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BPO放送倫理検証委員会、フジテレビ『とくダネ!』2つの刑事事件の特集に関する意見を公表、放送倫理違反と判断

PR TIMES / 2018年2月8日 16時1分

http://www.bpo.gr.jp/

 放送倫理・番組向上機構[BPO] の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は、審議していたフジテレビ『とくダネ!』2つの刑事事件の特集に関する意見(委員会決定 第28号)をまとめ、2018年2月8日、記者会見して公表した。フジテレビの情報番組『とくダネ!』は、2017年7月、医師法違反事件の容疑者として全く別の男性の映像をインタビューも含めて放送し、また翌8月には放送時点では書類送検されていなかった男性を「書類送検された」などと放送した。委員会は、事実に反する報道で誤った情報を視聴者に伝えた2つの特集は、放送倫理基本綱領や日本民間放送連盟放送基準に抵触し、放送倫理違反があったと判断した。




はじめに

 今回の問題は、フジテレビの朝の情報番組『とくダネ!』で、全く別人のインタビュー映像を容疑者のものとして放送し、その約1か月後には裏付けが取れないまま、ある人物が書類送検され、「ストーカー登録」されたと報じたというものである。どんなに興味深いことがらであっても、裏付けが不十分なまま放送することは許されない。刑事事件に関連する情報であればなおさらである。放送への信頼を裏切るものであるし、犯人扱い、疑惑の人扱いされた人やその家族の怒りや苦しみ、不利益は無視できない。

 委員会は、刑事事件に関する容疑者の映像と手続きの進捗状況というセンシティブな情報について、同じ番組で誤りが続いたことは大きな問題だとして審議入りを決めた。
[画像1: https://prtimes.jp/i/4559/41/resize/d4559-41-108609-0.jpg ]



委員会の判断

 今回問題とした特集のうちひとつは、全く別人のインタビュー映像を容疑者のものとして放送した。また、もうひとつの特集は十分な裏付けのないまま京都府議会議員が書類送検され、「ストーカー登録された」と報じるなど、事実に反する報道で誤った情報を視聴者に伝えた。なお、府議は放送の翌日に書類送検されたが、放送の時点で十分な裏付けがないまま誤った情報を視聴者に伝えたことに変わりはない。

 これらの点で、2つの特集は、日本民間放送連盟放送基準「(32)ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない」「(33)ニュース報道にあたっては、個人のプライバシーや自由を不当に侵したり、名誉を傷つけたりしないように注意する」に抵触し、日本民間放送連盟とNHKで定めた放送倫理基本綱領の「報道は、事実を客観的かつ正確、公平に伝え、真実に迫るために最善の努力を傾けなければならない」にも反している。

 以上のことから、委員会は、2つの特集には放送倫理違反があったと判断する。

本件放送の要因と背景

 問題となったいずれの特集も、裏付けが十分ではない情報について、そのことに気づき誤りを修正する機会が何度もありながら見逃され、放送に至っている。
放送に携わる者は、先入観を持たない裏付け取材、基本手順の愚直な履行の大切さを常に意識する必要があろう。

 私たちは、これまでも、制作現場のスタッフに、「ほんのわずかなひと手間」「ほんのわずかな声かけ」「ほんのわずかな疑問の声」を求め、自分の仕事に最後まで責任を持つ強さがあれば、もっと面白い良い番組ができると指摘してきた。

 それは、今回も変わらない。

 集団的な制作体制では、分業が進む結果、互いの間に隙間が生まれやすい。誰かに任せられた仕事、自分の領域ではない仕事と考え、互いに遠慮と譲り合いをしてしまうと、大切な番組がその隙間に落ち込んでしまいかねない。それを救えるのは、番組の制作に参加している人たちの連携の力以外にはない。

再確認したい刑事事件報道の原則

 委員会は、今回の問題が起きた背景には、刑事事件の報道、容疑者に関する情報の取り扱いが機微にわたるもので間違いが許されないという意識の希薄化、緊張感の低下があるのではないかと危惧する。

 情報が誤っていたときの痛手は大きい。誤って、容疑者であると報道し、または手続きが進捗したと伝えて嫌疑が深まったかの印象を与えることは、その人の一度しかない人生を不当に傷つけることになり取り返しがつかない。

 このような刑事事件報道をめぐる問題意識は、現場で共有されていただろうか。これらの問題意識と想像力があれば、容疑者とされた人物の特定事項や容疑者に関する手続の進捗状況の裏付け取材は特に慎重にしなければならないことは、もっと実感を持って理解できるだろう。そうなれば、現場の一人ひとりが問題に直面したときに、もう一歩慎重に考えよう、ひと手間をかけようという意識を持てるのではないだろうか。

おわりに

 番組は、一人ひとりのスタッフの判断が積みあがった結果である。マニュアルによって細かな手順を整えるだけでなく、その手順を必要とする根源を知ることによって、日々新たな問題に直面したときの的確な判断が可能となり、失敗の防止につながるのではないだろうか。

 事実の真偽についても事実の評価の妥当性についても、玉石混交のネットの情報が既存メディアの情報と区別されずに提供される時代である。テレビが持つ優位性は、情報の正確さと取材の深さではないだろうか。テレビで放送していたからほんとだよ、という視聴者の信頼こそが重要である。

 全ての放送人が、取材は徹底的に、裏付けは慎重に、しかし、放送は果敢に、テレビ番組の可能性に挑戦し続けていくことを強く願っている。
[画像2: https://prtimes.jp/i/4559/41/resize/d4559-41-805072-1.jpg ]

[画像3: https://prtimes.jp/i/4559/41/resize/d4559-41-840399-2.jpg ]

■委員会決定の全文はこちらhttps://www.bpo.gr.jp/?p=9400&meta_key=2017

<参考資料>
「放送倫理検証委員会」運営規則 http://www.bpo.gr.jp/?page_id=903

■ 放送倫理・番組向上機構 概要
名称 : 放送倫理・番組向上機構[BPO]
放送事業の公共性と社会的影響の重大性に鑑み、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的とした非営利・非政府の団体。言論と表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対応する独立した第三者機関で、民放連およびNHKによって設置され、以下の三委員会から構成される。

委員会: 放送倫理検証委員会
     放送と人権等権利に関する委員会(放送人権委員会)
     放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)

住所 :  東京都千代田区紀尾井町1-1 千代田放送会館

理事長:  濱田 純一

URL :  http://www.bpo.gr.jp/

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