2021年のスマートフォン向けSoCは、半導体ファウンドリーとチップセット供給能力が競争力の鍵となる
PR TIMES / 2021年5月10日 10時15分
MediaTekが37%のシェアでスマートフォン向けSoCグローバル市場の首位となるも、5Gスマートフォン向けSoC市場では30%のシェアでQualcommが首位に。
カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、スマートフォン向けAP(アプリケーションプロセッサ)/SoC(システム・オン・チップ)のグローバル出荷量は2021年には前年比3%成長の見通しとなるという調査結果を含むFoundry & Application Processor (AP/Soc) researchによる最新調査を発表致しました。(前年比3%成長の数字は、供給上の制約、5Gスマートフォンの急成長、その他の競合動向を含んだものです)
Qualcomm、MediaTek、AppleなどのファブレスSoCベンダーにとって、スマートフォン向けAP/SoC市場の競合動向は急速に変化しています。こうしたベンダーにとって、競合状況は、チップセットの機能の豊富さやそのレベルといったチップセットのポートフォリオの層の強さだけで決まるのではなく、どの半導体ファウンダリのどの微細プロセスをどの割合で選択するか、によっても左右されています。
この調査に関して、カウンターポイント社リサーチディレクターのDale Gai氏は次の通りコメントしています。
「需要と供給の動向という視点で整理して予測すると、MediaTekは2020年第4四半期の勢いを2021年も維持するとみられ、通年で出荷されるスマートフォン向けAP/SoC全体の37%の出荷数量シェアを獲得しそうである。これは年率2割の需要の伸びであり、それは競争の激しい5Gスマートフォンの中で各社が狙う150米ドル未満の5Gスマートフォンセグメントにチップを製造するTSMCにサプライの制約がないことと、4GスマートフォンにおいてもMediaTekがシェアを伸ばしていることによるものである。加えて、2021年上半期のMediaTekは、Qualcommが抱えるサプライ上の課題にも助けられそうだ。Qualcommは、SamsungのAustin工場が製造するRFIC(高周波用IC)、電源管理用IC(PMIC)の供給難や、5nmラインの歩留まりが上がらないことの影響を受けている。」
図1: 世界のスマートフォン向けAP/SoC市場シェア(%・見通し)
[画像1: https://prtimes.jp/i/33140/93/resize/d33140-93-291476-1.png ]
出典: Counterpoint Research – Foundry & SoC Outlook, 2021年4月
Gai氏はさらに次の通り付け加えています。
「とはいえ、我々はQualcommが2021年下半期にはしっかり復調するとみている。その理由は、第一に、TSMCの製造キャパシティをさらに確保し、5Gを中心としたSnapdragonのポートフォリオを充実させること、第二にPMICとRFICの供給問題を改善するための重要施策によって状況が数か月で好転することにある。この結果、Qualcommは5G SoC市場での首位を維持するとともに、市場全体でのシェアも31%と、通年では成長になる見通しである。」
また、最先端微細プロセスと、そのプロセスの製造キャパシティの確保の重要性について、Gai氏は次の通り強調しています。
「7nm、6nm、5nmなどの最先端プロセスは、2021年のスマートフォン向け出荷のほぼ半分に達する見通しである。これら最先端プロセスは主に5Gスマートフォン機種向けであり、従来の微細プロセス(TSMCやSamsungにおける11/12/14nm)は、2021年のうちは主流の4G LTEに利用されるだろう。」
図2: 世界の5Gスマートフォン向けAP/SoC市場シェア(%・見通し)
[画像2: https://prtimes.jp/i/33140/93/resize/d33140-93-508334-2.png ]
出典: Counterpoint Research – Foundry & SoC Outlook, 2021年4月
5Gスマートフォン向けチップセットの伸びについて、カウンターポイント社リサーチアナリストのParv Sharma氏は次の通りコメントしています。
「我々は、Qualcommが5G SoCの市場シェアを2021年中に30%台に乗せるとみている。その理由は、Snapdragonの8シリーズから4シリーズに至る各価格帯向けソリューションが揃うことにある。Apple向けの5GベースバンドICも数に含めるなら、5Gチップセット全体でのシェアは59%にもおよぶ。もしも、2021年上期にサプライチェインの問題に見舞われる不運がなかったなら、Qualcommのシェアはもっと高かったはずである。Qualcommは、年初のSnapdragon 888のウェハー製造が期待以下だったことを踏まえ、2021年第2四半期から、TSMCの5nm、6nmラインにより多くのウェハーを注文する。これを受けて2021年下半期の同社の5G SoC出荷は成長軌道に戻るとみている。」
Sharma氏はさらに、次の通り付け加えています。
「一方のMediaTekは、TSMCをうまく活用したことと、低価格5Gチップセットのポジショニングとが功を奏し、5Gスマートフォン向けSoC/APセグメントでの市場シェアをほぼ倍増させた。MediaTekとQualcommを合わせて5Gスマートフォン向けSoC市場のほぼ2/3を占めている。この両社の差は縮まりつつある。ファウンダリの製造キャパシティは当面厳しいままで、最先端プロセスへの設備投資の次の波がくる2022年初めまでこの状況が続くだろう。」
【カウンターポイント社概要】
Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/
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