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肝硬変を有するC型慢性肝炎患者に対するインターフェロンを併用しない治療を検討した試験において、高いウイルス学的著効率

PR TIMES / 2012年4月25日 20時12分

この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が4月19日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。

2012年4月19日 スペイン/バルセロナ、ドイツ/インゲルハイム

28週間の治療後に、肝硬変を有するC型慢性肝炎患者で最大71%がウイルス学的著効を達成したことが新たなデータで明らかにされました。この結果は、インターフェロンを併用しない、ベーリンガーインゲルハイムが開発中の2つの直接作用型抗ウイルス剤を含む併用療法を受けたC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1b型)において示されたものです。

肝硬変を有するC型慢性肝炎患者に対する治療選択肢についての研究は、緊急を要する医療ニーズがあるにもかかわらず、大幅に遅れています。今回のデータは、肝硬変を有するC型慢性肝炎患者という特定の患者集団に対してインターフェロンを併用しない治療法で、高いウイルス学的著効率が示された初めてのデータで、治療期間が大幅に短縮される可能性も示されています。この結果は、肝硬変を発症する20%のC型慢性肝炎患者(世界で推定3,400万人)にとって意義あるものです2。

バルセロナで開催中の国際肝臓学会/第47回欧州肝臓学会年次総会(EASL)にて4月19日に発表されたこの結果は、これまでに実施されたインターフェロンを併用しないC型慢性肝炎治療を検討したフェーズ2試験(SOUND-C2)における5つの投与群のうちの1つの投与群に関するものです。SOUND-C2試験では、インターフェロンを併用せず、プロテアーゼ阻害剤BI 201335 NA 1日1回投与とポリメラーゼ阻害剤BI 207127 NAの併用療法にリバビリンを加えた群、加えない群で、その有用性が検討されました。治療期間は、各投与群で異なります1。

肝硬変は、肝細胞が破壊され消失して瘢痕組織となるものであり、発症すると肝機能が徐々に低下し、肝臓がんおよび肝移植のリスクが高くなります3。

ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学病院(ドイツ/フランクフルト)内科学教授兼医学部部長でこの試験の治験責任医師の一人であるProf. シュテファン・ツォイツェム(Stefan Zeuzem) M.D.は次のように述べています。「肝硬変の患者には、肝臓が肝機能を維持できなくなる前に、高いウイルス学的著効率を達成できる効果的な治療選択肢が緊急に必要とされます。肝硬変患者は、一般的にインターフェロンを併用する治療に対し忍容性が低いものです。今回の結果は、進行したC型慢性肝炎患者において、インターフェロンによる負担なく、高いウイルス学的著効率が達成される可能性と希望を示しており、この治療レジメンの更なる検証を支持するものです」。

インターフェロンによる副作用は重度になることもあります。その副作用には、心不全、敗血症、白血球減少症、失明などがあります3,4。インターフェロンは現行の治療選択肢のすべてで併用されており、その負担を軽減するためには、インターフェロンを併用しないで済む治療法が渇望されています。

ジェノタイプ1型(ジェノタイプ1a型、ジェノタイプ1b型)はC型慢性肝炎の最も一般的なタイプで、インターフェロンを併用した治療レジメンでは最も治療困難なタイプでもあります5。また、肝硬変患者は従来から治療への反応が不良で、特にインターフェロン治療では効果が認められなくなっています6。今回の結果では、インターフェロンを併用しない28週間の治療後、最大でC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1b型)の71%がウイルス学的著効(SVR12)を達成しました1。

ベーリンガーインゲルハイム 医薬開発担当上級副社長のProf.クラウス・デュギは次のように述べています。「今回のデータは、進行したC型慢性肝炎患者の治療にとって有望なものです。肝硬変を発症した患者集団はこれまで、インターフェロンを併用しない臨床試験において検証対象になったことがありません。この試験は、治療が最も困難な患者さんを含め、すべてのC型慢性肝炎患者さんに、よりシンプルな治療を提供しようというベーリンガーインゲルハイムのコミットメントが示されていると言えます」。

参考情報:

この非盲検ランダム化フェーズ2b試験のサブ解析結果は、「肝硬変を有するC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)における、インターフェロン非併用、BI 201335 NAとBI 207127NA併用療法の有効性および安全性:SOUND-C2の中間解析結果」と題したアブストラクトポスターとしてDr. ヴィンセント・ソリアノ(Vincent Soriano)によって発表されました。
このフェーズ2b試験では、未治療のC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)362人が、インターフェロンを併用しない5つの投与群に割り付けられました。各投与群は以下に示すように、BI 201335 NA 120 mg 1 日1回投与については共通とし、BI 207127 NAについては異なる用量が投与され、異なる投与期間が設定されました。
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、16週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、28週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回+リバビリン、40週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日2回+リバビリン、28週
・ BI 201335 NA 120 mg 1 日1回+BI 207127 NA 600 mg 1日3回(リバビリン非併用)、28週

このSOUND-C2試験のサブ解析には肝硬変患者37人が含まれています。

C型肝炎ウイルス(HCV)について

C型肝炎ウイルスは肝臓の感染性疾患であり、慢性肝疾患および肝移植の主因となっています。C型肝炎ウイルスによる持続感染者は世界全体で1億7,000万人と推定されており、年間300~400万人が新たに感染しています。急性期でウイルス除去できる患者はわずか20~45%ほどです。その他の持続感染患者のうち、20%が平均20年以内に肝硬変を発症します。肝硬変発症後の死亡率は年間2~5%です。C型肝炎ウイルス感染による末期の肝疾患は現在、欧米諸国における肝移植の主因となっています。日本では、C型肝炎ウイルス持続感染者は約150万人と推定されています。

ベーリンガーインゲルハイムとウイルス性疾患領域について

ベーリンガーインゲルハイムは、ウイルス性疾患をはじめとする6つの疾患領域を対象に、7,500人以上の研究者がグローバルR&Dネットワークで学術研究に取り組んでいます。C型肝炎ウイルスに関する現在進行中の研究プログラム以外にも、ベーリンガーインゲルハイムは抗ウイルス薬の研究開発に長年携わっており、HIV治療用の化合物(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤として世界で初めて承認されたビラミューン(R))などが開発されました。カナダのラヴァル研究所では1990年代初頭からウイルス性疾患の研究を行っており、アンメットニーズの高い新しい治療薬の開発に力を注ぎ、成果を上げています。

ベーリンガーインゲルハイムとC型肝炎について

ベーリンガーインゲルハイムは、HIV/AIDSおよびC型慢性肝炎の革新的治療薬の開発など、ウイルス学に長年にわたり取り組んでいます。先駆的サイエンスを通じ、ベーリンガーインゲルハイムは、C型肝炎ウイルス領域で治療薬を普及させ、C型慢性肝炎患者の負担を軽減しようと努めています。ベーリンガーインゲルハイムの臨床研究チームは、最も治療困難とされる患者を含め、より多くのC型慢性肝炎患者に治療薬を提供するために世界中のC型肝炎ウイルス専門家と協力しています。ベーリンガーインゲルハイムは現在、C型慢性肝炎患者に対する臨床試験プログラムHCVersoTMを通じてBI 201335 NAおよびBI 207127 NAを開発しています。

現在開発中の次世代経口HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤BI 201335 NAは、ペグインターフェロン/リバビリンと併用することで、ペグインターフェロン/リバビリンのみの併用療法よりも著効率を高める可能性を持っており、フェーズ2b(SILEN-C試験)まで臨床試験を終了しています。現在、未治療/前治療で十分な効果が得られなかった患者および、HIVに同時感染したC型慢性肝炎患者(ジェノタイプ1型)を対象にBI 201335 NAとペグインターフェロン/リバビリン併用療法を評価する多施設共同のフェーズ3臨床試験プログラムが進行中です。日本も見治療患者、前治療で十分な効果が得られなかった患者に対するフェーズ3に参加しています。

現在開発中のNS5B RNA依存ポリメラーゼ阻害剤BI 207127 NAは、BI 201335 NAおよびリバビリンとの併用により、インターフェロンを含まないC型慢性肝炎治療かを目指しており、現在、フェーズ2試験で検討中です。日本の開発段階はフェーズ2です。

* BI 2013351とBI207127は開発中の新規化合物です。これらの安全性と有効性はまだ実証されておりません。

* 持続的ウイルス学的著効(SVR: sustained viral response)はウイルス学的治癒と考えられています。FDAは、治療終了後12週目にC型肝炎ウイルスが未検出であることと定義しています(SVR12)。

ベーリンガーインゲルハイムについて

ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

ベーリンガーインゲルハイムにとって、社会的責任を果たすことは、企業文化の最も重要な柱の一つです。事業を展開する世界の国々において、社会問題に取り組み、社員とその家族を思いやり、全社員に平等な機会を提供することが、 ベーリンガーインゲルハイムの基盤です。そして、尊重と誠実を重んじ、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて貢献することが、ベーリンガーインゲルハイムの本質であり使命です。

2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。

日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。

日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。

詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp

Refereces:

1. Soriano V. The efficacy and safety of the interferon-free combination of BI 201335 and BI 207127 in genotype-1 HCV patients with cirrhosis. Poster #1420 presented at the International Liver CongressTM (ILC), 18 -22 April 2012
2. The Body. Access to Hepatitis C Treatment: A Global Movement Gains Momentum http://www.thebody.com/content/art61497.html [Last accessed on 16/04/12]
3. HCVAdvocate. What is Cirrhosis? http://www.hcvadvocate.org/hepatitis/factsheets_pdf/Cirrhosis_10.pdf [Last accessed on 16/04/12]
4. World Health Organisation. Hepatitis C. 2002 http://www.who.int/csr/disease/hepatitis/Hepc.pdf [Last accessed on 16/04/12]
5. Ghany, M. et al. An Update on Treatment of Genotype 1 Chronic Hepatitis C Virus Infection: 2011 Practice Guidelines by the American Association for the Study of Liver Diseases. Hepatology, August 2011.
6. Wright, T. Treatment of Patients With Hepatitis C and Cirrhosis.Hepatology, 2002; 36 (Suppl.5b), S185-S194

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