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トークセッション「2020渋谷 文化が動かすまちづくり」 実施レポート

PR TIMES / 2015年6月22日 10時19分

東京五輪、そしてさらにその先の未来に向かって。都市の文化を考えるシンポジウム

このトーク・セッションは、渋谷・恵比寿・原宿を拠点とする「あ・ら・かるちゃー文化施設協議会」が主催となって、渋谷エリアのまちづくりと文化について考える、2020年以降の未来に向けたキックオフ企画として開催されました。年間600万人もの集客力*をもつ、あ・ら・かるちゃー文化施設におけるネットワークの可能性とは何か。国内外にエリアの魅力をいかに伝えていくべきなのか。いま、多くの文化施設が抱える課題の展望を見出す契機となれば幸いです。 



■「あ・ら・かるちゃー文化施設協議会」について
「あ・ら・かるちゃー文化施設協議会」は渋谷・恵比寿・原宿を中心としたエリアに拠点を置く美術館や劇場、記念館をはじめとする文化・教育施設の連携機関として、地域に根差す文化・教育活動を行っています。地域の文化・教育施設の活動が街を活気づけ、地域創世の新たな原動力になることを目指しています。

パンフレット(日本語) http://syabi.com/contents/images/ala/map_jp.pdf
パンフレット(English) http://syabi.com/contents/images/ala/map_en.pdf

■加盟施設
NHKスタジオパーク、渋谷公会堂、トーキョーワンダーサイト渋谷、Bunkamura、戸栗美術館、ギャラリーTOM、渋谷区立松濤美術館、太田記念美術館、地球環境パートナーシッププラザ、国連大学、セルリアンタワー能楽堂、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館、渋谷区ふれあい植物センター、東京都立中央図書館、ヱビスビール記念館、山種美術館、国立オリンピック記念青少年総合センター、東京都写真美術館、東急シアターオーブ、実践女子学園香雪記念資料館、 こども科学センター・ハチラボ、コスモプラネタリウム渋谷、國學院大學博物館  計23施設(2015年5月現在)*
*トーク・セッション開催時(平成26年度)加盟施設は21施設

[画像1: http://prtimes.jp/i/13372/2/resize/d13372-2-851694-5.jpg ]



■開催概要
トーク・セッション「渋谷2020 文化が動かすまちづくり」

≪パネリスト≫
 井口典夫氏   青山学院大学教授
 高橋信也氏   森ビル株式会社顧問/六本木アートナイト2015事務局長
 吉本光宏氏   ニッセイ基礎研究所研究理事
≪モデレーター≫
 荒木誠    「あ・ら・かるちゃー文化施設運営協議会」事務局長/東京都写真美術館副館長
≪主催≫     あ・ら・かるちゃー文化施設運営協議会
≪後援≫     東京都、渋谷区
≪日時≫     2015年3月17日(火)14:30~16:30
≪場所≫     国立オリンピック記念青少年総合センター セミナーホール

■第一部 各パネリストによる基調講演

[画像2: http://prtimes.jp/i/13372/2/resize/d13372-2-334426-0.jpg ]

井口典夫氏(青山学院大学教授)

≪プロフィール≫
渋谷区生まれ。都心のまちづくりと文化活動に造詣が深く、NPO渋谷・青山景観整備機構や文化経済学会等の役員を務める。岡本太郎の大壁画「明日の神話」の渋谷駅招致や「渋谷芸術祭」ほか、多数のプロジェクトを企画・提案し実現させてきた。
≪講演内容(一部抜粋)≫
ふるさとである渋谷・原宿、そしていま私が働いている青山エリアの歴史を紐解いてみると、それぞれ多くの人々が交流し、創造できる場(文化施設等)があったことに気づきます。例えば青山の草月会館やVAN99ホール、原宿のセントラルアパートとラフォーレ、渋谷の天井桟敷館やパルコなどです。実際、岡本太郎、三宅一生、田中一光、糸井重里、寺山修司らは、そうした場に出入りしながら創造的な活動を続けてきたのです。同時に、交流と創造の場は創造したものを発信する装置ともなりました。街自体がメディアと化し、裏からコミュニティと企業が支えることで、渋谷・原宿・青山3エリアのそれぞれが溢れんばかりの個性と魅力を発揮してきました。
その後、私自身、現在の国土交通省にあたる組織に就職した関係でこの地をしばらく離れていたのですが、90年頃に戻ってきたところ、街に昔のような輝きがないことに気づきました。そこで、新たに交流の場を作るべく自ら動き始めたのです。まずはコミュニティと企業の交流の場として、渋谷・原宿・青山にまちづくり協議会を設置しました。協議会では、景観上ふさわしくない歩道橋を撤去したり、街の中心部を占拠している駐輪場を広場に変えたり、街路灯をスタイリッシュなものにデザインしたり、新たなイベントを企画したりする件について話し合い、その実現に努めました。例えば渋谷駅周辺においては、街に文化的な刺激を与えるため、岡本太郎の大壁画「明日の神話」を駅構内コンコースに招致し、同時に若手クリエイターの交流を図る「渋谷芸術祭」というイベントを立ち上げました。
今後は、防災問題やオリンピックへの対応が重要となります。後者では、例えば社会自体の変化が必須と考え、LGBT問題*などに真摯に取り組む予定です。
*セクシャルマイノリティを取り巻く問題


[画像3: http://prtimes.jp/i/13372/2/resize/d13372-2-576465-1.jpg ]


高橋信也氏(森ビル株式会社顧問/六本木アートナイト2015事務局長)

≪プロフィール≫
森美術館ゼネラルマネージャーで六本木アートナイト2015事務局長を務める。大学卒業後、安部公房スタジオに入団、ニューアート西武常務取締役や森ビル取締役を歴任。美術誌の企画・編集をはじめ、演劇・音楽公演のプロデュース、アートショップの企画などを長年にわたり手がける。
≪講演内容(一部抜粋)≫
通常は、美術館のマネジメントに携わっている立場ですが、今回は六本木アートナイトの事務局長として、今後の議論の参考になるかと思いまして、事例報告をしたいと思います。
六本木アートナイトはもともと、国立新美術館、サントリー美術館のオープン時に森美術館から働きかけて「六本木アートトライアングル」と称して地図を作ったり、PRを行ったことがきっかけでした。その後、東京都からパリで行われている「Nuit Blanche(ニュイ・ブランシュ)」(白夜)を展開しませんか、という働きかけをいただきました。それを私どもでは「アートナイト」と呼んでいるのですが、前回(2016年)オリンピック招致に向けた文化活動の一環として働きかけをいただき、森美術館、サントリー美術館、国立新美術館、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、六本木商店街振興組合、21_21DESIGN SIGHTに加入いただき、この組成ができました。そもそもこの「Nuit Blanche(ニュイ・ブランシュ)」は、夜を徹してアートを楽しみましょうというイベントで、ヨーロッパではすでに10都市以上の場所で開催されており、パリを中心に、ベルギーのブリュッセル、オランダやトロント、京都でも開催していると聞いています。六本木駅には、年間600万人弱くらいの人が、アートを目的として乗降していただいております。上野が漢字の「芸術」だとすると、六本木はカタカナの「アート」だと思います。その象徴的なイベントであり、やはり都市型の祝祭の一つの在り方を示していければと思っています。


[画像4: http://prtimes.jp/i/13372/2/resize/d13372-2-349847-2.jpg ]



吉本光宏氏(ニッセイ基礎研究所研究理事)


≪プロフィール≫
東京オペラシティや国立新美術館などの文化施設開発やアート計画のコンサルタントとして活躍するほか、芸術文化政策や文化施設運営、メセナなど、幅広い調査研究に取り組まれ、創造都市やオリンピックと文化についても詳しい。
≪講演内容(一部抜粋)≫
私からは、2012年のロンドンでどのようなことが行われたかを中心にお話ししたいと思います。オリンピックというと、スポーツの祭典と思われる方が多いと思いますが、実はオリンピック憲章の根本原則の第一という最も重要な理念の部分で、「スポーツを文化・教育と融合させる」と明記されております。そして、実際、近代五輪の祖と言われるクーベルタンは、「オリンピックというものはスポーツとアートの結婚である。」という言葉を残しています。そのくらいオリンピックの理念に芸術は重要であるということが、当初からあるわけです。
1964年の東京大会でもさまざまなことが行われております。美術部門4種目、芸能部門6種目。この「種目」というあたりに歴史を感じますが、10の分野、美術や舞台芸術の分野でさまざまな展覧会や公演が展開されております。中でも、東京国立博物館で行われた日本古美術展は、当時、鳥獣戯画や平家物語絵巻のような国宝級のものが出まして、40万人が来場した記録が残っています。
そして、64年東京五輪は、オリンピックの文化プログラムで大きな方向転換をした年になりました。というのは、それまでは、芸術といってもスポーツをモチーフにしたものでしたので、円盤投げをする人の彫刻や走る人の絵などでしたが、前回の東京大会ではそれをやめて、日本最高の芸術品を展示する形になりました。同時に、64年の東京大会は、デザインでも世界に大きなレガシーを残しております。いまや当たり前になっているピクトグラムが初めて開発されたのが東京大会でした。
そして、前回の2012年のロンドン五輪は、かつてない規模と内容の文化プログラムが実施されました。イベントの総数が約18万件、新しい作品が5,000作品以上生まれ、4年間で4,000万人以上の人が参加し、総予算220億円。実は、ここにカウントされていない予算もあるということで、本当はもっと大きいそうですが、そのように言われています。
そして、ここは特に重要だと思いますが、オリンピックの競技大会はロンドンで行われますが、文化プログラムは全国展開されました。1,000カ所以上で開催され、地方の小都市や町村も含みますが、ほかにも歴史的な建造物や自然環境、屋外などさまざまなところで行われています。彼らは、オリンピックを世界中のアーティストに開放してチャンスを与えました。204の国、これは実はアスリートが参加した国の数ですが、4万人以上のアーティストが参加しています。日本人のアーティストもずいぶん参加しました。ロンドンではこういうことが行われて、2020年東京でもどういうことができるかということを、東京都やアーツカウンシル東京、国のほうは文化庁が、今いろいろ検討している段階だと思います。

■第二部  パネルディスカッション (一部抜粋)
パネリスト :井口典夫氏、高橋信也氏、吉本光宏氏

[画像5: http://prtimes.jp/i/13372/2/resize/d13372-2-736171-3.jpg ]


[画像6: http://prtimes.jp/i/13372/2/resize/d13372-2-522278-4.jpg ]



≪トークテーマ:文化施設がまちづくりに果たす役割について≫
吉本:文化施設がまちづくりに果たす役割はいろいろあると思いますが、仮に2つに分けるなら、1つは新しい人々を呼び寄せる力が文化施設にはあって、芸術や文化に敏感な方が集まることで、飲食店やおしゃれなお店が増え、大商業地になっていく。芸術・文化が魅力になってまちに人を呼ぶ、これからはそういう時代になっていくと思います。もう一つ、文化施設がまちにあることは、それを運営するプロフェッショナル集団がいるわけで、文化施設以外の場所でプログラムを展開するときに、プロの集団がそこにいるということは非常に大きな意味があるのではないかと思います。

≪トークテーマ:オリンピックに向けて文化やアートができること≫
高橋:現代人のメンタリティを捉えるにはアートが非常に都合のいい器で、さまざまなものが織り込めるし、醸成することができます。都市型の祝祭感のメンタリティを受け止める、あるいはバックアップするといったことは、アートの重要な機能に今後なっていくのではないかと思います。
井口:国内外とも1964年当時とは全く違うオリンピックの受けとめ方になっている中、文化やアートにおいて同じようなことをしても何の意味もないと思います。よりチャレンジングでクリエイティブなことに取り組んでいかなければいけない。必要なのは多様性と寛容性です。そうした社会をつくるために、文化施設側で何か貢献できることがあるのであれば、率先して取り組むべきでしょう。

≪トークテーマ:今後、2020年に向けて渋谷がどのように変わっていくのか≫
井口:渋谷の文化は、表面上、企業等がリードしてきたように見えても、実は寛容なフィールド(コミュニティ等)が生み育ててきたものです。大事なのは自由であることで、街の様々な場においてお互いに認め合うという姿勢が変わらなければ、渋谷文化の未来は明るいと見ています。
高橋:渋谷の自由さ、多様さ、これが渋谷の今日性を保障していると思います。実は、それはアートのプログラムとも大変似通っていて、国際展のようなものが行われていく、美術館外での展示がたくさん行われていく、これが95年以降のグローバリゼーションとマルチカルチュラリズムの中での風潮、流れ、そういうことを象徴しているのではないかと思います。

≪トークテーマ:オリンピックでのアートフェスティバルの在り方≫
吉本:国際的なトリエンナーレなどで、アーティストがそこに行って、その場所の歴史、そこに潜んでいるものを、アーティストならではの目線ですくい取って、それを作品化していくことがいろいろ行われていると思います。2020年のオリンピックを東京で開催する上で重要だと思うのは、その地域ごとの歴史をよく考えるというか、もう一回そこにスポットライトを当てる必要があるのではないかと思います。人口も減り始め、大震災も経験して、原発の問題もあって、そういう中で、日本がこれからどういう社会を作っていうのかということは、オリンピックでさらに注目されると思います。その際に、東京がどういう姿になっているのかということもすごく重要で、そのときこそ、地域ごとの歴史や伝統、広い意味での文化をどう捉えてまちづくりに生かしていくのかということが、2020年に向けて大変重要かなという気がしました。
(撮影:高島圭史)

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