TPP: 交渉加速の前に人びとの生命線を脅かす条項の拒絶を

PR TIMES / 2013年12月6日 15時27分



環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の年内妥結を目指した交渉参加12ヵ国の閣僚会合が12月7日よりシンガポールで開催される。国境なき医師団(MSF)は、同協定の条項が、適正価格のジェネリック薬(後発医薬品)の供給という多くの人にとっての命綱に著しい悪影響があるとして警鐘を鳴らしている。

米国ソルトレイクシティで11月26日まで行われていた実務面に関する直近の交渉では、米国政府が、貿易相手国やMSFといった機関・団体など各方面から拒絶されている知的財産条項案に固執しただけでなく、新世代の生物製剤の高価格保護につながる追加的要求と、その履行を最貧国にも義務付ける条項修正案を提示した。

<先例のない有害な条項>

MSF必須医薬品キャンペーン政策分析ディレクターのロヒト・マルパニは、「米国は2年にわたり交渉参加国を牽制し続けた挙句、妥結の目標期日という圧迫感を利用して、公衆衛生と医薬品の普及流通を阻害し、途上国に課されるものとしては先例のないほど有害な規制の承認を各国に迫ろうとしているのです。米国政府の狙いは、製薬企業の権限を拡大し、世界の何百万人という人びとが負担する薬の費用を吊り上げさせ、その一方で各国の公衆衛生保護の権限を狭めることです。MSFは交渉の全参加国に、締結目前の勢いに押され、有害な規定の承認を迫る政治的圧力に屈せぬよう求めます」と訴えている。

生物薬品について米国が推す12年間の臨床データ保護という新たな要求は、バイオ製薬企業の独占保護強化を許すものだ。この「データ独占」条項により、医薬品登録当局は、高価格薬の低価格版を承認する際に必要なデータの参照ができなくなり、価格低下をもたらす競合も妨げられるだろう。当該条項案は、消費者を薬価の高止まりから保護するため、国内のデータ独占の法定期間を7年に短縮しようという米国政府自らの発議にも真っ向から対立する。

<解決策とならない特例扱い>

政治的譲歩を引き出すため、米国政府は、交渉に加わっている複数の最貧国に一部条項の満了猶予を一定期間認める、知的財産関連規定の特例扱いも提案している。しかし、適正価格の医薬品の重い足かせとなっている既存の国際貿易法の要求よりもはるかに厳格な知的財産関連規定そのものが、その最貧国を含むすべての締結国に猶予なく課されることに変わりはない。そして、いずれはすべての有害条項が全締結国に適用されることになるだろう。

MSF必須医薬品キャンペーン米国マネージャー、ジュディ・リウス・サンフアンは次のように述べている。
「米国は、前政権が過去の通商協定において一部の途上国に行ったのと同様の譲歩を、修正後の条項案で提示しているといいますが、実のところ、現行案は、そうした過去の通商交渉の協定よりも有害なものです。こうした表面的な譲歩からわかることは、米国政府が公衆衛生を懸念する声に依然として耳を貸していないということです。修正後の米国案は、やがて環太平洋地域の貧しい人びとに壊滅的な影響を及ぼすでしょう。承認すべきではありません」

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2013年11月、交渉中の知的財産条項の関連文書が内部告発サイト「ウィキリークス」によって公開され、米国と他のほぼすべての交渉参加国の立場の違いが明確になった。漏洩した知的財産条項案を見ると、米国は医薬品の普及流通について、過去の通商協定に例を見ない厳格な条項案を推している。同条項案は、公衆衛生のセーフガードを骨抜きにし、各国は国民の命と健康を守るために必要な方策を打てなくなるだろう。また、漏洩文書からは、カナダ、チリ、ニュージランド、マレーシア、シンガポールといった一部の国の政府が、医薬品の普及流通に擁護的な対抗案を提出していることもうかがえる。しかし、交渉筋による最新の情報からは、米国がこの対抗案の検討を拒み、公衆衛生と医薬品の普及流通に極めて有害な立場を維持する姿勢が見てとれる。

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