1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. プレスリリース

2018年「ロレアルーユネスコ女性科学賞―国際新人賞」 世界初、形状記憶マグネシウム合金の開発に成功!― 小川由希子氏 物質・材料研究機構 ―

PR TIMES / 2018年3月8日 15時1分

世界最大の化粧品会社ロレアルグループ、女性科学者の地位向上を目指して 



[画像1: https://prtimes.jp/i/4813/44/resize/d4813-44-345139-2.jpg ]

世界最大の化粧品会社ロレアルグループ(本社:フランス・パリ)とユネスコ(本部:フランス・パリ)は、将来を期待される若手女性科学者を表彰する奨学金部門2018年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞―国際新人賞」の受賞者15名を発表しました。日本から小川由希子(オガワ・ユキコ)氏、国立研究開発法人物質・材料研究機構 研究員の研究成果や将来性が高く評価され、パリ現地時間3月21日(水)に開催される授賞式において表彰されます。

●2018年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞―国際新人賞」に日本人受賞者!
ロレアルグループは2014年から、将来が期待される博士課程や博士研究員レベルの若手女性科学者を支援する「ロレアル-ユネスコ女性科学賞―国際新人賞」を設けています。生命科学、物理、化学、工学、数学の分野で世界的に評価されるトップ15名の若手女性科学者を表彰し、研究を支援しています。各受賞者に奨学金15,000ユーロ (約200万円)を贈呈します。

2018年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞―国際新人賞」を受賞した小川由希子氏 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 研究員が研究しているマグネシウム合金は、次世代の構造材料として電子機器部品や自動車部品などに使用されている一方で、加工性が悪いという欠点があり使用用途が限られていました。受賞した研究では従来のマグネシウム合金に比べ加工性と強度の向上を実現したほか、変形させても形状が元に戻る形状記憶特性を持つマグネシウム合金の開発に成功しました。マグネシウム合金における形状記憶特性の発見は世界初であり、本合金は最も軽い形状記憶合金となります。従って、軽量化により低燃費で環境に優しい自動車や打ち上げコスト削減のために軽さが求められる宇宙材料のほか、形状記憶特性により血管の狭窄による疾患の治療に用いられるステントとして広く応用されることが期待されています。

小川氏は「同賞は女性研究者を後押しすると同時に、研究内容をより広く知っていただく機会につながり大変有難く感じております。物質科学は近代社会の土台です。素材の特性を改良し、新素材を開発することによって、抜本的な技術革新に携わりながら世の中の縁の下の力持ちのような研究者になれればと思っております」と受賞の喜びを語っています。小川氏は、日本ロレアルが推進する2017年「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞に次いで、国際新人賞受賞という快挙を達成し、国内外において高い評価を得ています。

●科学分野における男女平等を目指して: 世界規模で女性科学者への支援を拡大 
女性が社会進出し、長期的キャリアを築いていくうえで未だ多くの障壁に阻まれ、とりわけ科学の分野では依然と女性科学者の割合は少数です。今日、研究者に占める女性の割合はわずか28%に過ぎず、1901年に科学分野のノーベル賞を創設して以来、女性の受賞者はわずか3%にとどまっています。
「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」は、1998年に設立以来20年間にわたって、世界100カ国超から、3,100名以上の女性科学者(奨学生3,022名含む)を支援しており、うち3名は科学分野のノーベル賞を受賞しています。国際新人賞とは別に、パリ現地時間3月22日(木)には、生命科学の分野で目覚しい業績を挙げた世界の優れた女性科学者を表彰する2018年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」の受賞者5名の授賞式を開催します。
ロレアルグループはユネスコと協力のもと、卓越した研究業績や科学分野への顕著な貢献を成し遂げている女性科学者の功績を称え、地位向上を実現すべく、今後も同賞を通じて、科学分野における男女平等を広め、より多くの女性が科学分野に進めるよう奨励していきます。

略 歴
2018年「ロレアル-ユネスコ女性科学賞―国際新人賞」受賞

小川由希子(おがわゆきこ)

[画像2: https://prtimes.jp/i/4813/44/resize/d4813-44-384896-3.jpg ]

出身地: 愛知県小牧市
生年月日: 1990年3月26日 (27歳)
出身大学: 東北大学大学院工学研究科 知能デバイス材料学専攻 
     小池研究室 卒 (日本学術振興会特別研究員 DC2)
現 所属: 2017年4月~ 物質・材料研究機構 構造材料研究拠点
    (~2017年8月 日本学術振興会特別研究員 SPD、
     2017年9月~物質・材料研究機構 研究員)
研究分野: 材料工学

【研究内容】世界初の形状記憶マグネシウム合金を開発: 次世代構造材料として医療や宇宙への応用拡大に貢献
自動車の燃費改善、電子デバイスの携帯化、医療装置用材料としての新たな利用において材料の軽量化がこれまで以上に求められています。マグネシウム合金は実用金属のなかで最も軽量な材料である反面、加工性が悪いという欠点からその用途は限られています。

本研究では、マグネシウムにスカンジウムを加えることで、マグネシウム合金においては不可能と見なされていた構造変化(温度によって二種類の構造を自由に行き来できること)の利用による機械的特性の制御を実現しました。これにより、従来品に比べ加工性と強度のバランスに優れたマグネシウム合金を得ることに成功しました。また、この研究過程で変形させても特定の温度や電流により形状が元に戻る形状記憶特性という、マグネシウムでは考えられなかった機能性を世界で初めて発見しました。

開発に成功した合金は報告されている形状記憶合金の中で最も軽く、従来の形状記憶合金に比べ70%程度の軽量化に成功しています。この優位性により、人工衛星のフレームなど打ち上げコスト削減のために軽さが求められる宇宙材料への応用が期待できます。小川氏の研究チームは今後、実用化に向けて、さらなる強度の向上や現状マイナス100℃以下の低温で得られる形状記憶特性を室温でも可能にするなど特性向上に取り組んでいきます。また、同チームは、形状記憶特性とマグネシウムの持つ生分解性を生かし、狭くなった血管を広げやすく、かつ治療完了後体内に吸収される治療に利用できる人に優しいステント(埋込型医療機器)用材料としての適用を目指しており、生分解性や生体適合性などの特性について研究を進めています。

【受賞歴】
NIMS WEEK2017 ISHIDA AWARD (2017)、東北大学総長優秀学生賞 (2017)、第7回日本学術振興会育志賞 (2017)、第12回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」(2017)、日本金属学会若手講演論文賞 (2016)、東北大学工学部長賞 (2012) 他ポスター賞2件

【論文掲載】
Y. Ogawa et al., Shape Mem. Superelasticity (published online)、Y. Ogawa et al., Scripta Mater. 128, 27 (2017)、Y. Ogawa et al., Science 353, 368 (2016)、Y. Ogawa et al., Mater. Sci. Eng. A 670, 335 (2016) 他 筆頭9報

【所属学会】
日本金属学会、軽金属学会、応用物理学会

<参考資料>
https://prtimes.jp/a/?f=d4813-20180308-4752.pdf

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください