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第23回ロレアルーユネスコ女性科学賞 優れた女性科学者5人が受賞 自然科学・数学・コンピューターサイエンスにおける先駆的研究を評価

PR TIMES / 2021年2月12日 18時15分

―日本から東京大学工学系研究科化学生命工学専攻 野崎京子教授が受賞―



世界最大の化粧品会社仏・ロレアル(本社:パリ)とユネスコ(本部:パリ)は、現地時間2月11日「科学における女性と女児の国際デー」に、「第23回ロレアルーユネスコ女性科学賞」の受賞者として、卓越した業績をあげた5人の女性科学者を発表しました。多様な国々を代表するこの5名の科学者は、自然科学、数学、コンピューターサイエンスの各分野において優れた研究成果をあげました。

女性科学者は依然として少数
同日発表されたユネスコ科学レポートによりますと、女性科学者の数は増えているものの、世界中の科学者の33%強にすぎません。拡大のペースは非常に遅く、特に自然科学、数学、コンピューターサイエンス、工学の分野での遅れが目立ちます[i]。大学の専攻分野においては、女性卒業生の比率はエンジニアリングでは28%、コンピューターサイエンスでは40%にとどまっています[ii]。
ユネスコ自然科学局シャミラ ネイル・ブドゥエル事務局長補は次のように述べています。「さらにこの新しい調査結果は、女性を科学や技術の分野に引き付けるだけでは足りないことを示しています。私たちはどのようにすれば、女性科学者のキャリア形成が困難に直面し、分散しないようにできるのか理解しなければなりません。そして彼女らの実績が国際的な科学のコミュニティによって評価され、支援されることも重要です。33%の研究者が女性ですが、平均でそのうちの12%しか世界中の国々の科学アカデミーの会員ではないのが実情です。」

これはジェンダー平等の問題のみならず、世界的な社会問題でもあります。特に、「インダストリー4.0」と言及される「第四次産業革命」が、女性科学者の割合がもっとも低い科学分野を中心に進展していることを考えれば、この問題の重要性が際立ちます。AI(人工知能)分野における女性科学者の割合はわずか22%であり、その結果、開発されるアルゴリズムに危険なほどの偏向がすでに見られます。展望も決して明るくありません。現在世界中の仕事の半分が2050年までに消滅するといわれていますが、ITやAIの進化によって消滅する仕事に就いている人々のなかの女性の割合は実に70%にのぼります。
従って、科学分野への女性の参画を後押しし、若い女性たちに科学者としてのキャリアを築くよう奨励することが非常に重要です。科学者としての道を進もうと考える女性は、残念ながら、依然として非常に少数です。欧州では若い女性の4分の3が世界をより良い場所にするための仕事に就きたいと願っていますが、そのなかで科学者になりたいと考える人は37%しかいません。

ロレアル財団のエグゼクティブ ヴァイス プレジデント、アレクサンドラ パルトは次のようにコメントしています。「科学界における女性の存在の希薄さは依然として極めて顕著です。女性のノーベル賞受賞者は4%以下に留まっています。研究職における『ガラスの天井』が依然として存在しています。大学や研究所をはじめ、自然科学関連のすべての組織で、女性科学者の教育や昇進を積極的に強化していただきたいと思います。科学において女性が抑圧されている状況では、男女共同参画の社会を構築するという課題の達成や世界が直面している科学的問題の解決は決して望めません」

女性科学者への23年間にわたる積極的な支援
ロレアル財団はユネスコとともに「世界は科学を必要としており、科学は女性を必要としている」という確固たる信念のもと、女性科学者への関心を高め、女性科学者の才能を周知させ、女性科学者としてのキャリア形成を促すために、女性科学者の地位向上に注力しています。
1998年に女性科学賞を設立して以来、世界117か国から117人の女性科学者を表彰し、3,500人以上の才能豊かな若手女性科学者(博士課程または博士研究員)の研究を奨励すべく奨学金を贈呈してきました。

ロレアル-ユネスコ女性科学賞: 2021年、5名が受賞
ロレアル財団とユネスコは毎年、世界五大陸から5名の女性科学者を選出しています。今年、ロレアルーユネスコ女性科学賞は、自然科学、数学、コンピューターサイエンスの分野の研究者に贈られます。

アフリカ・アラブ諸国
キャサリン・ンギラ(Catherine NGILA)教授 専門分野:化学
アフリカ科学アカデミー(AAS)エグゼクティブディレクター代理。リアラ大学(ケニア)学究・学生担当前副学長(DVC-AA)。ヨハネスブルグ大学(南アフリカ)、応用化学客員教授。

受賞理由:水汚染物質管理のためのナノテクノロジーをベースとする分析手法の開発と導入。同手法を汚染が激しい国々に適用。
ンギラ教授の革新的研究は持続可能な水資源管理手法を開発するうえで非常に重要。

アジア太平洋地域
野崎京子(Kyoko NOZAKI)教授 専門分野:化学
東京大学 工学系研究科 化学生命工学専攻 教授

受賞理由:有機合成化学分野への先駆的かつ創造的貢献と、産業革新にとっての研究成果の重要性。
野崎教授の研究は、医学や持続可能な農業に有用な分子を大量生産するための、斬新で効率的で環境にやさしいプロセスの開発につながった。

北米
シャフィ・ゴールドワッサー(Shafi GOLDWASSER)教授 専門分野:コンピューターサイエンス
サイモンズ・インスティテュート・フォー・ザ・セオリー・オブ・コンピューティング ディレクター、カリフォルニア州立大学バークレー校 (米国)電気工学&コンピューターサイエンス教授、マサチューセッツ工科大学(米国)電気工学&コンピューターサイエンス教授、ワイツマン科学研究所(イスラエル)コンピューターサイエンス&応用数学教授

受賞理由:インターネットを介した安全なコミュニケーションや個人データの共同解析に不可欠なコンピューターサイエンスや暗号解読に関する先駆的で重要な研究成果。
ゴールドワッサー教授の研究は、コンピューターでは近似的解決策を効率的に見つけることができない問題の集合体を理解するうえで重要な意味を持つ。

欧州
フランソワーズ・コンブ(Françoise COMBES)専門分野:天体物理学
コレージュ・ド・フランス(フランス)教授、銀河系・宇宙論学科長
パリ天文台(PSL研究大学)天文学者

受賞理由:恒星間空間における分子の発見から銀河形成のスーパーコンピューター・シュミレーションにいたるまで、幅広い天体物理学における長年の業績。
コンプ教授の研究は、銀河の中心にある巨大なブラックホールが果たす役割をはじめ、星や銀河の誕生や進化を理解するうえで極めて重要。

ラテンアメリカおよびカリブ海地域
アリシア・ディッケンセイン(Alicia Dickensein)教授 専門分野:数学
ブエノスアイレス大学(アルゼンチン)数学学科教授

受賞理由:分子生物学に代数幾何学を適用することによって、数学の最前線に革新的で顕著な貢献をした。ディッケンセイン教授の研究により、非常に微細な細胞や分子の正確な構造や行動を科学者が理解することが可能となった。彼女は、純粋数学と応用数学の境界領域における新分野の研究を進め、物理や化学への重要なリンクを確立し、生物学者が生化学的反応や酵素ネットワークを構造的に深く理解することを可能にした。

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日本ロレアルについて ( http://www.nihon-loreal.jp/ )
ロレアルは 1963 年から日本で事業を開始し、1996 年に日本法人である日本ロレアル株式会社が設立されました。 2020 年末時点での社員数は、2,491 人、2021 年 2 月現在の取り扱いブランドは 17 です。化粧品の輸入、製造、販売、マーケティングを行 っています。1983 年に日本に研究開発拠点を置き、現在、日本ロレアルリサーチ&イノベーションセンター(川崎市・溝の口)として、日本をはじめ、アジアの研究開発の中心的な役割を担っています。200 名以上の研究者を有し、うち女性研究者は 56%を占めています。2005 年から生命・物質科学分野における博士後期課程在籍または進学予定の若手女性科学者を支援する奨学金 「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を推進しており、2020 年を含め59 名の若手女性科学者が受賞しています。また、今回のロレアル財団が主催する「ロレアル-ユネスコ女性科学者省」の野崎氏の受賞は、2000 年岡崎恒子氏(名古屋大学名誉教授)、2005 年米沢富美子氏(慶応大学名誉教授)、2009 年小林昭子氏(日本大学文理学部化学科教授、東京大学名誉教授)、2013 年黒田玲子氏(東京理科大学総合研究機構教授、東京大学名誉教授)、2014 年稲葉カヨ氏(京都大学副学長(男女共同参画担当)、京都大学女性研究者支援センター長、京都大学大学院生命科学研究科教授)、2019年川合眞紀 自然科学研究機構分子科学研究所所長、東京大学名誉教授、日本化学会会長に続いて 7 人目となります。
※日本人受賞者の所属は受賞時

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ロレアル財団について
ロレアル財団は、科学研究、(性差別とは無縁の)包摂的な美、温暖化対策の3本柱を中心に、女性が未来を築き、社会をより良くするための活動ができるよう支援しています。「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」は1998年以来、より多くの女性科学者たちが障壁を越えて前進し、各時代が直面する重要な課題の解決に貢献できるようにするための支援を提供してきました。過去23年間にわたって、研究成果を称え、若手女性科学者たちがキャリアを構築できるよう応援するなど、117か国、3,600人以上の女性科学者たちをサポートしています。ロレアル財団は「美は人生の再構築に貢献する」との信念のもと、無償のスキンケアやヘルスケアを提供することによって社会的に弱い立場にある人々が自分に自信を持てるように支援しています。また、美容関連の講座を提供して、厳しい状況に直面している女性たちがスキルを身につけて仕事に就けるよう奨励しています。2019年には、18,000人以上が無償のヘルスケアを利用し、6,000人近くの女性たちが美容関連の仕事に就くためのトレーニングを受けました。また、女性は遅々として改善されない女性差別や不平等にも苦しんでおり、気候変動で状況はますます悪化しています。女性は気候変動という危機の最前線に立っているにもかかわらず、気候変動に関する意思決定には十分に参加できていません。ロレアル財団の「女性と気候」部門は、特に早急な対応が求められる地球温暖化に対する行動計画を策定するとともに、男女が共同参画する温暖化対策の重要性に対する人々の意識を高めている女性らを支援しています。

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ユネスコについて
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は1945年に設立されて以来、共通の価値観を重視することをもとに、さまざまな文明、文化、人々の対話を推進する状況を創出するために活動してきました。ユネスコの使命は、教育、科学、文化、コミュニケーション、情報における独自の機能を駆使して、平和の構築、貧困の撲滅、持続可能な発展、異文化間の対話の推進に貢献することにあります。世界的な優先順位はアフリカと男女平等です。
ユネスコは、UNESCOという頭文字のSが象徴する通り、科学(Sciences)に特化した使命を持つ、国連内で唯一の専門機関です。ユネスコは、独自の科学プログラムを展開して、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成を支援し、発展途上国が科学力や技術力を育成、保有できるよう支援しています。また、加盟国がそれぞれ独自の知見システムを融合した効果的な公共政策の立案をサポートしています。
ユネスコは発展途上国における科学研究の推進や科学知識の蓄積を支援しています。気候変動を抑え、天然災害リスクを減らすための、淡水・海洋・陸上の資源の持続可能な管理、生物多様性の保護、科学の活用を目的とする国際プログラムを主導しています。
ユネスコは世界五大陸の国々や地域に支部を持ち、国際的な科学協力を支援するとともに、多くのパートナーと世界、地域、国家レベルで活動を展開しています。パートナーとの活動においては、資源、ノウハウ、専門知識を活用して、ユネスコの理想や価値観を広めるとともに、使命を達成するために、独自の活動の影響力や注目度の強化に努めています。

[i] 賢明になるためにはデジタル革命は包摂的でなければならない:ユネスコ・サイエンス・レポート;The Race against Time for Smarter https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000375429 (2021年4月に全編が公開予定)

[ii] 出典元:ユネスコ統計研究所 120ヵ国の高等教育機関からの卒業生対象。33.3%の女性研究者は107ヵ国を基にした統計。2015-2018年の最新データから出典。

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