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日立とシンクサイトはAIを活用した細胞分析・分離システムの共同開発を開始

PR TIMES / 2020年7月2日 17時40分

株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)とAIを活用した細胞分析・分離技術を有するシンクサイト株式会社(代表取締役:勝田 和一郎/以下、シンクサイト)は、細胞分析・分離システムの共同開発を開始しました。日立は、再生医療のバリューチェーン*1において細胞の自動培養技術などを製薬会社に提供してきました。このバリューチェーンに細胞の分析・分離技術を加えていき、再生・細胞医薬品の製造コスト低減に貢献します。日立とシンクサイトは、今後、国内外の再生医療等製品の開発・製造を行う製薬企業、研究機関などと連携を進め、本技術の実用化をめざします。



[画像: https://prtimes.jp/i/58775/2/resize/d58775-2-383786-2.png ]



 白血病向けCAR-T療法*2が2017年に米国で、2019年には日本で承認されるなど、細胞を治療に用いる再生・細胞医薬品は急速に実用化が進んでいます。この再生・細胞医薬品のグローバル市場規模は、2020年の6,300億円から2025年に3.8兆円に到達することが見込まれています*3。再生・細胞医薬品を用いた治療が普及していくためには、治療に用いられる品質の高い細胞が再現性良く選別され、低コストかつ大量に安定供給されることが求められます。

 日立はiPS細胞大量自動培養装置や細胞培養加工施設(CPF:Cell Processing Facility)、生産管理システム、安全キャビネットなどを製薬会社、研究機関に提供し、再生医療などに関わるお客さまのさまざまなニーズに合わせてバリューチェーンを構築してきました。また、医薬品製造機器、体外診断機器の要素技術開発のため大学や研究機関、企業との共同研究を行い、さらに量産化試作、製造コストの低減に取り組み、再現性良く、長期間安定して稼働する製品の開発を行っています。

 シンクサイトは細胞一つひとつを染色することなく詳細かつ高速に分析し、目的とする細胞だけを高精度に分離する技術の研究開発を行ってきました。このような細胞計測・解析技術は、病気の診断など、生命科学研究や医療において基盤となる重要な技術であるものの、単一細胞から取得する情報量と分離速度の両立が困難でした。そこで、シンクサイトは、この両立を実現する「ゴーストサイトメトリー技術」を世界で初めて開発*4し、生命科学・医療分野での本技術の活用に向け、製薬企業や研究機関と共同研究を進めています。

 日立とシンクサイトは、それぞれが得意とする技術やノウハウを用い、AIを活用した細胞分析・分離技術の実用化に向け、細胞分析・分離システムの共同開発を開始しました。シンクサイトが有する細胞を無染色のまま高速かつ高精度に分離する技術と、日立の装置を安定稼働させるノウハウと量産化技術を組み合わせることで、既存の細胞分離技術では困難であった無染色での高速、高精度な細胞分離を、再現性良く安定して稼働する装置で実現し、再生・細胞医薬分野の課題である、細胞の安定的かつ低コストでの大量供給をめざします。これにより製薬会社の再生・細胞医薬品を大量に安定して生産可能になり、製造コストの低減に貢献します。

 今後、日立とシンクサイトは、本技術を再生・細胞医薬品製造の基盤技術とするため、大きな需要が見込まれる北米をはじめ、国内外の再生医療等製品の開発・製造を行う製薬企業、研究機関などと連携を進めていきます。また、日立グループの情報通信技術開発で培った高速デジタル処理技術も活用し、安全かつ高信頼の装置を、再生医療のバリューチェーンの中に組み込み、再生・細胞医薬品市場の発展に貢献することをめざします。

*1. 細胞製造の工程。材料となる細胞を起点として培養、検査、分離、加工、保存などのさまざまな工程がある。
*2. CAR-T療法:患者から採取した細胞に、がん細胞表面の抗原を認識し、攻撃するキメラ抗原受容体(CAR)を作りだせるよう遺伝子改変をした上で、再び患者の体内に戻すがんの治療法。
*3. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 再生医療研究課, 令和元年度再生医療・遺伝子治療の市場調査 最終報告書 (2020)。
*4. S, Ota et al., Ghost cytometry, Science, 360, 1246-1251 (2018).

■AIを活用した細胞分析・分離技術について
 シンクサイトが開発したゴーストサイトメトリー(Ghost Cytometry)技術を基盤技術にしたイメージング技術です。高速に細胞の構造情報を取得するイメージング技術と、その情報をリアルタイムで処理するデータ処理技術に先端マイクロ流体細胞分取技術を融合させたものです。特殊な構造化照明を用いて細胞を照射することにより、一次元に変換された構造情報を短時間で取得し、取得したデータから作成した機械学習(AI)モデルにより、リアルタイムで識別した細胞を、細胞へのダメージを抑えたマイクロ流体デバイス中で分離します。
 このデータ解析アプローチにより、人が認識するための画像の再構成が不要になるため、細胞一つひとつの構造分析を高速で行いながら分離することが可能になり、これまで人間の目で判別が容易ではなかった細胞の識別も可能になりました。そのため、従来の方法では、選別の目印のために抗体等で染色する必要があった細胞を、染色することなく分離することも可能になっています。再生・細胞医薬領域に加え、創薬や体外診断の領域においても革新をもたらす活用が期待されています。

■日立製作所について
 日立は、IT(Information Technology)、OT(Operational Technology)およびプロダクトを組み合わせた社会イノベーション事業に注力しています。2019年度の連結売上収益は8兆7,672億円、2020年3月末時点の連結従業員数は約301,000人でした。日立は、モビリティ、ライフ、インダストリー、エネルギー、ITの5分野でLumadaを活用したデジタルソリューションを提供することにより、お客さまの社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献します。
 詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

■シンクサイトについて
 シンクサイトは、東京大学および大阪大学で生まれた先端技術を元に、2016年に設立されたライフサイエンスおよび医療の発展と革新をめざすスタートアップ企業です。先端イメージング、機械学習、マイクロ流体等の異分野技術を組み合わせて、次世代型のイメージ認識型高速セルソーティング技術を開発しています。この基盤技術を用いることで、新しい再生・細胞医薬や創薬、医療検査診断を実現させ、革新的な治療や診断に貢献することを目指しています。2019年6月には経済産業省よりJ-Startupの1社に認定されています。
 詳しくは、シンクサイトのウェブサイト(https://thinkcyte.com/)をご覧ください。

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