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ビオフェルミン製薬、糖尿病治療薬「メトホルミン塩酸塩」によって誘発される軟便をビフィズス菌が改善することを発見

PR TIMES / 2020年8月5日 13時15分

本研究成果は、『Bioscience of Microbiota, Food and Health (BMFH) 』に掲載されました。(7月28日オンライン)

 ビオフェルミン製薬株式会社(本社:神戸市、社長:北谷脩)の巻崎寛 研究員らは、2型糖尿病治療の第一選択薬として用いられている医薬品「メトホルミン塩酸塩(メトホルミン)」の投与によって起こる軟便に、腸内フローラの変化が関係している可能性があることを確認しました。また、ビフィズス菌Bifidobacterium bifidum G9-1(B.bifidum G9-1)を投与し、腸内フローラの変化を抑制することで、メトホルミンによって誘発される軟便を改善することを動物モデルで発見しました。さらに、ビフィズス菌(B.bifidum G9-1)はメトホルミンの血糖降下作用には影響を与えないことも2型糖尿病動物モデルを用いて確認しました。
 これらのことから、プロバイオティクスが、メトホルミンによって誘発される軟便治療の選択肢となり得ることが示されました(図)。



<研究成果のポイント>


メトホルミン投与後の軟便発生において、腸内フローラの変化が関係している可能性を確認した。
ビフィズス菌(B.bifidum G9-1)がメトホルミン投与によって起こる腸内フローラの変化を抑制することで、メトホルミンが誘発する軟便を改善する可能性が示された。
B.bifidum G9-1 はメトホルミンの血糖降下作用には影響を与えない可能性が示された。 



[画像: https://prtimes.jp/i/35690/21/resize/d35690-21-679695-1.png ]

 厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査の概況」によると、糖尿病の患者数は328万9,000人となり増加し続けています(平成29年10月現在)。糖尿病患者の95%以上といわれている2型糖尿病は、遺伝的な要因に生活習慣の乱れが加わって発症すると考えられていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。糖尿病患者は、その血糖値を維持するために長期にわたって継続的に治療薬を服用する必要があります。しかしながら、2型糖尿病患者における第一選択薬として使用されているメトホルミンは、下痢や腹部膨満などの副作用を引き起こす可能性があります。また、その副作用の発症メカニズムは不明でした。これら副作用の中でも発症しやすい下痢は、患者のQuality of Life(QOL)を低下させるだけでなく、メトホルミンから他の薬剤へ治療薬の変更が必要となり、患者の治療に不利益を生じさせる可能性もあります。そのため、メトホルミンによって起こる下痢への対策が課題でした。

【研究の背景】
 腸内フローラの変化によって下痢が発生することがあり、その治療薬としてプロバイオティクスの一つであるB.bifidum G9-1があります。
 メトホルミンに関する最近の研究により、メトホルミンの血糖降下作用に腸内フローラの変化が関与していることが分かってきました。しかし、メトホルミン投与によって起こる下痢の発症メカニズムはいまだ明らかではありません。
 そこで、メトホルミン投与による腸内フローラの変化がその副作用である下痢にも関与していると仮説を立て、腸内フローラ改善効果を有するB.bifidum G9-1の投与が、メトホルミンによる下痢にどのような影響を及ぼすのか、また、本来期待するその血糖降下作用への影響についても検討しました。

【研究の内容】
 ラットにメトホルミンを投与すると、軟便の発症とともに、乳酸菌Lactobacillusの減少傾向、 およびブドウ球菌Staphylococcusの有意な増加が確認され、腸内フローラの変化が観察されました。一方で、メトホルミンに加えてB.bifidum G9-1を投与した群は、メトホルミンのみを投与した群と比較し、軟便を引き起こす腸内フローラへの変化が抑制され、さらに軟便が改善されました。
 また、2型糖尿病動物モデル(マウス)において、メトホルミンの本来期待する効果である血糖降下作用に、B.bifidum G9-1は影響を及ぼしませんでした。更に、メトホルミンの血糖降下作用へ関与するとされている腸内細菌Akkermansiaはメトホルミン投与によって有意に増加しましたが、AkkermansiaはB.bifidum G9-1投与による影響を受けませんでした。
 これらのことから、B.bifidum G9-1は、メトホルミンの血糖降下作用に影響を与えることなく、メトホルミンが誘発する軟便を抑制できる可能性があると考えられます。

【今後の展開】
 今回は動物モデルでの研究であるため、ヒトにおいてB.bifidum G9-1の投与によりメトホルミン服用患者のQOL改善を示すかどうかは今後の研究課題です。

【用語解説】
・プロバイオティクス
 Fuller(1989)により「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義され、その後Salminen(1998)らにより、「宿主に保健効果を示す生きた微生物、またはそれを含む食品」と再定義されました。これが現在でも広く受け入れられています。

・Bifidobacterium bifidum G9-1(ビフィドバクテリウム ビフィダムG9-1)
  ビオフェルミン製薬が保有するビフィズス菌株。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギーを引き起こす原因物質を抑えるはたらきがあります。また、過剰なコレステロールや中性脂肪を下げたり、血糖値が上がるのを抑えるはたらきもあります。最近、アスピリンによる小腸粘膜傷害を抑制するという報告も発表されました。※動物モデルにおいて確認

・Akkermansia muciniphila(アッカーマンシア ムシニフィラ)
 ヒトの腸内にも存在する菌。胃や腸などで分泌される粘液の主成分であるムチンを分解・栄養源とする菌。肥満、糖尿病患者や動物モデルでA.muciniphilaの割合が減少していることから、疾患との関わりが報告されています。

・Lactobacillus(ラクトバチルス)
 主な乳酸菌の1つで、発酵食品や動物消化管など幅広い環境に存在しています。乳酸を産生することで周囲を弱酸性に保ち、病原菌に対し抑止力となります。抗生物質関連下痢症において、Lactobacillusの減少が確認されています。Lactobacillusの投与が抗生物質関連下痢症を改善するという報告もあります。

・Staphylococcus(スタフィロコッカス)
 ヒトの皮膚や粘膜にも存在する菌。菌の形態・配列がブドウの房状に見えることから、Staphylococcus(ブドウ球菌)と名付けられました。抗生物質関連下痢症において、Staphylococcusの増加が確認されています。Staphylococcusの存在が抗生物質関連下痢症に関連していることを示す報告もあります。

掲載論文
Bifidobacterium bifidum G9-1 ameliorates soft feces induced by metformin without affecting its antihyperglycemic action
Yutaka MAKIZAKI, Ayako MAEDA, Miyuki YAMAMOTO, Saya TAMURA, Yoshiki TANAKA,Shunji NAKAJIMA and Hiroshi OHNO
Bioscience of Microbiota, Food and Health (BMFH) 2020;39(3):145-151

~ビオフェルミン製薬について~
大正6年創業以来「乳酸菌のくすりで、おなかの健康を守り、すべての人が健やかに暮らせる社会に貢献する」を理念としております。数千種の細菌からなる腸内フローラに早くから着目し、そこで果たす乳酸菌の効果を追求することで、おなかの健康を支えてまいりました。幅広い領域で未知の可能性を探求し、乳酸菌の新たな価値を創造し、提供してまいります。

会社概要
会社名 : ビオフェルミン製薬株式会社
設立  : 1917年(大正6年)2月12日
本社住所: 〒650-0021 神戸市中央区三宮町一丁目1番2号三宮セントラルビル12階
会社HP : https://www.biofermin.co.jp

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