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西粟倉村から人と二ホンウナギの持続可能な関係づくり。世界初、ASC認証をベースとした基準案による養殖場の審査を受審&資源回復を目指し購入したシラスウナギの半分を放流し効果的手法の開発を目指す

PR TIMES / 2018年4月2日 17時1分

エーゼロ株式会社(岡山県西粟倉村、代表取締役:牧大介)は、人や自然の本来の価値を引き出し地域の経済循環を育てていく事を目指し、ローカルベンチャー育成事業や自然資本事業に取り組んでいます。 2016 年からは村内の旧小学校でウナギ(ビカーラ種)の養殖を開始し、2017 年より「森のうなぎ」として蒲焼を販売してきました。養殖場の熱源には村内の製材所から発生する端材を活用し、資源循環型の産業づくりを行っています。



この度、当社は人と二ホンウナギの持続可能な関係作りを目指した活動を開始いたします。責任ある養殖水産業を認証する国際的な制度「ASC認証」の考え方をベースに、認証機関のアミタ株式会社(東京 都千代田区、代表取締役:佐藤博之)が試作した二ホンウナギの独自基準を元に、5 月上旬に審査を受け、現状の課題を洗い出します。「ASC認証」は魚種ごとに基準が策定されておりますが、二ホンウナギの基準は未策定のため、他魚種の基準を参考に審査が行われます。絶滅危惧種であるニホンウナギに関して、正式な「ASC認証」が発行される事はすぐには困難ですが、今回の審査結果をオープンにする事で、二ホンウナギの持続可能な利用についての社会的議論が高まる事を期待します。

また、当社は二ホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の記録的な不漁を受け、養殖用に購入したシラスウナギの半数を、4月中旬に放流する事を決定しました。これにより、蒲焼として消費されるはずだったシラスウナギの半数を川に戻す事ができます。また、資源回復に貢献するとして、養殖場で育てたウナギの放流が全国で行われていますが、放流後の生存率や繁殖への寄与度が課題となっています。当社では、野生復帰しやすい、飼育期間のごく短い段階での放流を実施します。大学の研究者とともにモニタリングをすることで放流の効果を検証し、現行の放流を改善することにつなげたいと考えております。

二ホンウナギの資源問題には、養殖に利用する稚魚「シラスウナギ」のトレーサビリティ、河川環境の悪化、海流の変化、持続可能な消費量の設定、そもそもの資源量の正確なデータ不足など、多岐に渡る課題が複雑に絡み合っています。これらの課題を全て解決し、持続可能な資源管理と利用のモデルが構築されるには何十年もかかるかも知れません。それでも美味しい鰻の蒲焼を、そして人と鰻が楽しく共存する 河川を未来に残すため、まずは「ASC認証をベースとした持続可能な養殖基準」と「購入したシラスウナギを活用した効果的な放流方法の開発試験」に取り組む事にしました。人と二ホンウナギの持続可能な関係を再構築するために、エーゼロは社会のテコになりたいと考えています。
[画像: https://prtimes.jp/i/26928/6/resize/d26928-6-807773-0.jpg ]



■ エーゼロ株式会社 ウェブサイト:http://a-zero.co.jp/

■ 想定されるご質問への回答
Q. ASC認証とは?
A. 「ASC(Aquaculture Stewardship Council: 水産養殖管理協議会)認証」は、環境に大きな負担をかけず、地域社会(人権や労働等)に配慮した養殖業を「認証」する国際的な認証制度です。

Q. 絶滅危惧種のニホンウナギでは、ASC認証は取れないのではないか?
A. その通りです。そもそも二ホンウナギを対象とした ASC基準は制定されていません。本取り組みが将来の基準化づくりの参考になる事を期待しています。また、ASC認証の基準の一つ”天然個体群への影響の軽減”も、絶滅危惧種の天然稚魚に依存する現在の養殖では満たす事ができません。エーゼロは河川でのウナギ調査も実施する計画で、流域での持続可能な資源管理の構築に貢献したいと考えております。

Q. 二ホンウナギが絶滅の危惧に直面しているのに、消費して良いのか?
A. 二ホンウナギは個体数の少なさではなく、その減少速度が急速であるために絶滅危惧種に指定されています。そのため、適切な資源管理が実現できれば、持続可能な利用は可能だと考えます。ただし、持続的な利用を実現するにあたっては多くの課題があることもまた、現実です。保護のために蒲焼を食べないという選択をする個人の意思は尊重されるべきですが、それでも他の人が食べてしまえば資源の枯渇は続いてしまいます。当社は、蒲焼の消費が資源の回復につながる仕組みを模索したいと考えています。NPO等の立場で、資源問題に警鐘を鳴らすのも重要ですが、資源を守りながらもビジネスが成り立つモデルを構築する事で、ウナギ業界を変える事が出来たらと考えています。日本の大切な食文化である鰻の蒲焼を将来の世代にも残したいと考えています。

Q. シラスウナギはどこから調達したか?トレーサビリティーは確保できているか?
A. 利根川のシラスウナギを、現地の川魚取り扱い店から購入しました。買い取り時の場所情報や文書、画像なども記録しています。今後も一層のトレーサビリティの確保に取り組みます。

Q. 現行の放流の問題点は?
A. 現在、全国で行われている放流は、養殖場で育てられた、成長が悪くて食用にならないウナギが用いられており、かつ養殖の環境下で性比はオスに偏っています。当社では、雌雄の分化が起きる前の、ごく短い飼育期間の稚魚を、成長速度の選抜を行わずに放流する事で、効果的な野生復帰と繁殖への寄与を目指します。放流に関する研究が進んでいるヨーロッパでは飼育期間の短い、3グラム未満の小さな稚魚の放流が効果的であるとの知見が得られています。本取り組みでも同じように、短い飼育期間、小さいサイズでの放流を試みます。科学的には明らかになっていない事が多いので、モニタリングで効果を検証しながら、効果的な放流方法を探っていきます。

また、本取り組みでは、通常であれば、蒲焼用に養殖されるウナギの 50%を放流に回すため、蒲焼消費量の低減に確実に貢献します。

Q. 放流が生態系に与える悪影響は?
A. 既に二ホンウナギが生息している河川で放流します。今年シラスの来遊が少なかったのでそれを補充するという位置づけです。既存の生態系への悪影響はないと考えていますが、モニタリングを通じて、生態系への影響を注視していきます。なお、ニホンウナギは単一の繁殖集団を有し、地域個体群には遺伝的な相違が確認されていません。このため、人為的な移動による遺伝的な悪影響は想定されないと考えています。

Q. 放流調査をする前に、まず資源量調査をしておくべきでは?
A. 将来的には、資源管理の方法を確立し、適切な漁獲量、消費量を設定する必要があると考えます。そのため、当社では資源量指標の調査も計画しています。その上でまず、現状で開始できる取り組みとして、資源量回復を目指した効果的な放流の試験を開始する事にしました。

Q. モニタリング調査はいつまで続けるのか?
A. まずは、今年と来年に放流した稚魚が定着する事を確認します。繁殖個体として川を下るのは 5~10年先です。モニタリング結果を公開し、研究者や地元市民の参加を呼び掛ける事で、継続した活動にしたいと考えております。

Q. モニタリング調査の内容は?
A. 耳石染色による再捕獲調査により、放流個体の河川での定着率を調べます。

Q. モニタリングに協力する研究者は?
A. 中央大学の海部建三先生です。

Q. 放流のコストは?
A. シラスウナギの購入費用は約 110 万円かかりました。購入したシラスウナギの半数を放流します。それ以外に、放流前の養殖費用、モニタリング費用などがかかります。

Q. エーゼロはビカーラの養殖を継続するのか?
A. ビカーラ種の養殖は 2019 年をもって廃止します。ビカーラはニホンウナギより絶滅危惧のランクは低いですが、資源量のデータが少なく、今後需要が増大する可能性があります。エーゼロは日本の自然に生息する二ホンウナギを扱い、人と二ホンウナギの共生を目指します。

Q. 今後の取り組みの展開は?
A. 二ホンウナギの資源については、まだまだ分かっていない事が沢山あります。一つ一つ仮説検証を重ねて行きたいと思います。また、弊社だけでは、取り組みにも限界があるため、情報公開を積極的に行い、多くの方々とのパートナーシップを築けたらと考えています。また、当社はシラスウナギの池入れ枠を 0.5 kgしか持たない小規模事業者なので、今後、池入れ枠を譲って頂ける養鰻業者がいらしたら取扱量を増やし、更に大きなインパクトを与える事ができたらと考えています。

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