肝細胞など、様々な細胞に分化できるという性質を持つことから、再生医療への応用が注目されている。既にヒトにおいて承認済みのMSC製剤も販売されており、疾患治療の実績が積み上げられつつある。現在臨床的には脂肪や骨髄、末梢血などから採取・増殖したMSCが用いられている。


*1) 「さまざまな動物種からiPS細胞を作出する方法の確立-幹細胞を用いた細胞工学の基盤となる重要なリソース-」 https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2021/4/2/210402-1.pdf
*2) 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
*3) Animal Medicine Global Market Report 2021: COVID 19 Impact and Recovery to 2030 https://www.gii.co.jp/report/tbrc990336-animal-medicine-global-market-report-covid-impact.html
*4) 動物高度医療センター発表データ https://ssl4.eir-parts.net/doc/6039/tdnet/1966819/00.pdf
*5) Animal Stem Cell Therapy Market: Growth Opportunities to Tap into in 2020 https://www.medgadget.com/2020/01/animal-stem-cell-therapy-market-growth-opportunities-to-tap-into-in-2020-qyr-consulting.html
*6) DSファーマアニマルヘルス株式会社発表 https://animal.ds-pharma.co.jp/pdf/20210322_press.pdf
*7) 厚生労働省 感染症情報「狂犬病」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/

株式会社Vetanicについて
Vetanicは大学発の再生医療技術の社会実装をめざして設立したバイオベンチャーです。科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム<社会還元加速プログラム(SCORE)>発ベンチャーとして、創業いたしました。(https://www.jst.go.jp/start/result/score.html
独自の動物iPS細胞樹立技術を基盤として、世界展開可能な、間葉系幹細胞をはじめとしたドナーフリー・高品質の再生医療等製品を開発します。

■ 会社概要
会社名:株式会社Vetanic
所在地:東京都港区浜松町2丁目2-15
代表者:望月 昭典
設 立:2021年1月8日
資本金:1億5785万円(資本準備金を含む)
URL:www.vetanic.com


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