GEヘルスケアとロシュ・ダイアグノスティックス、心不全防止に向けた早期診断方法の確立で協業
PR TIMES / 2020年3月23日 16時5分
近年増加する心不全の早期の発見で、臨床および経済効果を促す
※ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社様からも同様のニュースリリースが配信されております。
国内の医療における課題解決に取り組むヘルスケアカンパニー、GEヘルスケア・ジャパン株式会社(本社:東京都日野市、代表取締役社長兼CEO:多田 荘一郎 以下、GEヘルスケア)と、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長兼CEO:小笠原 信、以下ロシュ)は、心不全予防のための早期診断方法の確立に向けて協業を開始しました。
超高齢化が進む日本では、がん、認知症、心疾患など複数の疾患を抱える患者さんが増加の一途にあり、中でも循環器疾患の増加が顕著で、予後が悪く、身体的・経済的負担も大きい要介護の原因にもなっています。2018年12月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が成立し、2019年12月1日に施行されました。循環器病の中でも近年増加しているのが心不全であり、新規発症数が毎年増加することから、2025年には新規発症数が約37万人に上るともいわれています(※1)。
心不全の診断には、自覚症状や身体所見、心電図、胸部X線、および心不全のバイオマーカー検査を行い、心不全が疑われる場合は、心エコー図検査を実施し心不全の程度を分類する方法があります。今回の協業では、ロシュ・ダイアグノスティックスが提供する心不全バイオマーカー、NT-proBNP検査と、GEヘルスケアが業界の中でも早くに開発を進めてきた超音波の機能の1つ、心臓の壁運動を定量評価するスペックルトラッキング法によるGLS(Global longitudinal Strain、心筋の長軸方向における伸び縮みの割合)を、新たな指標として加えることで、より詳細な心不全のリスク層別化が行えるとともに、従来のLVEF(※2)だけでは確定できない潜在的な心不全患者の早期発見を目指します。
この新たな診断方法が地域で共有されれば、診断技術の平準化、医療機関同士の連携強化が促され、心不全の予防や、早期の治療への介入につながることが期待できます。さらに、入院化率の低減を含む医療費の大幅削減などの経済的な成果にもつながります。
GEヘルスケア代表取締役社長兼CEOの多田は次のように語っています。「予後の悪い心不全は病状をいち早く確実に見つけ出し、重症化する前の段階で提供するケアの重要性が注目されており、そのために必要となる精密な診断を可能にする技術が求められています。弊社では、心臓の精密な診断を行うために必要な超音波によるGLSの開発をいち早く進め、2005年に国内の販売を開始しました。また、ロシュのNT-pro BNPは、心不全の存在や、重症度の判定に於いて最も信頼できる指標として、既に世界中で使用されています。この度、両社の歴史と実績による強みが、心不全の早期発見に向けた、新たな診断方法の確立に活かされることを嬉しく思います。」
ロシュの代表取締役社長兼CEOの小笠原信は、次のように語っています。「病気の予兆を掴む方法には、我々ロシュが専門とする血液等の検体検査、そしてGEヘルスケアが専門とする画像診断があります。心不全については、ロシュが提供するNT-proBNPという心不全マーカーで、血中の同成分を定量する事で心不全の予兆や重症度を判定することに加え、GEヘルスケアの斬新な技術を組み合わせる事で、より精度の高い早期診断方法の確立が期待されます。」
日本循環器学会理事を務める奈良県立医科大学 循環器内科 斎藤能彦教授は、以下のように述べています。「心不全は、ひとたび発症すれば後戻りできない怖さがあり、高血圧や糖尿病など生活習慣病を抱え、将来の心不全リスクのあるステージAから、難治性・末期といわれるステージDまでの4つに分類されます。ただ、このステージの診断には、医師の間であってもバラつきがあるのが現状です。重要なのは、ステージAの段階でどれだけ発見し予防できるか、AからB、BからCの段階にかけて心臓の機能に何が起こっているのかを、わかりやすい指標をもって明らかにすることです。心不全マーカーや、超音波の技術、スコアを用いることで、それぞれのステージの境界線が、これまでよりも分かりやすくなる可能性があります。また、糖尿病のみで通院中の症例、高血圧のみで通院している症例、或いは 風邪の症状で初めて受診された症例をみて、専門医でなくとも、心不全かもしれないと疑えるかどうかが、早期発見、早期介入においては極めて重要で、そのような環境を創っていかなくてはならないと思います。」
GEヘルスケアとロシュ・ダイアグノスティックスは、今後は、がんと循環器疾患を併発した患者さんの早期発見への応用も目指していく予定です。心血管疾患を合併する高齢者の増加を背景に、がんと循環器が重なる領域を扱う腫瘍循環器学という新しい分野での臨床研究が注目されています。
※1) 出典:脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会 (なぜ、今「脳卒中・循環器病対策基本法」が必要か)
http://www.junkankitaisaku-motomerukai.org/wp-content/uploads/2018/10/20181017pamphlet.pdf
※2) LVEF:Left Ventricular Ejection Fraction(左室駆出率)
左心室 心筋の収縮機能を評価する代表的指標。急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版/P10)では、その収縮の程度によって、心不全のタイプを4つに分類しているhttp://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_tsutsui_h.pdf
GEヘルスケア・ジャパン株式会社について
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、GEヘルスケアの中核拠点の1つとして1982年に創設されました。予防から診断、治療、経過観察・予後管理までをカバーする「プレシジョン・ヘルス」の実現を目指し、インテリジェント機器やデータ分析、ソフトウェア、サービス等を提供しています。国内に研究・開発、製造から販売、サービス部門までを持ち、日本のお客様のニーズにお応えしつつ、日本が直面する医療課題の解決に取り組んでいます。日本における社員数は約2,000名、本社および60カ所の事業拠点があります(2019年4月1日現在)。ホームページアドレスはwww.gehealthcare.co.jp。
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社について
スイス・バーゼルに本社を置く世界有数のヘルスケア企業であるF.ホフマン・ラ・ロシュの診断薬事業部門の日本法人です。2020年1月現在、従業員764人、全国9都市に支店、物流センターを有し、体外診断薬・機器事業、研究用試薬・機器事業などを幅広い領域で事業を展開しています。私たちは、医療従事者の皆さまが最適な治療選択や意思決定が行えるよう、臨床検査の医学的価値および効率性を高めるソリューションをお届けします。
詳細は、http://www.roche-diagnostics.jpをご覧ください。
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