ソマリア:人道援助の侵害と悪用により、22年におよぶ医療援助活動に終止符

PR TIMES / 2013年8月15日 11時51分



国境なき医師団(MSF)は、1991年以来ソマリアで継続的に展開してきたすべての活動を終了し撤退すると発表した。武装集団および地元指導者層が、人道援助従事者の殺害、襲撃、拉致を支持、許容、容認する姿勢を強め、MSF職員が激しい攻撃の対象となっていることが理由だ。

MSFは活動を展開するにあたり、医療・人道援助活動の尊重という最低限の安全保障の交渉をしてきた。しかし、その交渉相手が、直接的あるいは間接的にMSFスタッフに対する暴力に関与することもあった。主にソマリア中南部で起きていることだが、その地域に限った事ではない。こうした行動や環境を容認することによって、何十万人ものソマリア人を人道援助から締め出すことになっている、とMSFは指摘する。

<比類なき高リスク>

MSFは、22年間にわたる活動の中で、武装集団や関係当局の各陣営と交渉を重ねてきた。圧倒的な人道援助ニーズを前に、MSF、特にソマリア人スタッフは、他に例を見ないほどのリスクを負い、MSFが活動規範とする独立・不偏の原則について大きく妥協を強いられながらも、活動を継続してきた。

首都モガディシオでは、2011年12月、スタッフ2人が残酷に殺害される事件が発生したが、有罪となった殺人犯は早期釈放となった。また、ケニアのダダーブ難民キャンプから乱暴に拉致されたスタッフ2人は、ソマリア中南部で21ヵ月拘束された後、先月ようやく解放された。この2件は、一連の暴挙の最新の事例に過ぎない。1991年以来、計16人のMSFのスタッフが殺害されており、スタッフ、救急搬送車、医療施設への攻撃は数十回に上る。

MSFインターナショナル会長、ウンニ・カルナカラ医師は、「人道援助活動従事者を殺害、攻撃、拉致することで、武装集団および彼らを容認する地元指導者層は、無数のソマリア人の運命を決定付けたことになります。現在のこの国の状況下では、我々のできることに対してスタッフが背負うリスクや妥協が大きすぎるため撤退を決めたのです」と語る。

スタッフの殺害、拉致、暴力被害を受け、ソマリアでMSFは武装警備員の導入という例外措置を取らざるを得なかった。これは他のどの国でも行っていないことだ。また、活動地域のニーズを独自に評価し対応するというMSFの原則にも厳しい制約が課されたが、それも受け入れざるを得なかった。

<最低限の安全保障得られず>

人道援助活動を展開するためには、医療人道援助活動の価値に対する最低限の認識、すなわち紛争当事者や地域社会による医療援助の受け入れ、ならびに独立・不偏の活動原則の尊重が求められる。さらに、各陣営が合意に従い、患者とスタッフに最低限の保護を提供する能力と意志を示す必要がある。しかし、この共通認識を紛争地で維持するのは困難であり、現在のソマリアでは消滅している。

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