【調査発表】「自律的に働くことに関する実態調査」結果を発表

PR TIMES / 2020年9月1日 17時45分

テレワークが普及する中で成果創出の鍵となる「自律」の実態とは?「自律」は協働や働きがいにもつながることやその高め方も明らかに

 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤島 敬太郎)組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業に正社員として勤務する一般社員と管理職435名を対象に「自律的に働くことに関する実態調査」を実施しました。
 本調査では「自らのキャリアを切り拓く意識の高い人は、目の前の担当業務や職場の他者を疎かにしてでも自分を優先する」という一般的なイメージは実態と異なり、協働して仕事をしていること、また「自律」は「組織への共感・愛着」「社員の働きがい」につながること、本人の特性だけでなく、環境要因である上司・職務設計も「自律」を促す要因となっていることなど多くのことが明らかになりました。テレワーク下で社員の「自律」がより一層求められるなか、社員の「自律」を促す上司や組織の関わり方について、組織行動研究所 主任研究員 藤澤 理恵が解説、提言します。
*詳細は8月31日に公表した当社Webサイトの調査レポート
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000889/)からも参照できます。



調査担当研究員のご紹介
組織行動研究所 主任研究員 藤澤 理恵

[画像1: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-169888-11.png ]


2001年に入社後、人事制度設計のコンサルティングや、研修開発、組織調査などに従事。東京都立大学大学院・社会科学研究科・経営学専攻にて2015年修士号を取得後、博士後期過程に在籍中。
企業人の社会貢献・プロボノ活動、育児休業、HRMの柔軟性などを題材とした調査を手がけ、組織を出入りする「越境」経験と、仕事で個を生かす「ジョブ・クラフティング」をテーマに研究を行っている。

1.調査実施の背景
新型コロナウイルスの流行に伴い、在宅勤務をはじめとするテレワークの導入が急速に進んでいます。ウィズ/アフターコロナ時代のあたらしい働き方が求められるなか、いま、自分の行為を主体的に規制する「自律」に注目が集まっています。組織が社員に期待しており、また社員個々人も希望する「自律的に働く」ことに関して、その実態を明らかにするため本調査を実施しました。

2.調査結果のポイント


回答者の8割が所属企業から「自律的に働くことを期待されている」と回答し(図表2)、また「自分自身は自律的に働きたい」と回答している(図表4)。一方で、その半数にあたる4割前後の人が、「上司や会社から、自律的に働くことを阻まれている」「周囲に、自律的に働くことを望んでいる人は少ない」と回答している(図表4)。
20代は他の年代に比較して「自律的に働きたい」とする回答が低く、「自律を求められることに、息苦しさを感じる」との回答が高い。また、20代は「きめ細かく支持をしてくれる上司」を好み、30代以降は「大きく任せてくれる上司」を好む傾向がある(図表5)。
チームや組織が良い状態となるよう行動する「自律的協働」や、自らのキャリアの為に行動する「自律的キャリア形成」よりも、日々の仕事において自らを律しながら職務を遂行する「自律的職務遂行」の方が難しいと感じる人が多い(図表6)。
「自律的キャリア形成」を平均以上に行っている人は、「自律的職務遂行」も「自律的協働」も平均以上に行っている。(図表7)。
⇒「キャリア自律が進むと、心が会社から離れ、協働がおろそかになるのではないか」という懸念は実態と異なる。
「自律」の水準が高くなるほど、「ワークエンゲージメント」「組織への共感・愛着」「不測の事態における従業員の主体的活動」は増加する(図表8)。
⇒「自律」は働きがいにつながる。また「自律」の水準が高い人は、「新型コロナウイルス対策に企業が直面するなかで、主体的な提案や活動が活発化」したことがわかった。
自律に影響を与える要因として、自己決定志向、仮説思考といった本人要因だけでなく、上司の自律支援型マネジメントや他者・他部署との連携を必要とする職務設計などの環境要因が自律を促すことが明らかに(図表9図表10)。

3.調査結果を踏まえての提言:「自律」を促すために企業・人事、個人ができること
組織行動研究所 主任研究員 藤澤 理恵

<企業や人事ができる5つのこと>
■「自己決定志向」の育成
何事も自分で決めたいという「自己決定志向」は「自律的職務遂行」と「自律的キャリア形成」を促します。自己決定を尊重し見守る上司マネジメントを推進したり、主体的に行動したことで損をしたり、失敗したときに過剰に責任を問わない評価制度を整備することが大切です。

■「仮説志向」の育成
すべての「自律」を促すことが明らかになったのが、「仮説思考」です。「仮説思考」とは、実行する前に達成状態や目的を思い描いたり、うまく行かないときには前提を見直したりといった習慣を指します。自己理解やキャリア開発のようなトレーニング実施や上司との1on1ミーティングを通じて個人の「仮説思考」の習慣づくりを支援できます。

■自律支援型マネジメント
上司の「自律支援型マネジメント」がすべての「自律」を促す傾向があることがわかりました。上司は部下が自分のやり方で仕事を進めることを認めたり励ましたりすることに加え、仕事の重要さを理解させたり、必要な情報を提供したり、振り返りを支援したりといった情報提供をすることが重要です。

■自己成長や人生の充実、社会の役に立つ実感の向上
「自分の成長につながるか」、「人生の充実につながるか」、「社会の役に立つか」という行動基準・規範をもつことも、「自律」を促す要因となることがわかりました。人事や上司は、キャリア研修やコーチングなどの自己理解支援の施策によって、成長目標を具体的に描くことや、人生を充実させる指針を持つことを支援できます。また、経営理念やその先にある社会のニーズを理解できるよう、経営層が理念を語りかけたり情報を開示したりすること、従業員の社会体験を奨励することも有効です。

■他社・他部署との連携を必要とする職務設計
他者・他部署との連携を必要とする職務設計が、「自律的協働」と「自律的キャリア形成」を促すことも明らかになりました。個人に閉じた仕事として仕事や役割を与えるのでなく、協働に開いた仕事や役割であることを、事前に明示し意識づけることが重要といえます。

<個人ができる4つのこと>
■自分で決めたいという気持ちを大事にする
自分で決めたい、もっと裁量がほしいと考える気持ちは自律の原動力となります。周りの人が安心して任せてくれるよう、具体的な提案と共に周囲に伝えることが大切です。

■「仮説思考」 を伸ばす
自律的な人が皆、自己決定志向が強いわけではないことが調査で分かりました。強い意志がなくても、「仮説思考」 を伸ばすことで自律を促すことができます。目的を意識し、事前に見通しを立て、うまく行かないときには立ち止まって前提を見直す、といった仕事の進め方の習慣、つまり「仮説思考」を心がけることが自律を促すうえで有効です。

■拠り所となる「行動基準・規範」をもつ
拠り所となる「行動基準・規範」をもってこそ、「自分で」考えられるようになります。今回の調査では「自分の成長につながるか」、「人生の充実につながるか」、「社会の役に立つか」という行動基準・規範をもつことが、「自律」を促す要因となることがわかりました。時間軸を伸ばして、どのような自分に成長したいか、会社・社会の望ましい未来は何か、といったことを考えることが重要です。

■周りをよく見る
自律的な人は、周りをよく見ています。自分の仕事がどのような「他者・他部署連携」を必要とするのかを考えたり、社会や経済の動きを知り、自社や社会の課題を理解したりすることを心がけてください。

4.調査結果
●経営者やマネジメント層からの「自律」への期待(図表2)
・ 回答者の8割が、所属企業から「自律的に働くことを期待されている」と回答。
・ また半数以上が、経営者やマネジメント層から「自律的に働くことを期待されている」と感じる具体的なメッセージを受け取っている。
・ 対象を管理職に絞ると、9割を超える人が、所属企業から「自律的に働くことを期待されている」と回答。
[画像2: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-230584-0.gif ]


●会社が従業員に「自律」を期待する/しない理由(図表3)
・ 一般社員・管理職ともに「自律」を期待されていると思う理由は、「会社の業績を高めるために、現場の工夫や提案を求めているから」「従業員の働きがいが高まると考えているから」という回答が多く、会社が重要員に「自律」を期待することは、合理的な経営判断であると捉えている。
・ 管理職は「上司が正解を示せる時代ではない」と考える人が多く、「部下の仕事の専門性が高まり、管理職が細かい指示をすることは不可能だから」といった業務の高度化・複雑化の影響を受けているといえる。
・ 「自律」を期待されていないと回答した約2割、67人が挙げる理由としては、「上司や会社の指示に従うことが会社員の仕事だから」という回答が多い。「結局、上位者の気に入る案しか実行する気がない」という諦めと、「明快な指示を出すことが、経営陣や管理職の仕事だから」という上位層への期待の強さともとれる役割意識があることがわかった。
[画像3: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-885483-1.gif ]


●「自律」に対する意識(図表4)
・ 回答者の8割が、「自分自身は自律的に働きたい」と回答。
・ 一方で「上司や会社から、自律的に働くことを阻まれている」「周囲に、自律的に働くことを望んでいる人は少ない」と回答する人が、「自律的に働きたい」とする人の半数程度いる。
⇒「自分は自律的に働きたいけれど、周りが望んでいない」という認知が存在する。
・ また「自律を求められることに息苦しさを感じる」人も、自律的に働きたいとする人の半数程度いる。
⇒ 自らが自発的に「自律」を欲することと、他者から「自律」を求められることは別であるようだ。
・ 8割以上の人が「これからは、多くの人に自律的に働くことが求められる」が、「多くの人にとって、自律的に働くことは難しい」「自律ばかり強調すると、協働がおろそかになる」と考えている。
・ さらに、「大きく任せてくれる上司」の方が「きめ細かく指示してくれる上司」より好まれ、「個人が選択することを奨励する会社」の方が「働き方や生き方を、ある程度計画し提示してくれる会社」より好まれる傾向がある。
[画像4: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-857932-2.gif ]


●「自律」に対する意識(好ましい上司、会社)_年代別(図表5)
・ 20代は「自律的に働きたい」と回答する人が少なく、「自律を求められることに、息苦しさを感じる」と回答した人が多い。
・ 20代は「きめ細かく支持をしてくれる上司」を好み、30代以降は「大きく任せてくれる上司」を好む傾向がある。
・ 「上司や会社から、自律的に働くことを阻まれている」「自律を求められることに、息苦しさを感じる」といった意識は年齢とともに減少している。
[画像5: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-375616-3.gif ]


●「自律」の種類と「自律行動」の段階(一般社員)(図表6)
・ 「自律」を担当業務に関する「自律的職務遂行」、チームや組織に関する「自律的協働」、キャリア形成に関する「自律的キャリア形成」の3種類に、「自律行動」を変化対応の度合いが低い順から「着実遂行」「自己統制」「変化適応」「変化創造」の4段階に分けて調査した。
・ 「自律的協働」や「自律的キャリア形成」に比べて、「自律的職務遂行」の実践度はやや低いことがわかった。
⇒チームや組織の良い状態や、人生という時間軸での良い状態に向けて自らを律することよりも、日々の仕事における自律が難しい。
・ あらかじめ示された基準に従って効率や能率を高める「着実遂行」は比較的遂行されやすく、自ら基準を選択し変化を創造する「変化創造」は難度が高い。

[画像6: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-162849-4.gif ]


●「自律的キャリア形成」と「自律的職務遂行」「自律的協働」の関係性(一般社員)
(図表7)
・ 「自律的キャリア形成」が平均以上の群では、「自律的職務遂行」も「自律的協働」も平均以上である人の割合が最も多かった。
・ 逆に「自律的キャリア形成」が平均未満の群では、「自律的職務遂行」も「自律的協働」も低い人の割合が最も多かった。
⇒「自律」の経験やマインドは、「協働志向の自律」にもつながっている。
※本調査では自律的キャリア形成が平均以上の群と平均未満の群に分け、自律的職務遂行の平均以上・未満群×自律的協働の平均以上・未満群の掛け合わせの集計をして分布を調べた。
[画像7: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-357395-5.gif ]


●「自律」の水準別、仕事や会社へのポジティブな態度(一般社員)(図表8)
・ 「自律」の水準が高くなるほど、個人の働きがいや所属組織へのポジティブな関わり方は増加する傾向がみられた。
・ 「不測の事態における従業員の主体的活動」は「自律」の水準の高まりとともに増加する傾向がみられた。自律の水準が高くなるほど、「新型コロナウイルス対策に企業が直面するなかで、主体的な提案や活動が活発化する」と考えられる。


[画像8: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-781090-6.gif ]


●「自律」に影響を与える要因(図表9・10・11)
・ 「仮説思考」と「自律支援型マネジメント」の間にはお互いに影響し合う関係が見られた。
・ 「仮説思考」の水準が低い場合に、「自律支援型マネジメント」が「自律的協働」を促す効果が強くなることが分かった。
・ 何事も自分で決めたいという「自己決定志向」は「自律的職務遂行」と「自律的キャリア形成」を促す。
⇒ 会社や人事は、自己決定を尊重し見守る上司マネジメントを推進する他、主体的に行動したことで損をしたり失敗したときに過剰に責任を問われたりしない評価制度を整備することよって自律を支援することができる。
・ 「自己決定志向」以上の強さで、自律的協働も含めたすべての「自律」を促すことが明らかになったのが、実行する前に達成状態や目的を思い描いたり、うまく行かないときには前提を見直したりといった習慣を指す「仮説思考」である。
⇒会社や人事は、トレーニング実施や上司との1on1ミーティングの設計などを通じて個人の仮説思考の習慣づくりを支援することが可能。
・ 「自己成長・充実規範」、「公共善規範」も、すべての「自律」を促した。
⇒ 人事や上司は、キャリア研修やコーチングなどの自己理解支援の施策によって、成長目標を具体的に描くことや、人生を充実させる指針を持つことを支援できる。また、経営理念やその先にある社会のニーズを理解できるよう、経営層が理念を語りかけたり情報を開示したりすること、従業員の社会体験を奨励することも有効だろう。
・ 人からの評価や評判を気にする「承認規範」は「自律」を促進しない。
⇒ 短期的な人事評価に一喜一憂せずに済むような環境が作れるとよいだろう。
・ 環境要因においては、「上司の自律支援型マネジメント」がすべての「自律」を促していた。
⇒ 部下が自分のやり方で仕事を進めることを認めたり励ましたりすることに加え、仕事の会社全体から見た重要さを理解させたり、必要な情報を提供したり、振り返りを支援したりといった情報提供を上司が担うことが重要なポイントだ。特に「仮説思考」が低い部下に協働を促すには上司の関わりが有効である。
・ 他者・他部署との連携を必要とする職務設計が、「自律的協働」と「自律的キャリア形成」を促す。
⇒ 個人に閉じた仕事として仕事や役割を与えるのでなく、協働に開いた仕事や役割であることを、事前に明示し意識づけることが重要といえる。
・ 外部環境の厳しさの認知が、「自律的職務遂行」と「自律的協働」を促していた。
⇒ 危機意識は連帯を生み出す要因となる。しかし、それはここまで見てきたような、個人の習慣や支援的な環境が整った上であることが重要だ。取り得る手段がない状況で危機への不安が煽られると逃避行動につながるとの研究もある。
・ 会社や上司からの関わり方の事例を要因ごとに整理し、図表11にまとめた。
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[画像10: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-768454-8.gif ]

[画像11: https://prtimes.jp/i/29286/88/resize/d29286-88-574986-9.gif ]


5. 調査概要

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