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腸内細菌が原因となる不安やうつ病からの回復を支援する有用菌、サイコバイオティクスとは?

PR TIMES / 2022年7月15日 10時15分

バランスの取れた食事が究極のサイコバイオティクス



世界で唯一、遺伝子と腸内フローラの検査結果を統合したレポートを提供しているパーソナライズドヘルスソリューション企業、Atlas Biomed(本社:英国 ロンドン、CEO:セルゲイ・ムシエンコ、子会社:アトラス日本合同会社(住所:東京都渋谷区、代表者:セルゲイ・ミュシエンコ、以下 Atlas Japan<https://atlasbiomed.co.jp/>は、Atlas Biomedに所属する、人と微生物の関係を研究しているロス・カーヴァー・カーターが6月10日に執筆した、「サイコバイオティクス:腸内細菌が原因となる不安やうつ病からの回復を支援する有用菌」と題する考察レポート 〈https://atlasbiomed.com/blog/psychobiotics-treating-the-mind-via-the-gut/〉の抄訳を発表しました。

私たちの腸内細菌は、免疫機能のサポート、神経系とのコミュニケーション、抗炎症性化合物の代謝など、健康と密接な関係があります。カーターは、今回のレポートで腸内細菌はいかに精神的な健康を向上させるのか、その可能性を検証しました。「サイコバイオティクス」とは気分や脳の機能に影響を与える有用菌(プロバイオティクス)のことです。
[画像1: https://prtimes.jp/i/75534/37/resize/d75534-37-f42b26c50a9a91958694-0.png ]


腸 - 脳 - 微生物叢の相互関係
腸と脳は、迷走神経<https://www.kango-roo.com/word/7115>をはじめとする複数の経路を通じて、常に双方向のコミュニケーションをとっています。この「腸脳軸」と呼ばれるコミュニケーションネットワークは、脳がつかさどる感情や認知の中枢と、腸の末梢機能を結びつけています。腸脳軸を介し、腸神経系は「第二の脳」と呼ばれ、腸から中枢神経系に信号を送り、気分を変化させるのです。

「ストレスで胃がムカムカする」という経験をしたことがある人ならわかるでしょう。ストレスは消化器系に影響を及ぼします。腸の不調は心の不調につながり、その逆もあり得ます。最近の研究<https://www.sciencefocus.com/the-human-body/psychobiotics-your-microbiome-has-the-potential-to-improve-your-mental-health-not-just-your-gut-heath/>では、腸内細菌が腸脳軸を介して精神面に影響を与え、それによって私たちの気分が良くも悪くも変化させる可能性があることが示唆されています。

腸内フローラとメンタルヘルスの関係を示す手がかり
ある症状の原因を探るとき、医者は探偵のように症状の手がかりを追いかけ、容疑者を絞り込むのと同じような作業を行います。腸内フローラは、うつ病をはじめとする数多くの精神疾患に関与しているといわれています。まず、うつ病、双極性障害、統合失調症などの精神疾患を持つ人は、腸内フローラのバランスが崩れ、腸の透過性が高まっていることがよくあります。これだけでは、腸内細菌が関与していることを示すのに十分ではありませんが、関連性を示唆しています。

うつ病を発症したマウスのマイクロバイオータ(腸内菌叢)を移植した別のマウスは、移植元のマウスに特徴的な行動をとるようになります。これは、腸内フローラと気分障害の間に因果関係があることを示唆しています。さらに、ある重要な研究<https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166223616301138>により、無菌環境で飼育され、腸内フローラが欠損したマウスは、過剰なストレス反応を示しますが、このマウスに特定のプロバイオティクス(人の身体に良い影響を与える微生物(生菌))を与えると、過剰なストレス反応が回復したことから、腸内フローラの関与がさらに明らかになりました。

腸内フローラの多様性が精神面に与える影響
腸内細菌がメンタルヘルスに影響を与える原因は、動物やヒトの研究によっていくつかのメカニズムが示唆されています。

まず、バランスが崩れ、多様性が低下している腸内フローラ異常は、炎症と正の相関があります。異常な腸内フローラが腸管透過性を高め、細菌が腸を経由して血流に流出するのを許してしまうのです。
多くの精神疾患は、血中の炎症性サイトカインレベル(細胞から分泌される低分子のタンパク質で生理活性物質)の上昇によって特徴付けられます。例えば、うつ病の人は炎症マーカーのレベルが高いことが観察されています。しかも、炎症性サイトカインを注射すると、ヒトの患者さんにうつ病が誘発されるのです。こうした事実を踏まえ、腸内フローラの乱れは腸の透過性を高め、細菌が血流に流れ込むことを可能にするという仮説が立てられました。その結果、炎症性サイトカインが血液中に増殖し、血液脳関門を通過することにより気分に影響を与えるのです。さらに、腸内フローラは、ドーパミン、γ-アミノ酪酸(GABA)、幸福ホルモンであるセロトニンなど、気分を変える複数の神経伝達物質を産生することが知られています。

サイコバイオティクス:心のためのプロバイオティクス
サイコバイオティクスとは、腸内フローラと気分との相互作用を通じて精神的な健康に寄与する細菌培養物のことです。

研究者は、腸内フローラと気分の関連性を踏まえて、最終的にプロバイオティクスで気分障害を治療できるのではないかという希望を抱き、サイコバイオティクスという新しい学問分野を作り出しました。
これまでのサイコバイオティクスの研究は、主にリスやネズミなどのげっ歯類に限定されており、ヒトを対象とした研究は少ないが、さまざまな結果が得られています。

1.動物実験
ある研究<https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166223616301138#bib0850>では、プロバイオティクスが仔ラットのストレスを最小限に抑えられるかどうかを検証しました。研究の結果、母親から引き離された仔マウスは、コルチゾールレベルなどの炎症マーカーが上昇するなど、強いストレス反応を起こしました。ところが、ビフィドバクテリウム・インファンティスを与えた仔マウスは、シタロプラムなどの一般的な抗うつ剤と同程度にストレス反応が低下したのです。

コロラド大学ボルダー校のクリストファー・ロウリー准教授(統合生理学)は、マウスを使い、熱殺菌した(抗炎症作用があることが知られている)マイコバクテリアムバッカエがストレス反応にどのような影響を及ぼすかを調査しました<https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7767237/>。ロウリー教授のチームはストレス反応を引き起こすために、マウスを優勢な攻撃マウスと一緒に飼育したマウスは、従順な行動をとり、大腸炎を発症しました。しかし、マイコバクテリウムで治療したマウスは、対照群と比較して、炎症と従順な行動のレベルが低下していたのです。

2.ヒトの研究
ある研究によると、循環サイトカインレベルが高い双極性障害患者は、炎症が少ない患者と比較して再入院率が高いことがわかりました。この結果に興味を持った研究者たちは、抗炎症性プロバイオティクスが影響を及ぼすかどうかを確認するために、無作為化対照試験<https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/bdi.12652>を設計・実施しました。

躁病で入院している33人の患者に、抗炎症作用があるとされる細菌、すなわちラクトバシラス・ラムノーサス(GG株)とビフィドバクテリウム・インファンティ(BB-12株)を投与し、残りの半数にはプラセボが投与されました。6ヵ月後、再入院した人数はプラセボ群で24人、プロバイオティクスを与えられた群で8人だけでした。注意すべき点として、「Journal of Functional Foods」に掲載された論文<https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S175646462200069X>では、この結果は決定的なものではなく、サイコバイオティクスの研究は非常に初期段階にあると説明しており、この論文でも、細菌の投与量や株は研究によって大きく異なることが示されています。

最近実施された15の試験を分析した結果、サイコバイオティクスは臨床的うつ病患者に対して有意な抗うつ剤様効果を発揮することが明らかになりました。上記の論文では、多菌種のサイコバイオティクスは単菌種の抗生物質よりも有意な抗うつ効果を示し、固形カプセルは液体のサイコバイオティクスよりも有意であることも明らかにされました。

それぞれに最適な腸内フローラがある
サイコバイオティクスの研究者が直面する永遠の課題は、人はみな固有の腸内フローラを持っているということです。さらに、バランスや多様性だけでなく、何が健康な腸内フローラを構成しているのかもまだ不明です。
おそらく、地球上にさまざまな生態系が存在するように、「健全な」腸内フローラは1種類だけではありません。健全なジャングルの生態系と健全な北極の生態系は大きく異りますが、どちらも安定して種が繁殖できることと同じです。

例えば、Atlas腸内フローラ検査<https://atlasbiomed.co.jp/microbiome>のような検査キットを活用すれば、非常に手軽に腸内環境の状況を可視化することができます。

[画像2: https://prtimes.jp/i/75534/37/resize/d75534-37-c926cc0105f0214af5d5-1.jpg ]


バランスの取れた食事は究極のサイコバイオティクス
食事は腸内フローラの構成を決定する強力な要素であり、特定の食事は一貫して気分の改善や認知機能の低下の抑制と関連しています。特に、植物性繊維、果物、豆類、ナッツ類、種子類を豊富に含む地中海食は、うつ病の治療に可能性を示しているのだそうです。地中海食には、善玉菌の増殖を促すといわれるプレバイオティクス食材が豊富に含まれています。

人間の体内の酵素は地中海食によく使われる植物性繊維、果物、豆類、ナッツ類、種子類といった食品をなかなか分解できないため未消化のまま大腸に送り込みます。大腸に入ると、腸内の何兆もの細菌がピラニアのように抵抗力のある炭水化物を発酵させ、酪酸などの抗炎症化合物を吐き出します。プレバイオティクスは善玉菌の肥やしとなり、腸内細菌の多様性を高め、腸内環境全体の健康を促進することができます。

サイコバイオティクスという言葉を作ったテッド・ディナン氏は、「Trends In Neuroscience Journal」に掲載された2016年の論文<https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166223616301138>で、プレバイオティクスをサイコバイオティクスの定義に包含すべきであると論じています。さらに、地中海食は、肥満、心臓病、脳卒中、全死亡のリスク低減を含む、健康上の利点がたくさんあると説明しています。

カーターは、このディナン氏のコメントを踏まえ、自分が摂取している食物や食事が自分の腸内環境に適しているか知りたい場合には、Atlas腸内フローラ検査を通じて食事のアドバイスを受けることが有効であるとしています。


[画像3: https://prtimes.jp/i/75534/37/resize/d75534-37-aa26e27c5a49198a4c7c-4.jpg ]

重要なポイント
<腸内フローラとメンタルヘルス>
ヒトと動物の実験的研究により、腸内フローラと脳機能、メンタルヘルスとの関連性が明らかにされています。
腸内フローラのバランスが崩れると、腸の透過性が高まり、それによって炎症性サイトカインが血液脳関門を通過することが示唆されており、また、k複数の精神疾患で、腸内細菌の異常と炎症が広く観察されています。
腸内フローラは、身体のストレス反応における重要なホルモン成分であるHPA軸の発達に重要な役割を担っています。さらに、腸内フローラはその構成によって、HPA軸の反応を活性化することも低減することもできることがわかっています。うつ病や統合失調症などの疾患においてHPA軸の調節障害がみられます

<サイコバイオティクス研究の現状>
サイコバイオティクスという言葉を作ったのはテッド・ディナン氏です。サイコバイオティクスにはプレバイオティクスが含まれます。サイコバイオティクスを開発しようとする研究者にはまだまだ多くの課題があります。
まず、プロバイオティクスに対する反応は、その人の腸内フローラ構成によって異なる可能性があるためサイコバイオティクスは将来的に、個人向け治療には開発に時間と費用がかかることが予想されます。

一方で食生活を変えることで、より安価で身近なサイコバイオティクスが実現できる可能性があります。なぜならプレバイオティクス食品は、腸内フローラにとって肥料のようなもので、有益な腸内細菌を増加させるからです。以下のような食品を意識的にとることで腸内細菌を増やすことができます。

チコリ根、 キクイモ、 生姜、 アスパラガス、 バナナ、 タマネギ



[画像4: https://prtimes.jp/i/75534/37/resize/d75534-37-f6b72594bd1385c4ca34-3.jpg ]

サイコバイオティクスの効果に関するさらなる研究が行われるまでは、プレバイオティクス繊維を豊富に含むバランスのとれた食事に焦点を当てることをお勧めします。

バランスの良い食事として知られている地中海食は、気分を安定させたり認知機能の低下を抑えることがわかっています。さらに地中海食は腸内フローラの多様性を高めることが確認されています。私たちが口にするものは、良くも悪くも私たちの精神面の状態を変えることができます。このことから、良質な食生活は気分障害の補完的あるいは代替的な治療法にもなると考えられます。

免責事項:この記事は情報提供のみを目的としたものです。専門的な医学的アドバイス、診断、治療の代わりとなるものではありません。

「Atlas遺伝子検査」
ユーザーの唾液サンプルから遺伝子データを解析・解釈・可視化します。予防・改善可能な疾患発症リスクにフォーカスした検査です。この検査によって2型糖尿病、クローン病、パーキンソン病などの13の多因子疾患発症リスクを評価するとともに個人特性・形質を判定します。科学的根拠に基づいたパーソナライズされた健康増進アドバイスを提供します。

「Atlas腸内フローラ検査」
ユーザーの糞便サンプルから微生物遺伝子を解析、解釈、可視化します。この検査でユーザーの腸内フローラの酪酸・ビタミン合成能力、食物繊維の分解能力、腸内フローラの多様性、プロバイオティクスと善⽟菌の状態を評価します。さらに2型糖尿病、クローン病などの5の疾患の発症リスクから腸内フローラがどの程度保護してくれているかを評価します。さらに腸内フローラのタイプを判定し、検査結果を基に、パーソナライズされた食事に関するアドバイスを提供します。 ユーザーの唾液、糞便サンプルはAtlas Biomedに送られ、分析されます。Atlas検査を受けたユーザーは、Atlas Biomedがオンラインで提供するパーソナルアカウントにアクセスし、検査結果、健康状態の改善に結びつくことが科学的に証明されているパーソナライズされたアドバイスやお勧めの食品を確認することができます。
Atlas Biomedについて

Atlas Biomedは、2016年にイギリスで設立されたパーソナライズドヘルス企業です。遺伝子および腸内フローラ領域の最先端技術と、ユーザーの遺伝子、腸内フローラ、ライフスタイルデータを組み合わせることで、健康状態を多面的に把握します。それらをもとにパーソナライズされたアドバイスを提供し、健康に関する意識向上及びデータに基づいた意思決定を支援します。

AtlasBiomedの検査キットは、英国、欧州16か国そして日本で提供しています。アトラス合同会社はAtlasBiomedの日本の子会社です。Atlas Japanは、日本のユーザーに遺伝子や腸内フローラに関連する最新の情報やアトラスバイオメッドの研究者による考察を掲載する、ブログページhttps://atlasbiomed.co.jp/blog/ を開設しました。メーリングリストに登録し、ブログを購読すると、最新の情報や10%オフのプロモードのプレゼントなどキャンペーン情報が届きます。

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