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日本企業における「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2018年版、「アジア進出日系企業におけるリスクマネジメントおよび不正の実態調査」2018年版の結果を同時公表

PR TIMES / 2019年2月14日 12時40分

【日本版】
・国内で最も優先すべきリスクは「地震・風水害等、災害の発生」(41.9%)で3年連続トップ
・「原材料ならびに原油高の高騰」が国内で最も優先すべきリスク9位に上昇。海外拠点では「市場における価格競争」への課題意識も高まっている
・クライシス発生時の成功要因として、クライシス経験企業はリーダーシップの発揮を、過去に経験していない企業はクライシスへの事前準備を重視

【アジア版】
・原材料、原油高、価格競争等「経済環境関連」リスク、人材流失、人件費高騰等の「人材・労務関連」リスクを優先すべきリスクとする回答が増加した
・特に人材流失、人材不足が優先すべきリスクという回答が増加し、成長市場であるアジアの特徴が浮き彫りになった
・購買・営業・製造における管理職による不正が多い傾向は変わらない
・モニタリングを含む事後的に不正を発見する内部統制の強化により、不正発見件数は増加しつつある



有限責任監査法人トーマツ(東京都港区、包括代表 國井泰成)は、日本の上場企業を対象とした「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」2018年版(以下、「日本版」という)と、アジア(インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア、フィリピン、中国およびインド)にある日系企業拠点に対して、「アジア進出日系企業におけるリスクマネジメントおよび不正の実態調査」2018年版(以下、「アジア版」という)を本日同時に公表します。

日本版では、リスクマネジメントならびにクライシスマネジメントの認識や、その準備・対応策の現状把握を目的に調査を実施し、430社から有効回答を得ました。また、アジア版では、413件の有効回答を得ました。


1.日本版の主な調査結果

1)上場企業において最も優先して着手すべきリスクの種類
日本国内において最も優先して着手すべきリスクの種類は、前々回調査の2016年、前回調査の2017年に引き続き「地震・風水害等、災害の発生」が41.9%で3年連続の最多となりました。日本国内ではこれまでも数多くの自然災害が発生してきましたが、2018年に発生した台風、豪雨、地震といった災害の影響がリスクに対する企業の意識を高める一因となっているようです。2位は2017年調査時には3位であった「人材流出、人材獲得の困難による人材不足」の28.3%、前回2位であった「法令順守違反」は24.6%で3位に順位を下げました。昨今の製品やサービスに関する品質不正を背景に、「製品/サービスの品質チェック体制の不備は20.5%と、前回調査の5位から4位へと順位を上げたほか、「原材料ならびに原油高の高騰」が前回13位から9位になりました。

海外拠点においては、「法令順守違反」が23.6%で1位(2017年は2位)となりました。国内外を問わず、コンプライアンスに関するリスクは、前回調査でも注目が高まっていることが見て取れましたが、2位に入った「子会社に対するガバナンス不全」と併せ、今回の調査でも企業における危機意識の高まりが結果として明らかになりました。

日本国内において1位となった「地震・風水害等、災害の発生」は海外拠点において4位(2017年は6位)となっています。生産拠点等の事業拠点が海外に移る中で、日本企業にとって災害への対策が急務となっている意識が見受けられます。(図表1)

図表1 日本国内と海外拠点それぞれにおける、優先して着手が必要と思われるリスクの種類


[画像1: https://prtimes.jp/i/202/203/resize/d202-203-780936-0.png ]

2)上場企業における「リスクマネジメントプラン」の拠点別策定状況
国内本社、国内子会社、海外子会社統括拠点、海外子会社、それぞれにおける「リスクマネジメントプラン(※)」の策定状況を聞いたところ、国内本社は、「実施している」61.9%(前回60.6%)、「一部実施している」26.5%(前回28.9%)と割合は若干下がっているものの、両者を合わせて9割近い高水準となりました。国内子会社においても、「実施している」37.4%(前回33.0%)、「一部実施している」27.4%(前回27.5%)と合わせて6割以上の企業がリスクマネジメントプランを策定していることがわかりました。

2017年版の結果と対比したところ、国内子会社、海外子会社統括拠点、海外子会社で、「実施している」「一部実施している」の割合の合計が増えました。このことから、リスクマネジメントに対する企業の意識が、高まっており、各拠点におけるリスクマネジメントの意識が高まってきているといえます。

3)上場企業がこれまでに経験したクライシスの分析
発生年に関わらず、グループ内でこれまでにクライシス経験があるかどうかを聞いたところ、全回答企業の54.2%にあたる233社が「経験あり」と回答しました。業種別にみると、陸・海・空運(75%)、小売・流通(64.1%)金融業と不動産業(ともに63.6%)が、他の業種に比べ経験した企業の割合が高いことがわかりました。

過去にクライシスを経験した233社を対象に、クライシス発生時の対処ステージ(初動対応~事態沈静化)までの成功要因を3つまでの選択形式で聞いたところ、最も多かったのは「トップのリーダーシップ、トップダウンでの迅速な意思決定がなされた」(51.1%)、つづいて「情報収集・伝達ルートと収集情報の分析・判断のルールが整備されていた」(46.8%)でした。他方、過去にクライシスを経験していない177社へ対処ステージにおける成功要因と想定される要素を聞いたところ、最も多くの支持を集めたのは「クライシス発生に備えた事前の組織の枠組み」と「クライシス発生に備えた事前の準備ができていること」(ともに57.6%)であり、経験企業で割合の高い結果となった「トップのリーダーシップ、トップダウンでの迅速な意思決定がなされること」は、53.1%の3位にとどまりました。クライシスを経験した企業は組織のリーダーによるリーダーシップの発揮やトップダウンでの迅速な意思決定を成功要因として挙げる一方で、過去にクライシスを経験していない企業はクライシスに備えた組織の枠組みや、規定整備、訓練といった「準備」の要素を重要視する傾向があり、クライシス経験の有無によって意識の違いが現れる結果となりました。

2.アジア版の主な調査結果

1)日本本社とアジア拠点でのリスク認識の違い
日本本社が認識する海外拠点において優先すべきリスクと、アジア拠点が認識するリスクを比較したところ、ともに1位は法令遵守違反で共通していました。その他のリスクとして、日本本社は子会社に対するガバナンス不全や、品質チェック体制の不備といった内部要因リスクを主なリスクとして捉えている一方、アジア拠点は価格競争や人材不足等の外部要因リスクを主なリスクとして捉えていました。これは、製造拠点の多いアジア拠点において、よりマーケットの変化に敏感になっていることを示しています。その反面、日本本社が感じているほど、アジア拠点では内部要因リスクの重要性を認識しておらず、さらなるアジア拠点での意識の改善、地域統括機能によるガバナンスの向上が必要であることを示しています。(図表2)

図表2 日本本社が考える海外拠点において優先して着手が必要なリスクと、アジア拠点が考える優先して着手が必要なリスクの比較
[画像2: https://prtimes.jp/i/202/203/resize/d202-203-896972-1.png ]

2)アジア拠点が識別する優先して対応が必要なリスクの推移
アジア拠点が識別する最も優先して対応が必要なリスクは、前回調査の2017年に引き続き「法令遵守違反」が34.3%で最多となりました(図表2)。アジア各国でも労働、環境、税、贈収賄等に関連する法規が改正・施行され、法令環境の変化への対応が求められていることが分かります。2位は2017年調査時と変わらず「市場における価格競争」、2017年調査時には5位であった「人材流出、人材獲得の困難による人材不足」が3位となりました。これは、アジア全体の経済成長を受けて全域的に日系企業が人材確保に苦慮していることが分かります。また、「役員・従業員の不正・贈収賄等」に関しては、16.7%から13.7%と下がり、順位も6位から9位に下がりました。これは、このリスクそのものが解消されたわけではなく、「市場における価格競争」等の外部要因リスクが増加したことにより、相対的に順位が下がったと推測されます。

3)アジア拠点が経験した不正の種類と発生部署
過去三年間の不正発覚の有無を聞いたところ約4割の企業が「有り」と回答しています。次に、その不正の種類を聞いたところ「在庫・その他資産横領」「不正支出」「賄賂」の順となりました。特に、これらは前回調査の2017年時より回答割合が増加しています。これは、依然として不正を防止する内部統制などの十分な事前の統制が効いておらず、不正の発生を抑えきれていないことを示しています。特に、「賄賂」に関しては、アジア各国で法整備が進み、回答者の意識が変わったこと、モニタリングを含む事後的に不正を発見する内部統制が強化されたことにより、不正として認識しやすくなったこと等を理由として、割合が増加していると考えられます。

次に、不正が発生した部署に関しては、前回の2017年調査と同様に、「購買部」「営業部」「製造部」が突出しており、取引先との接触の多い部署での不正が多いことが分かります。特に、購買プロセスに関しては不正を防止するための十分な内部統制を組み込んだ業務フローを構築できておらず、「プロセス上の統制不備」を突かれた不正が多く発生しています。

図表3 「日本版」「アジア版」におけるリスクおよびクライシスの種類とその分類 (共通)
[画像3: https://prtimes.jp/i/202/203/resize/d202-203-656509-2.png ]


3.調査概要

<日本版>
2018年10月~11月に、有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部が日本の上場企業 約3,500社を対象にアンケート形式で調査を実施し、有効回答数は430社となりました。詳細な調査結果は「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査 2018年版」(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20190214.html)を参照ください。なお、本調査における「リスクマネジメント」と「クライシスマネジメント」の用語については、以下のとおり定義しています。

○リスクマネジメント:
企業の事業目的を阻害する事象が発生しないように防止する、その影響を最小限にとどめるべく移転する、または一定範囲までは許容するなど、リスクに対して予め備え、体制・対策を整えること

○クライシスマネジメント:
どんなに発生しないよう備えても、時としてリスクは顕在化し、企業に重大な影響を与えるクライシスは発生し得ることを前提に、発生時の負の影響・損害(レピュテーションの毀損含む)を最小限に抑えるための事前の準備、発生時の迅速な対処、そしてクライシス発生前の状態への回復という一連の対応を図ること
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/202/table/203_1.jpg ]

※本調査ならびに本ニュースリリース中の数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計値が100%にならないことがあります。

<アジア版>
2018年11月に、有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部がアジア地域(インドネシア、シンガポール、タイ、 マレーシア、フィリピン、中国及びインド)に進出されている日本企業の子会社に対し各地域にあるDeloitteのRisk AdviosryおよびJapanese Services Group (JSG)の協力を得て調査を実施し、有効回答数は413件となりました。詳細な調査結果は詳細な調査結果は「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査 2018年版」(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20190214.html)を参照ください。なお、本調査における「リスクマネジメント」の用語については、日本版と同様に定義しています。
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/202/table/203_2.jpg ]

※本調査ならびに本ニュースリリース中の数値は小数点第2位を四捨五入しているため、合計値が100%にならないことがあります。

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