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~東京大学及びアルマード 産学連携研究成果に関する国際学会における発表のお知らせ~身近な食品ながら産業廃棄物とされる卵の薄皮「卵殻膜」摂取によって肝機能改善効果

PR TIMES / 2012年12月5日 9時30分



国立大学法人東京大学(本部:東京都文京区、総長:濱田純一、以下 東京大学)と、株式会社アルマード(本社:東京都中野区、代表取締役社長:鈴江 由美、以下 アルマード)では、2007 年より産学連携によって、卵殻膜摂食による消化吸収に関する研究を行ってきましたが、このたび、本研究成果を、「栄養補助食品・機能性食品国際学会(The International Society for Nutraceuticals and Functional Foods、
開催場所:アメリカ合衆国ハワイ州)」において、2012 年12 月5 日(水)に発表いたしますので、下記の通りお知らせいたします。

今回の発表は、四塩化炭素誘導肝障害モデルラットが、微粉砕された卵殻膜の摂取により、肝障害の症状が改善され、炎症や肝繊維化形成が抑制されている方向の様々な変化が見られた、という成果に関するものです。卵殻膜は、従来、産業廃棄物とされてきましたが、その中から新たに機能性を見出したことは、今後、卵殻膜の有用性について研究を進めていくことで、新たな機能性食品や医療品等開発など、新規産業創造への貢献が期待できます。

■発表概要
東京大学総括プロジェクト機構「食と生命」総括寄付講座 加藤久典特任教授の研究グループは、四塩化炭素誘導肝障害モデルラットを用いた実験から、微粉砕された卵殻膜(注1 参照、卵の薄皮部分)の摂取により肝障害の症状が改善され、さらに遺伝子レベルでの解析により炎症や肝繊維化形成が抑制される方向の変化が誘導されることを見出しました。四塩化炭素は肝臓に炎症を誘導し、長期間の投与では肝硬変のモデルとして動物実験において広く用いられています。肝臓機能に着目したのは、初期に行った正常ラットにおける遺伝子発現の網羅的解析により、肝線維化抑制に関わる変化が予想されていたためであり、本研究の成果から、従来、産業廃棄物とされていた卵殻膜の機能性を明らかにすることで、新たな機能性食品の創出や産業への貢献が期待できます。
なお、日本時間2012 年12 月5 日(水)午前3 時半以前の発表は禁じられています(米国ハワイ時間・4 日(火)8 時半に「栄養補助食品・機能性食品国際学会《The International Society for Nutraceuticals and Functional Foods》(開催場所:アメリカ合衆国・ハワイ州)」にて発表予定のため)。

■研究内容
1.研究の背景・先行研究における問題点
東京大学総括プロジェクト機構「食と生命」総括寄付講座 加藤久典特任教授の研究グループで、これまでに卵殻膜成分の摂取が正常ラット肝遺伝子発現に及ぼす影響の網羅的解析を行ったところ、肝線維化に深く関与するとされるI 型コラーゲン(注2 参照)の発現低下およびその周辺調節因子の顕著な発現変化が検出されました。また、最近Benson らが末梢血単核球を用いた細胞実験において、卵殻膜添加により炎症を引き起こす因子であるTNF-α(注3 参照)が減少したことを報告しています(KF Benson,J Med Food. 2012 April)。そこで、本研究では、四塩化炭素誘発性肝障害ラットにおいて、卵殻膜成分の摂取が肝障害の抑制などの肝機能改善作用に及ぼす影響を検討しました。

2.研究方法
3 週齢のラットを、1 週間予備飼育後、無作為に1 群を6 匹として3 群に分け、1、2 群には標準食、3 群には標準食および卵殻膜微粉末2%添加食を給餌しました。2、3 群には50%四塩化炭素(1ml/kg)を週2回連続皮下投与し、肝障害を誘導したモデルを作製。一方、対照群である1群にはオリーブ油1ml/kgを同様に皮下投与し、期間中に、週2 回体重、摂食量を測定しました。実験終了時にあらかじめ12 時間絶食後、ペントバルビタールで深麻酔し、頸動脈放血により採血し、肝臓を摘出しました。

3.研究結果
実験期間中の体重推移および肝臓重量の結果では、対照群(1 群)に比べ、四塩化炭素のみ投与群(2 群)では最終体重が有意に減少および肝臓重量が有意に増加しましたが、卵殻膜摂取群(3 群)では体重減少および肝臓腫大の改善傾向がみられました。
生化学検査の結果では、四塩化炭素により肝障害を誘発させると、肝毒性および肝繊維化マーカーであるAST、ALT およびコラーゲンの含量はともに著しく上昇しました。これに対し、卵殻膜摂取群(3 群)においては、各値の上昇が抑えられました。一方、血中および肝臓中の脂質の測定結果では、四塩化炭素の投与により減少した血漿中脂質、および増加した肝組織脂質が、卵殻膜を摂取することによりいずれも改善傾向がみられましたが、有意差はありませんでした。これらの結果のメカニズムを解明するため、DNA マイクロアレイを用い、遺伝子発現レベルを比較検討しました。四塩化炭素のみの投与群(2 群)と比べ、卵殻膜摂取群(3 群)で1.5 倍以上発現増加した22 遺伝子、もしくは発現減少した93 遺伝子を抽出し、解析ツールであるIngenuity Pathway Analysis を用い、脂質代謝、炎症、アポトーシス、酸化ストレスに関するネットワーク解析を行いました。その結果、肝臓繊維化に関わる細胞外マトリックス(ECM、注4 参照)の成分であるI 型コラーゲンやアスポリンなどの発現が有意に減少したので、卵殻膜摂取が繊維化形成を介するECM の増加を抑制することが示唆されました。さらに、肝星細胞(注5 参照)活性及び繊維化に関連する増殖因子のPdgfra、Igfbp1、Tgfb およびVegf(注6 参照)の発現が減少し、卵殻膜摂取により繊維化形成の抑制が示唆されました。これらの因子の変化が、本研究で卵殻膜摂取における肝機能保護作用の主機構である可能性が示されました。
以上の結果からラットにおいて卵殻膜摂取は、四塩化炭素により誘発した繊維化形成を抑えることで、結果的に肝臓の炎症拡大、さらに進行する肝障害を抑制している可能性が推察されました。

■社会的意義・今後の予定
卵殻膜は通常可食部とされないので、食品産業においてその大部分が副産物や産業廃棄物として廃棄されており、あまり利用されていないのが現状です。年間7,000 トンあまりの廃棄が試算され、食品産業界では、その利用開発は環境問題などを含めて大きな課題となっています。一方で、卵殻膜は古くから炎症抑制作用を有するということが知られており、本研究ではこの卵殻膜を肝障害モデルラットに給餌し、繊維化形成さらに肝障害を抑制できたことを明らかにしました。ヒトでも同様の効果があるかについては今後の検討課題ですが、ヒトを対象とした試験も準備を進めており、結果を報告できるかと思います。また、他の疾患モデルにおいての検討も順次開始しています。
このように、今後も卵殻膜の有用性についての研究を進めることによって、新たな機能性食品の創出や産業への貢献が期待できます。

■発表概要
-発表学会:栄養補助食品・機能性食品国際学会(開催場所:アメリカ合衆国ハワイ州)
(The International Society for Nutraceuticals and Functional Foods)
-発表日時:ハワイ時間…2012 年12 月4 日(火)、午前8 時半
(日本時間…2012 年12 月5 日(水)、午前3 時半)
-発表タイトル:Suppressive effects of eggshell membrane on carbon tetrachloride-induced hepatic injury in rats
-研究者:賈慧娟1)、斉藤憲司1) 、中澤京子1) 、長谷部由紀夫2) 、加藤久典1)
(東京大学・総括1)、株式会社アルマード2))
■研究プロジェクト概要
【研究責任者】
東京大学 総括プロジェクト機構「食と生命」総括寄付講座 特任教授 加藤久典
【産学連携企業・株式会社アルマード 会社概要】
-商号 株式会社アルマード
-本店 東京都中野区本町2-48-2
-代表者 代表取締役社長 鈴江 由美
-設立 2000 年10 月18 日
-資本金 60 百万円
-事業内容 卵殻膜を主要素材とした化粧品、サプリメント等の企画・開発・販売
-株主 株式会社セシール(フジ・メディア・ホールディングスグループ)

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