SRF無線プラットフォームの通信規格に準拠する機器認証を開始
PR TIMES / 2021年12月27日 14時15分
~製造現場向け無線通信を安定化し、IoTで生産性を向上~
フレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)*1は、製造現場の様々な用途として混在して利用される多様な無線システムの安定化を図ることができるSRF無線プラットフォーム*²の通信規格に準拠する無線機器を認定する認証プログラムを開始しました。本プログラムでは、適合性試験、相互接続試験を指定のテストサイトで実施し、その結果をもとにFFPAが通信規格に準拠する製品を認定します。認定した製品が普及することにより、製造現場に混在している多様な規格、世代、ベンダーの無線システムが共存及び協調でき、可視化や統合管理が可能となる仕組みが実現されます。無線通信を管理するコントローラは、認定されたマルチベンダーの無線機器を監視、制御することが可能となるため、ユーザーが安心して製造現場に無線通信システムを導入することが可能となります。
【背景】
工場では自動化・省人化や変種変量生産への対応のため、ロボットや自動搬送機などの制御や、リアルタイムに人や製造設備からの情報を得て、AIやIoTを活用した検査、分析、作業支援などを行う機会が増えてきています。ニューノーマル時代を迎えたいま、常に人が現場に張り付くことなく、遠隔監視・遠隔作業が可能となる生産プロセスへ移行しつつあります。こうしたなか、移動する搬送機や人に対する通信手段を提供するため、また情報化された設備の設置容易性を高めるために、無線通信を幅広く利用する機運が高まっており、無線機器の導入が着実に広がっています。
一方で、工場で使用される通信機器は、規格や世代が混在し、通信システムの用途や、ベンダーも異なります。特に従来の無線システムの場合には、システム間の調整がされず、通信障害の問題が発生することがあります。また、レイアウト変更や周囲の構造物の移動による電波の遮蔽や反射の影響、他の無線システムからの干渉などの要因により、安定した通信ができなくなることがあります。さらに複数の無線システムを利用する場合には互いの干渉による通信品質の劣化など、さまざまなリスクがあります。こうしたリスクを低減するために、通信や電波の状態を製造現場全体で可視化し、適切に無線機器を制御し、統合管理をすることが重要になります。
FFPAは、こうした課題に取り組み、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の提案によるSRF無線プラットフォームをシステムの基本構成として採用し、複数の無線システムが混在する環境下での安定した通信を実現する通信規格を策定してきました。各ベンダーが開発した無線機器をつなぎ、無線通信の可視化と統合管理を容易に実現するために、SRF無線プラットフォームの技術仕様を策定し、2021年10月に一般公開しました。
【認証プログラムの狙い】
FFPAは、SRF無線プラットフォームの通信規格に準拠する無線機器を認定する認証プログラムを開始しました。本プログラムでは、適合性試験、相互接続試験を指定のテストサイトで実施し、その結果をもとにFFPAが通信規格に準拠する製品を認定します。認定した製品が普及することにより、製造現場に混在している多様な規格、世代、ベンダーの無線システムが共存及び協調でき、可視化や統合管理が可能となる仕組みが実現されます。無線通信を管理するコントローラは、認定されたマルチベンダーの無線機器を監視、制御することが可能となるため、ユーザーが安心して製造現場に無線通信システムを導入することが可能となります。
SRF無線プラットフォームでは、Field Managerと呼ばれるコントローラ、SRF Gateway/AP、SRF Device、SRF Sensorなどの機器でシステムが構成されており(図1、2)、それぞれの機器には設定、ポリシー制御、監視を行う機能が実装されています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/38161/9/resize/d38161-9-ae58cf9a7c2a2fc14dd4-0.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/38161/9/resize/d38161-9-3075fda037cf0b2d4782-1.png ]
適合性試験、相互接続試験では、テストツールや参照デバイスを用い、機器間でやりとりされるメッセージが通信規格に適合し、適切に通信が行われることを検証し、合否の判定を行います。FFPAは判定結果を確認し、合格した製品に対してロゴ(図3)を付与します。認証プログラムの概要については、FFPAのウェブサイト ( https://www.ffp-a.org/document/jp-index.html ) をご覧ください。
[画像3: https://prtimes.jp/i/38161/9/resize/d38161-9-84df6672ba0f4f6827fe-2.png ]
SRF無線プラットフォームの技術仕様(Ver.1.1)は、FFPAのウェブサイト ( https://www.ffp-a.org/contact-spec/ ) から無料でダウンロードすることができます。なお認証プログラムへ参加するためには、FFPAの会員になる必要があります。FFPAの入会方法など、詳細についてはFFPA事務局 ( info@ffp-a.org ) にお問合せください。
【今後】
現在策定を進めている技術仕様Ver.2.0では、製造現場の無線化を更に進展させるために、5Gを収容する機能を追加し、5Gと免許不要周波数帯の無線技術の協調制御を実現します。さらに、ネットワークトポロジーを拡張して、有線と無線が混在するネットワークへの対応や無線カバレッジの拡大などを可能とします。
FFPAでは引き続き、製造現場の様々な情報の可視化と、ネットワークに接続された設備の統合管理を可能とするSRF無線プラットフォームの普及を促進し、製造現場の生産性向上のための無線通信の利活用を推進していきます。
<用語解説>
*1フレキシブルファクトリパートナーアライアンスについて
フレキシブルファクトリパートナーアライアンスは、複数の無線システムが混在する環境下での安定した通信を実現する協調制御技術の規格策定と標準化、および普及の促進を通じ、製造現場のIoT化を推進するために2017年7月に設立された非営利の任意団体。
メンバー企業は、2021年11月末現在、オムロン株式会社、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、国立研究開発法人情報通信研究機構、日本電気株式会社、富士通株式会社、サンリツオートメイション株式会社、村田機械株式会社、シーメンス株式会社、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター。会長は、アンドレアス・デンゲル(ドイツ人工知能研究センター)。
https://www.ffp-a.org/jp-index.html
*2 SRF無線プラットフォーム
多種多様な無線機器や設備を繋ぎ、安定に動作させるためのシステム構成。SRF(Smart Resource Flow)は、マルチレイヤシステム分析を用い、製造に関わる資源(人、設備、機器、材料、エネルギー、通信など)がスムーズに流れるよう管理するシステム工学戦略。SRF無線プラットフォームの技術仕様は、FFPAによって策定されている。
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