微細藻類ユーグレナと麹から生まれた『ミドリ麹』がヒトの胃を模した環境でタンパク質の消化作用を示しました
PR TIMES / 2020年8月7日 17時45分
株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、社長:出雲充)は、国立大学法人筑波大学(学長:永田恭介、以下「筑波大学」)の市川創作教授との共同研究により、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)と麹(こうじ)から開発した独自の新素材『ミドリ麹』※1が、ヒトの胃を模した環境でタンパク質の消化作用を示すことを確認しました。なお、今回の研究成果は、「日本食品工学会第21回」(2020年8月7~19日開催※2)で発表しました。
※1 ミドリ麹を活用した商品名は『みどり麹』と表記。2018年7月12日のニュースリリース https://www.euglena.jp/news/20180712-2/
※2 日本食品工学会第21回(2020年度)年次大会は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のため、ウェブページを活用したオンライン発表形式で開催されました
■研究の目的
食品素材や発酵菌に含まれる消化酵素※3は、消化を助ける胃腸薬などに利用されています。これまでに当社では、麹づくりの際にユーグレナを加えて製麹(せいきく)※4することで、麹の働きをより引き出す効果があることを確認し、ユーグレナを加えて生産した麹を新素材『ミドリ麹』と命名しました。これまでの『ミドリ麹』に関する研究成果として、通常の麹より高い消化酵素活性を示すことを確認しています※5。
本共同研究では、ぜん動運動や低pHなどヒトの胃における食品の消化環境を模したヒト胃消化シミュレーター※6を使用し、胃における食品の消化に対する『ミドリ麹』の影響を評価しました。
※3 酵素とは、生体で起こる代謝反応を補助する物質のこと
※4 製麹とは、麹をつくること
※5 2018年7月12日のリリース https://www.euglena.jp/news/180712/
※6 ヒト胃消化シミュレーターは、胃壁のぜん動運動を模擬するなど、ヒトの胃における食品の化学的・物理的消化環境を模した消化試験装置です
■研究の内容と結果
『ミドリ麹』により、ヒトの胃を模した環境で食品に含まれるタンパク質が消化されました。本研究では、タンパク質を多く含む食品として豆腐を使用して、ヒト胃消化シミュレーターによる消化試験を行いました。豆腐と人工胃液※7に『ミドリ麹』を投入したものと、豆腐と人工胃液に市販の胃腸薬を投入したもの、そして、対照として豆腐と人工胃液のみで消化酵素を投入しないもので試験を行いました。その結果、人工胃液へのタンパク質放出率※8は、『ミドリ麹』を添加した場合には、対照と比較して5.5ポイント増加しました(図)。一方、胃腸薬を添加した場合には、対照から4.2ポイント増加しました。これらの結果から、『ミドリ麹』は胃腸薬と同等以上のタンパク質消化作用を示すことが期待されます。
※7 日本薬局方 溶出試験第1液に相当する胃の酸性条件を模した人工胃液です
※8 消化試験後、人工胃液をろ過し、ろ液である液画分に含まれる窒素量から放出されたタンパク質量を求めました。その量を消化試験開始前の豆腐の全タンパク質量で割り算し、人工胃液へのタンパク質放出率を算出しました。タンパク質放出量が高いほど、豆腐のタンパク質が消化されたことを表します
[画像: https://prtimes.jp/i/36462/122/resize/d36462-122-760428-1.png ]
今後も『ミドリ麹』の有効性と機能の解明を目指し、研究開発に取り組んでまいります。
<ミドリ麹について>
ミドリ麹は、微細藻類ユーグレナと株式会社秋田今野商店独自の麹菌であるAOK-139株から開発されました。麹づくりの際に、米と麹菌にユーグレナを加えて製麹(せいきく)することで、麹の働きをより引き出す効果があることを確認し、特許技術として登録されています(特許第6251436号)。ミドリ麹は通常の麹よりも多くの抗酸化物質を含むことなどが明らかになっており、生理機能の解明とその機能を活かした健康食品の開発に取り組んでいます。https://www.euglab.jp/midorikoji/
<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナ(和名:ミドリムシ)は、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。ユーグレナが含まれる「からだにユーグレナ」シリーズは、「栄養不足」「心身の疲労」「免疫力低下」の相互関係の事実をとらえ、健康の基盤を妨げる複合的要因に着目しています。健康の基盤を妨げる要因に左右されずに、からだが本来持つ“つくる・はたらく・まもる”のサイクルを保ち、よりよい状態へ高めることで、一時的ではなく、持続的な健康を叶えることが大切と考えています。
以上
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