世界基金増資会合:薬価設定の枠組み改革案で中所得国は費用負担増の恐れ

PR TIMES / 2013年12月3日 16時26分



米国ワシントンDCで今週、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)が増資会合を予定している。国境なき医師団(MSF)は、同基金の新たな価格設定案の推進により、中所得国が負担するHIV/エイズや結核などの治療薬の価格が著しく高騰する恐れがあると警鐘を鳴らす。

「製薬企業の推す段階的価格設定によって、ウクライナ、ホンジュラス、タイといった中所得国が、薬やワクチンに過大な支出を余儀なくされているのを見てきました。しかし世界でも最も貧しい人の大多数が実はこうした国々に暮らしているという事実が、“中所得国”というだけで見逃されてはなりません。こうした国は多くの場合、HIV/エイズや結核などの疾病負荷に苦しんでいます。そんな国々をさらなる支出増につながる悪質な枠組みにはめ込むという世界基金の方針に大変不安をおぼえます」。MSF必須医薬品キャンペーン政策分析ディレクターのロヒト・マルパニはそう語っている。

<「段階的価格設定」がもたらすもの>

増資会議に先駆け行われた世界基金理事会の報告では、就任後間もないマーク・ダイブル事務局長が「保健医療製品に関する複数の価格設定とロイヤリティ水準の枠組み構築」のための専門チーム設立案を新たに発表。医薬品とワクチンの段階的価格設定の足場を固め、GAVIアライアンス(ワクチン予防接種世界同盟)のような他の国際保健医療団体のワクチン価格設定に採用されることを視野に入れていると見られている。

「段階的価格設定」とは、社会経済情勢に応じて、異なる国に異なる価格で医薬品を販売する方法を指し、それぞれの価格が各国の支払える最高額をもとに決定されるため、製薬企業はどの国でも最大限の利益を見込むことができる。昨今、中産階級の台頭が目を引く中所得国が、極めて高額の支出を強いられる例も多い。段階的価格設定は薬価の最低限度額を反映したものではなく、ジェネリック薬(後発医薬品)による価格競争にも反作用として働くため、さらに所得の低い国が損失を被る恐れもある。ジェネリック薬の価格競争は、長期的には薬価の低下に結びつくこともあるにもかかわらずだ。

<ドナーからの拠出金の有効利用を>

HIV/エイズの第一選択薬の価格を例に挙げると、ジェネリック薬のもたらした価格競争は、患者1人あたりの年間費用を10年前の1万米ドルから、現在の120米ドルまで99%近く引き下げた。しかし、段階的価格設定により、中所得国は第二選択薬の「ロピナビル/リトナビル合剤」の購入に患者一人あたり年間740米ドルもの支出を強いられている。これは低所得国向け価格を60%以上上回る(製薬企業アボットの設定の場合)もので、例えばブラジルのようにHIVを抱えて生きる貧しい人の多い国では持続的な価格設定とはいえない。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
PR TIMES

トピックスRSS

ランキング