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協同乳業、東京大学、東京工業大学等の共同研究 緑色蛍光タンパク質型乳酸センサーとピルビン酸センサーの開発に成功

PR TIMES / 2020年11月13日 19時45分

~細胞内の乳酸やピルビン酸を可視化する方法を確立~

協同乳業株式会社(本社:東京都中央区/社長:後藤正純)の松本光晴主幹研究員らは、東京大学大学院総合文化研究科の坪井貴司教授、東京工業大学科学技術創成研究院の北口哲也准教授らとの共同研究により、緑色蛍光タンパク質型乳酸センサーとピルビン酸センサーの開発に成功しました。この研究成果は、英科学誌Scientific Reportsに11月11日に掲載されました。

<ポイント>


生命現象に関わる重要な分子である細胞内の乳酸およびピルビン酸の動態を可視化解析できる緑色蛍光タンパク質センサー*1の開発にそれぞれ成功しました。
本研究で開発した蛍光センサータンパク質は、乳酸と結合することで蛍光輝度が約5.2倍、ピルビン酸と結合することで蛍光輝度が約3.3倍に上昇します。
ヒトiPS細胞由来心筋細胞など様々な細胞での乳酸やピルビン酸と他の細胞内分子とを2色の蛍光で同時に可視化する、デュアルカラーイメージングに適用できます。


<研究概要>
乳酸やピルビン酸は、グルコース代謝によって生じる重要な代謝産物です。解糖系でグルコースが分解されてATPとピルビン酸が生じ、ピルビン酸は好気条件でクエン酸回路に運ばれてさらなるATPが産生されます。一方嫌気条件では、乳酸発酵によってピルビン酸から乳酸が産生されます。細胞内の代謝状態をリアルタイムで解析するには、乳酸やピルビン酸などグルコース代謝関連分子の濃度変化を可視化できる蛍光タンパク質センサーが有効です。

本研究では、緑色蛍光タンパク質を基盤とした乳酸センサーGreen Lindoblum(Green Lactate indicator suitable for fluorescence imaging)、ピルビン酸センサーGreen Pegassos(Green Pyruvate sensing a single fluorescent protein-based probe)を開発しました。Green Lindoblumは乳酸存在下で蛍光輝度が約5.2倍に上昇し、Green Pegassosはピルビン酸存在下で蛍光輝度が約3.3倍に上昇しました。

このGreen LindoblumやGreen Pegassosを細胞に発現させ、蛍光顕微鏡で観察したところ、細胞内の乳酸およびピルビン酸濃度変化を可視化することができました。また、Green Lindoblumと赤色Ca2+蛍光指示薬Rhod2、Green Pegassosと赤色cAMPセンサータンパク質Pink Flamindoの2色同時イメージングにもそれぞれ成功しました。さらに、ヒトiPS細胞由来心筋細胞で電子伝達系を阻害する薬剤を加えた際の細胞内乳酸およびピルビン酸動態の可視化にも成功しました。

以上の結果から、Green LindoblumおよびGreen Pegassosは細胞内のエネルギー代謝をリアルタイムで解析するツールとして有用であることが示され、様々な細胞種において代謝分子の相互作用に関する研究を加速させると考えられます。


<影響・波及効果>
既に開発に成功している緑色蛍光タンパク質を基盤としたグルコースセンサーGreen Glifon(Green Glucose indicating fluorescent protein, Analytical Chemistry 91, 4821-4830, 2019)や、緑・赤・青色蛍光タンパク質を基盤としたマルチカラーATPセンサーMaLions(Monitoring ATP level intensity based turn on indicators, Angewandte Chemie International Edition 57, 10873-10878, 2018)も併せて使用することで、多岐にわたる細胞において、乳酸、ピルビン酸、グルコース、ATPなどが関与するエネルギー代謝の研究が加速することが期待できます。最終的には、肥満や糖尿病のような生活習慣病の病態や、正常細胞とは異なる代謝メカニズムをもつ癌の病態の解明に大きな貢献をもたらします。

*1 蛍光タンパク質センサー:蛍光タンパク質は、ある特定の波長の光(励起光)を吸収し、吸収した光よりも波長が長い光(蛍光)を放出する性質を持つ。その性質の獲得に重要な発色団という構造の付近で配列を分割し、標的分子へ結合するタンパク質の配列を融合すると、標的分子の結合によって発色団のイオン環境が変化し、蛍光タンパク質の蛍光輝度が変化する。標的分子の濃度変化や活性などを蛍光輝度の変化を通して検出する。


<発表雑誌>
雑誌名:Scientific Reports
論文タイトル:Green fluorescent protein-based lactate and pyruvate indicators suitable for biochemical assays and live cell imaging
著者:
原田 一貴 (東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 助教)
千原 貴美 (東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
早坂 優希 (東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)
三田 真理恵(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)
滝沢 舞  (東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)
石田 賢太郎(株式会社マイオリッジ 主任研究員)
新井 美存 (九州大学大学院理学研究院生物科学部門 研究員)
角 沙樹  (協同乳業株式会社研究所 研究員)
松本 光晴 (協同乳業株式会社研究所 主幹研究員)
石原 健  (九州大学大学院理学研究院生物科学部門 教授)
上田 宏  (東京工業大学科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 教授)
北口 哲也 (東京工業大学科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 准教授)
坪井 貴司 (東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 教授)
DOI番号:10.1038/s41598-020-76440-4
アブストラクトURL:https://www.nature.com/articles/s41598-020-76440-4

研究内容詳細は下記をご確認ください。
東京大学プレスリリースURL: https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/files/20201113sobuntsuboit01.pdf

【協同乳業株式会社とは】
協同乳業株式会社は、昭和28年12月に「食のトップランナー」として創業し、以来60年以上お客様の立場に立った商品開発と、進取の気風を持った確かな技術力で数々のロングセラー商品を生み出してきました。昭和30年3月にはデンマークから輸入した機械で日本初の「アイスクリームバー」の生産を開始、昭和35年には日本初の当たりつきアイス「ホームランバー」を発売し、今年60周年を迎えました。昭和31年12月には、スウェーデンからテトラパックマシンを輸入し、日本初の「テトラ牛乳」を生産開始。その他にも、本格的な「カスタードプリン」の工業化など様々な“日本初”のヒット商品を世の中に生み出してきました。また、平成23年8月には、世界で初めてプロバイオティクス※(ビフィズス菌LKM512)を用いて哺乳類(マウス)の寿命を伸ばすことに成功し、その成果論文が米国の科学ジャーナルに掲載されました。平成28年3月には乳業界初の交流高電界殺菌法を用いた「農協牛乳」を関東エリアで発売し、令和2年3月より東海エリアへ拡大しています。平成31年3月より「農協珈琲」、令和元年10月より「農協ヨーグルト」をそれぞれ発売しました。これからも、自然の恵みを大切に、酪農家が生産する乳の持つ価値を最大限に活かした商品を消費者に提供することで、健康で豊かな食文化の創造につとめていきます。
※腸内フローラのバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物

【会社概要】
会社名:協同乳業株式会社
代表取締役:後藤 正純
本社所在地:〒103-0016 東京都中央区日本橋小網町17-2
事業内容:1. 牛乳、アイス、デザート、乳製品の製造、販売
     2. 牛乳をもとにした素材事業など
企業URL:https://www.meito.co.jp/

■商品に関するお客様お問い合わせ先
同乳業株式会社  お客様相談室 0120-369817(ミルクハ イーナ)

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