「温室効果ガスゼロ排出」に直結する次世代技術はこれだ!~世界の研究開発動向と有望技術解説(後編)~
PR TIMES / 2020年9月1日 14時45分
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/7141/table/132_1.jpg ]
前編では、CO2排出低減につながる世界的な動向と、テーマ別研究開発動向の一部をご紹介しました。
後編は、テーマ別注目研究の5.以降をご紹介します。
(前編はこちら⇒https://prtimes.jp/main/action.php?run=html&page=releasedetail&company_id=7141&release_id=131&owner=1)
5.移動・輸送の効率化/規模の縮小によりCO2排出を削減
5-1 スマート物流
英国は民間企業にも積極的に資金を投入しているほか、この領域ではスウェーデンも民間企業を対象としたグラントを設定している。
[画像1: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-752461-0.png ]
5-2 無人物流(ゼロエネ倉庫・自動運転)
自動運転に関わるグラントが多く、倉庫に特化した研究課題はあまり見られない。
[画像2: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-509580-1.png ]
5-3 MaaSの拡大・多様化
英国のグラントが上位に多く、民間企業で研究課題を実行している例が多いことが特徴と言える。
[画像3: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-548831-2.png ]
5-4 テレイグジステンス・分身ロボ
感染症対策や原子力施設など、安全のために移動の必要性を低減する研究課題が多い。
[画像4: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-115764-3.png ]
6.CO2を排出しない/排出量の少ない住宅・家電
6-1 HEMS/BEMS(Home/Building Energy Management System)
金額の多いグラント上位4件が2017年までに終了しており、研究資金の最近の流入額は減少していることが窺える。
[画像5: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-188928-4.png ]
6-2 次世代パワーエレクトロニクス
金額の多いグラント上位10件のうち9件が2019年までに終了しており、最近の資金流入額は減少していることが窺える。
[画像6: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-411145-5.png ]
6-3 家庭内AI/IoTの進化による省エネ
具体的なAI/IoTの応用技術よりも、省エネに役立つ基幹技術に関わる研究課題が上位に目立つ。
[画像7: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-296323-6.png ]
6-4 家庭用水素燃料電池と水素ネットワーク
金額上位のグラントには英国のDoctoral Training Centreに関わるものが多く 、水素に関わる人材育成に注力していることが窺える。
[画像8: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-950594-7.png ]
7.CO2の回収と処理
7-1 CO2分離回収
回収したCO2の貯留先を地中とするものが比較的多く、深海での貯留を研究するグラントはあまり見られない。
[画像9: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-436933-8.png ]
7-2 CO2による人工光合成
人工光合成によりCO2を直接回収するグラントも一定数存在するが、人工光合成によって水から水素を得て、カーボンニュートラルなエネルギー源とする研究課題は、その3倍以上あると推算される。
[画像10: https://prtimes.jp/i/7141/132/resize/d7141-132-472485-9.png ]
CO2排出削減技術に関しては、多様な研究テーマに多額の研究費が投資されています。しかし、多くの技術領域では、その成果は二酸化炭素の排出量を低減するにとどまります。求められる実質ゼロ、あるいはマイナスを達成するには、力不足です。地球温暖化を食い止めるためにはCO2を全く出さない、あるいはCO2を回収できる技術のブレイクスルーが求められる状況にあります。(もちろん、当面のCO2濃度をできるだけ低く抑えて、技術的なブレイクスルーまでの時間を稼ぐ、といった意味では、これまでに開発された技術も重要です。)
今回取り上げた技術領域の中で、このようなブレイクスルーをもたらしうる技術としては、核融合と水素エネルギーが挙げられるでしょう。しかしながら、核融合に関しては、たとえば国際熱核融合実証炉ITERでは2035年の核融合運転の開始が目標とされているものの、発電の計画はありません。民間からの資金供与も行われていますが、今世紀半ばまでに、世界での排出ゼロに資するスケールの発電を開始できる可能性は低いと言えます
水素エネルギーに関する技術領域は、今回取り上げたCO2排出削減技術のなかでは
4-2 水素燃料電池自動車(※前編に掲載)
6-4 家庭用水素燃料電池と水素ネットワーク
が該当します。
この2領域のグラント額を国別に見ると、4-2 水素燃料電池自動車では英米が、6-4 家庭用水素燃料電池と水素ネットワークでは米中が、それぞれ多額の資金を投入しています。日本は、6-4 家庭用水素燃料電池と水素ネットワークに関する研究課題には、比較的多くの資金を供与していると言えます。
4-2 水素燃料電池自動車
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6-4 家庭用水素燃料電池と水素ネットワーク
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さらに、7-2 CO2による人工光合成に関連して、水から水素エネルギーを取り出す人工光合成技術には、炭素化合物を経由してエネルギーを取り出す技術よりも多くの研究資金が投資されていることがわかりました。そして、日本は、人工光合成に関する研究課題に、相対的に多くの資金が投入されており、一定の競争力があると推察されます。温室効果ガスの実質ゼロ排出という目標にむけて、今後20年のスパンで日本が注力すべき技術は、人工光合成による水素エネルギーの開発であると考えます。
(アスタミューゼ(株)テクノロジーインテリジェンス部 川口伸明、米谷真人、*源泰拓)
■「InnovationCapital Pathfinder(ICP)」(アイ・シー・ピー)について
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[表2: https://prtimes.jp/data/corp/7141/table/132_2.jpg ]
【本件に対する問い合わせ】
アスタミューゼ株式会社 経営企画室 広報担当 E-Mail: press@astamuse.co.jp
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