オーストラリア・タスマニア州の遺伝子組み換え作物モラトリアムの継続を求めてパブリックコメントを提出しました
PR TIMES / 2013年11月5日 11時42分
生活クラブ連合会は、オーストラリアのタスマニア州が遺伝子組み換え作物の栽培モラトリアム(期限付き栽培禁止)の見直し作業を行っているのを受け、モラトリアム継続を求めるパブリックコメントを提出しました。
生活クラブ連合会は、タスマニア州(オーストラリア)が遺伝子組み換え作物のモラトリアム(期限付き栽培禁止)を実施していることから、タスマニア島の生産者が出資する出荷会社との直接の提携関係強化をすすめているところです。現在のモラトリアムの期限は2014年11月であり、州政府は現在その見直し作業に入っています。モラトリアムの延長を求めて、州政府の第一次産業省内に設置されたプロジェクトチームにあてて10月10日、パブリックコメントを提出しました。
2013年10月10日
生活クラブ連合会は、東日本を中心とする33の会員単協からなる生活クラブ生協の連合組織であり、組合員は合計で約34万人です。生活クラブは自分たちが取り扱う食材について、遺伝子組み換え原料を原則的に使わない方針をとっています。
日本人はナタネ油を日常的に料理に使います。生活クラブで取り扱うナタネ油を製造する米澤製油は、原料のナタネをカナダから輸入していましたが、1996年にカナダで遺伝子組み換え作物の栽培が始まり、NON-GM(非遺伝子組み換え)ナタネの確保がカナダではできなくなったことから、1997年、西オーストラリア州からのNON-GMナタネの輸入を始めました。現在、5000トンのNON-GMナタネを毎年、西オーストラリアから輸入しています。
その西オーストラリア州では2008年から遺伝子組み換えナタネの作付が始まりました。それ以来、IPハンドリングでNON-GMナタネの輸入を行なっていますが、遺伝子組み換え作物のモラトリアムを行なっているタスマニアからもNON-GMナタネを輸入できないかと、タスマニア州の会社と直接契約を結び、NON-GMナタネの輸入を始めようとしているところです。今後もタスマニア州との持続的なビジネスの継続を強く望んでいます。
以上述べたような立場から、タスマニア州の遺伝子組み換え作物モラトリアムの見直しについて、以下の意見を提出します。
1. 遺伝子組み換え作物に関する国内・国際政策と第一次産業
タスマニア州の農産物は、タスマニア・ビーフを始め、日本の市場で高い評価を受けています。GMフリー政策を始め、環境に配慮したタスマニア州の政策によって、タスマニア州の農産物全体の評価が高まっていると考えます。私たちが安心してタスマニアの農産物(特にナタネ)を買い続けられるよう、遺伝子組み換え作物のモラトリアムを継続してください。
日本では今年、新しい食品表示法が成立しました。現在日本では、遺伝子組み換え原料を使った食品に表示義務がありますが、オーストラリアと同じく、食用油の原料に遺伝子組み換え作物が使われていても表示義務はありません。しかし、新しい食品表示法を検討する中で、このような例外あることによって、表示が消費者にとってわかりにくいという意見が多く出され、消費者庁は遺伝子組み換え表示について今後の課題とすると明言しました。今後、ナタネ油についても遺伝子組み換えナタネを使っていれば表示がされるよう、政府への働きかけを続けます。もしこの表示が実現すれば、タスマニアのNON-GMナタネが市場で持つ価値が上がると考えます。
2. 第一産業と遺伝子組み換え作物の研究開発
遺伝子組み換え作物が初めて市場に出た1996年以来、開発された作物は大豆、トウモロコシ、ナタネ、綿花、砂糖てん菜の5作物、遺伝子組み換え作物の種類は除草剤耐性、害虫抵抗性の二種類に過ぎません。米国では除草剤耐性雑草や殺虫剤に抵抗力を持つ害虫が多く報告されており、遺伝子組み換え作物が第一次産業にもたらす恩恵は少ないと考えます。
日本では、遺伝子組み換えナタネが栽培されていないにも関わらず、輸送中のトラックからのこぼれ落ちなどが原因で、道路沿いなどで遺伝子組み換えナタネの自生が多く見られます。実際に遺伝子組み換え作物がタスマニア州で栽培されることになれば、このような自生を防ぐことは不可能であり、タスマニア州の農産物に対する日本の人々の信頼が損なわれるでしょう。
3. 遺伝子組み換え作物がタスマニアの第一次産業(食品・非食品とも)に導入されることによって市場に与える利益・不利益
北海道の2008年の調査によると、遺伝子組換え食品を食べることについては、「不安を感じる」が46.2%、「やや不安を感じる」が34.2%で、8割を超える道民が不安を抱いていることが分かります。GMフリーのタスマニア州の農産物は、日本の消費者の信頼を得ています。モラトリアムが解除されれば、日本の消費者の信頼が失われる可能性があります。
米国でもいま、遺伝子組み換え食品の表示を求める消費者の声が高まりを見せています。モラトリアムを継続することによって、世界市場におけるタスマニアの農産物の価値が高まると考えます。
西オーストラリア州では、隣の農地から飛ばされてきた遺伝子組み換えナタネによって、有機農家が有機認証を取り消されるという事故が起きました。有機農家がGM栽培農家を相手どって訴訟を起こす事態となっています。タスマニア州の有機農産物市場はいま成長を続けていますが、遺伝子組み換え作物が導入されれば、有機農家の有機認証が危険にさらされ、有機農産物市場の成長が阻害される恐れがあります。
日本ではタスマニアは、世界遺産のタスマニア原生地域に象徴される豊かな自然で知られています。豊かな自然の中で生産されるタスマニア産農産物に対しては、「クリーンでグリーンな」(安心で環境にやさしい)イメージが持たれています。遺伝子組み換え作物のモラトリアム解除でこのイメージを壊すのではなく、「クリーン」と「グリーン」を推進することこそ、タスマニアの農産物の日本市場での価値を高めると考えます。
4. その他の見直しに関連する問題
私たちがタスマニアから安心してNON-GMナタネを買い続けることができるよう、モラトリアムを継続してください。
以上
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