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南スーダン:戦火の医療活動――マラカル、レールからの報告

PR TIMES / 2014年2月27日 15時16分



武力衝突が続く南スーダンで、多くの町が容赦ない暴力の被害を受け壊滅的な状況に陥っている。医療援助も戦火にさらされ、現地で活動する国境なき医師団(MSF)は、病床で銃撃を受けた患者、医療機器の略奪、病院の破壊などを目撃、大勢の人が救命援助を受けられていないと訴えている。

上ナイル州マラカルでMSFが目撃した惨状も直近の襲撃や武力衝突によるものだ。市内の病院内で殺害された患者の姿も確認している。また州内のレールでも、昨年12月中旬の紛争発生以降、医療施設が深刻な襲撃を受け、現地を調査したMSFは略奪と放火と破壊に遭った病院の姿を目にした。町の大半が徹底的に荒らされたようだ。

<マラカルの惨状>

2月22日、MSFはマラカルにある病院敷地内で少なくとも14人の遺体を発見した。遺体は、ベッドに横たわったまま銃殺された人びとであることが生存者からの証言で明らかになっている。それによると、2月19日、武装グループが病院に押し入り、差し出せる金銭や携帯電話のない人を銃殺。また同日午後に武装した男たちが再びやって来て、病床の患者や、手術室に避難していた人びとを殺害。さらに、幼い少女を含む女性たちを強姦したという。病院の敷地内では、栄養失調児の治療センターを含む病棟の多くが放火され、施設全体に明らかな略奪の跡が残されていた。MSFは特に重病の患者を治療のため、市内の国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)の拠点に移送。このうち13人が銃撃の被害者だった。

現地で活動にあたったMSF緊急対応コーディネーター、カルロス・フランシスコは、「町から人が去り、焼け落ちた住宅と道に打ち捨てられた無数の遺体が残されています。マラカルで行われた残酷な行為を言い表す言葉が見つかりません」と話している。

<破壊し尽くされたレール病院>

レールでは1月末から2月上旬にかけて地元病院が略奪と破壊に遭った。その後、レール病院の調査に赴いたMSFの目に映ったのは、灰と化した設備や建物、床一面に打ちつけられ散らばった薬の瓶、壊され至るところに投げ捨てられた消毒済み外科器具といったすさまじい光景だった。薬や物資は余すところなく奪い去られ、ベッドは敷地内に1床も残っていないほどだ。

25年前に開業したレール病院は地域唯一の2次医療施設であり、周辺地域の住民約30万人に欠かせない命綱だった。2013年だけで6万8000件以上の診療が行われ、南スーダンの紛争が勃発した2013年12月15日から2014年1月15日までの診療は4000件余り。また、1月下旬に閉鎖を余儀なくされるまで、約170件の手術が行われた。

「レールだけでなくユニティー州南部全域の住民から、MSFの救命医療は頼りになると認識されていたのですが、それももう請け合えなくなってしまいました。数え切れない人びとが命の危険にさらされ、最大の被害者となるのです」、MSF活動責任者のラファエル・ゴルジュは訴える。

<やぶの中に避難した患者の治療に奮闘>

レール病院で働いていたMSFの現地採用スタッフ240人が現在もやぶに隠れながら、物資不足の中で患者の治療に悪戦苦闘している。報告によると、包帯を再利用し、汚れた川の水を飲んだり、食糧不足でスイレンを食べたりして体調を悪化させた避難者の援助に尽力しているという。MSFは、やぶの中の避難者への医療提供、およびスタッフへの物資補給のため、あらゆる手段を模索している。

レール病院での活動再開は急務となっている。しかしそれには相当の人的・物的資源の投入だけでなく、医療行為と患者に対する無条件の尊重が紛争の各陣営から得られるか否かにかかっている。これはユニティー州南部に限らず、国内全域について言えることだ。

「南スーダンでは医療も戦火にさらされます。病院は今、治療のための避難所というよりもむしろ、攻撃と残酷な行為の標的であり、本来の目的と役割にまったく相反する、全く安心できない場所となってしまいました。国内のたくさんの人が住居、食糧、水、医療を緊急に必要としています。問題は、この上ない不敬と恐怖がまん延する中、いかにして効果的で中立な援助を行えるかです」ゴルジュはこう言い添えている。

MSFは現在、全国10州のうち9州およびビエイ地域で合計17件のプログラムを展開している。現在の危機的事態発生後10週間にMSFが行った診療は10万3614件(うち5歳未満児4万925件)、入院治療は3767件(うち5歳未満児2282件)、戦闘による負傷を治療した患者1393人、大手術755件、分娩介助2157件。全プログラム合計で333人の外国人スタッフと3330人の現地スタッフが活動している。

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