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鉄道旅客運賃の改定申請について

PR TIMES / 2022年5月13日 18時45分

 箱根登山鉄道株式会社(本社:神奈川県小田原市 社長:抱山洋之)では、5月11日(水)、関東運輸局長あてに鉄道線(小田原駅~強羅駅間)旅客運賃の変更認可申請を行いました。
 申請理由、申請内容は下記のとおりです。




1.申請理由
 当社鉄道線(小田原駅~強羅駅間)の輸送人員は、1990 年度の10,321千人をピークに逓減傾向となり2010年度には8百万人を下回る水準まで減少しました。その後、訪日外国人旅行者の増加を受けて2017年度には8,221千人まで回復したものの、令和元年東日本台風(19号)被災に伴う一部区間運休などにより、2020年度はピーク時の4割となる4,134千人まで大幅に減少しました。
 このような厳しい事業環境下にあっても、輸送の安全確保という鉄道事業者としての最大の使命を全うするため、開業100年を超え老朽化したトンネルなどの設備改修・マクラギや電柱の更新工事などを計画的に実行し保安度の向上を図ってまいりました。また、お客さまの利用環境改善施策として、新型車両アレグラ号を就役させたほか交通系ICカード乗車券「PASMO」を導入するなど、便利で快適なサービスの提供に努めてまいりました。これに加えて、2020年度には令和元年東日本台風(19号)被災に伴う災害復旧により、被災前の運輸収入を上回る規模の設備投資を余儀なくされました。この結果、減価償却費が10年前と比較して7割以上増加しているほか、設備維持管理コストも大幅に上昇しております。
 一方で、鉄道線の旅客運賃は、1997年4月の改定を最後に、以来25年間改定を実施しておりません(消費税率引き上げに伴う改定を除く)。この間、有人駅日勤化や運転業務・出改札業務の委託などによる要員の見直し、保守作業の効率化や鉄道施設の長寿命化などさまざまな経営合理化施策に取り組み、コストダウンを進め現行の運賃水準を維持してまいりました。
 今後について、引き続き鉄道輸送の安全確保と輸送サービスの維持を目的に、適時適切な設備投資とインフラの更新を実行しつつ、あわせて鉄道事業を健全に経営していく必要があります。公共交通としての役割を果たすための費用削減には自ずと限界があり、現行運賃水準のままでは中長期的な事業運営は極めて困難であると認識しております。引き続き経営合理化のための各種施策を推進し、固定費削減や生産性向上を不断の努力で実行してまいりますが、お客さまのご負担に配慮しつつも旅客運賃をコストに見合った適切な水準に見直すため、25年ぶりとなる運賃改定を申請することといたしました。

2.主な申請内容
(1) 鉄道事業の上限運賃認可制度について
 鉄道事業の旅客運賃については、「鉄道事業法」に基づき、鉄道事業者の「上限運賃」を国土交通省が認可する「上限認可制」となっています。鉄道事業者は認可された上限運賃の範囲内で「実施運賃」(お客さまから実際に収受する運賃)を設定することができます。当社鉄道線の現行の「実施運賃」は「上限運賃」と同額であり、認可後についても同様に設定をする予定です。詳細は、国土交通省関東運輸局長の認可を受けた時点であらためてお知らせいたします。

(2) 申請日および改定予定日
  申請日   2022年 5月11日
  改定予定日 2022年10月 1日

(3) 申請した運賃
 1. 普通旅客運賃(大人)
                             (単位:キロ、円)
[画像1: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-71614fceb0075e8d54cc-0.png ]

 2. 定期旅客運賃(通勤・通学/1か月)
                                     (単位:キロ、円)


[画像2: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-28a57ea4bac29813e79e-1.png ]


(4) 平均改定率
【鉄道線】 10.9%

(5) 定期旅客運賃の平均割引率
 通勤 43.1%(現行 40.8%)
 通学 70.1%(現行 68.9%)

(6) 主要区間の現行・申請運賃比較表
                                         (単位:円)
[画像3: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-b61b2ae18ebd26b967a6-2.png ]


※ 鋼索線(強羅駅~早雲山駅間)の運賃改定は実施いたしません。

(7) 平均改定率内訳
                                       (単位:%)
[画像4: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-d7ef350deea2fa79c095-3.png ]

※ 特別急行料金、座席料金の改定は予定しておりません。

3.鉄道線の収支実績および推定
                                    (単位:千円、%)
[画像5: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-b518490e359a080e1da5-4.png ]


4.鉄道線運賃収入の内訳
                                      (単位:千円)
[画像6: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-27bc31ba4280137f9576-5.png ]


5.鉄道線輸送人員の推移と今後の見通し
                                      (単位:千人、%)
[画像7: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-67e32d4506e2742e3351-6.png ]


※ 輸送人員推定は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う旅客需要減少の影響を除外して算出しております。
 このため、2021年度(推定)は実際の輸送人員とは異なります。

6.設備投資の実績および計画
(1) 設備投資実績と計画
                                        (単位:百万円)
[画像8: https://prtimes.jp/i/98471/11/resize/d98471-11-524b5c6bb012f86abace-7.png ]

※ 2020年度の安全対策工事のうち3,297百万円は、令和元年東日本台風(19号)被害に伴う災害復旧工事であります。

(2) 主要な設備投資の内容
 鉄道事業の根幹である安心・安全・安定的な輸送サービスを継続的に提供するために、計画的に設備投資を実施しております。当社鉄道線は急峻な箱根山に路線が敷設されていることから自然災害による被害リスクが高いことに加え、路線敷設から100年以上が経過しており老朽取替などの維持・更新投資が必須となることなどを踏まえて、今後も計画的かつ効率的に設備投資を実行してまいります。主な設備投資は下記のとおりです。
 
1.令和元年東日本台風(19号) 災害復旧工事
 令和元年東日本台風(19号)は、2019年10月12日から13日にかけて当社鉄道線に大小合わせて21箇所の被害を 及ぼしました。特に箱根湯本駅~強羅駅間の大平台隧道、大沢橋梁、蛇骨陸橋、小涌谷踏切付近の4箇所は、甚大な被害を受け、同区間は9ヵ月間の長期運休を余儀なくされました。本工事は、被災した鉄道施設を復旧させ、列車の運行を再開するために施工したものです。

2.鉄道車両新造工事および車体再生工事
 鉄道線の車両については、輸送力の増強(3両連結運転)、旧型車両の代替等を目的に2014年度より新型車両アレグラ号の導入を進めてきました。同車両は、景色を楽しんでいただくために大型の窓を採用し、車いすスペースや大型の荷物を置けるラゲッジスペース、多言語案内表示器を設置するなど、旅客サービスの向上を実現しました。また、インバータ制御採用により下り勾配時のブレーキで発電した電力を有効活用する回生制動を実装し、消費電力の削減に寄与しています。
 また、製造から30年以上が経過し、車体の腐食や搭載機器の老朽化が進んでいる鉄道車両の延命対策として車体再生工事を実施し、当該車両の安全性や安定性の更なる向上を目指します。

3.駅舎改築工事
 箱根板橋駅および入生田駅は、ともに1935年に建築された建物で経年により老朽化が著しく、お客さまにもご不便をおかけしていたため、駅舎建物を改築し付帯施設(トイレ棟や車寄せスペースなど)と一体的に整備することで、お客さまサービス向上を図りました。その他の駅についても、お客さまの安全性や利便性に配慮しつつ、駅舎の改築を計画してまいります。

4.法面防護工事
 当社鉄道線は急峻な山間部に沿うように敷設されているため、斜面からの落石により列車の安全運行を支障する事象が想定されます。このため、当該落石事象を未然に防止するため、リスク評価に応じ優先順位をつけつつ、今後も継続的に落石防護設備を設置してまいります。

7.経営合理化の実施状況および今後の取り組み
 当社はこれまで鉄道事業の安定的な運営のために、小田原駅の共同利用駅化と他社への業務委託、保守作業の効率化等に資する小田原駅~入生田駅間の三線軌道から通常軌道化、更にはトンネル覆工改良等の施設の長寿命化など、安全・安定輸送および旅客サービスを担保したうえでのコストダウンに資する諸施策を実行してきました。
 また、2022年4月には箱根ロープウェイ株式会社と合併し、めまぐるしい事業環境の変化に柔軟に対応できる機動的かつ効率的な経営体制を構築いたしました。
 今後についても鉄道事業を健全に運営するという社会的責任を全うするため、安全対策・サービス向上施策とのバランスを図りつつ安定的かつ効率的な運営体制の構築に努めてまいります。

8.発売している主な企画乗車券
 当社沿線を含む箱根山内を周遊するお客さまの利便性向上を目的として、さまざまな企画乗車券を発売しています。2021年10月には、目的地や周遊エリアに応じた多彩な商品を導入し、箱根へ来遊する多くのお客さまに利用されています。これらの企画乗車券は、お客さまがスマートフォンで購入するデジタルチケットにも対応しており、シームレスでスマートな旅行を提供しているほか、「子育てファミリー」を応援する取り組みの一環として小児運賃を大幅に割引しており、お子さまと子育て世代が利用しやすい環境の整備に努めています。主な企画乗車券は下記のとおりです。

(1) 箱根フリーパス
 箱根登山線を含む箱根エリアの8つの運輸機関が、乗り降り自由となる周遊券(箱根登山線、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイ、箱根海賊船、箱根登山バス(指定区間)、観光施設めぐりバス、東海バス(指定区間)、小田急ハイウェイバス(指定区間)が乗り降り自由)

(2) 箱根登山電車1日乗車券「のんびりきっぷ」
 箱根登山線全線(小田原駅~強羅駅間)が乗り降り自由となる周遊券

(3) 登山電車・ロープウェイ「大涌谷きっぷ」
 箱根登山線全線、箱根登山ケーブルカーおよび箱根ロープウェイ(早雲山駅~大涌谷駅間)が乗り降り自由となる周遊券

(4) 箱根のりものパスLite
 箱根登山線(強羅駅~宮ノ下駅間)乗り降り自由に加えて、箱根登山ケーブルカー(早雲山駅→強羅駅)、箱根ロープウェイ(桃源台駅→早雲山駅)、箱根海賊船(元箱根港・箱根町港→桃源台港)、箱根登山バス(宮ノ下駅→箱根町港)がそれぞれ指定方向に片道1回限り有効となる周遊券

9.お客さまサービスの向上化施策
(1) 駅施設のバリアフリー化
 すべてのお客さまが当社鉄道線を快適にご利用いただけるよう、トイレ改修やホームの段差解消など駅施設の更なるバリアフリー化を計画的に推進してまいります。

(2) 鉄道施設の更新等による輸送の安全確保
 老朽化した車両や変電所設備など鉄道施設の維持・更新を計画的に推進し、鉄道事業の根幹である安全・安定輸送を継続的に提供する態勢を確保します。

(3) 運行情報・観光情報等の発信体制強化
 主要駅に設置している箱根エリア運行情報表示装置(箱根インフォビジョン)や当社ホームページにおいて、運行情報・混雑情報・観光情報等を発信していますが、情報発信の多言語化やコンテンツの充実を図り、訪日外国人旅客を含むすべてのお客さまに対して、適時適切な情報を提供するよう努めてまいります。

(4) 異常時(鉄道テロ・自然災害など)対応と復旧力強化
 鉄道従事員を対象とした安全研修や警察・消防・自衛隊と連携した訓練等、従業員の教育・訓練に注力し、お客さまの安全・安心に寄与する取組みを推進して、異常時対応と早期復旧が可能となる態勢を維持・強化していきます。

10.お問い合わせについて
(1) 箱根登山鉄道株式会社 鉄道部 TEL0465-32-6823
   営業時間 9:00~17:00(土曜・休日・祝日を除く)
(2) 箱根登山鉄道ホームページ(箱根ナビ) https://www.hakonenavi.jp
                                                

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