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エボラ出血熱:西アフリカで治療薬の迅速な治験始まる

PR TIMES / 2014年9月25日 18時30分



既に2600人以上の命を奪ったエボラ出血熱に対する治療薬の臨床試験が西アフリカで実施されることとなった。効果が見込まれる候補薬を迅速に治験する国際的な取り組みとして初の試みとなる。

この試みで、世界各国の連携機関(コンソーシアム)は短期間で既存のエボラ治療施設内に臨床試験体制を立ち上げることが可能になる。コンソーシアムには、国際重症急性呼吸器・新興感染症協会(ISARIC)、国境なき医師団(MSF)、世界保健機関(WHO)、パスツール研究所、ダカール・パスツール研究所、メリユ基金とグローバル・ヘルス・ネットワークが参加。世界2位の資金力を持つ医学研究支援団体である英ウェルカム・トラストが320万ポンドを無償資金協力している。

エボラウイルスはヒトに対する毒性が最も強いウイルスの1つであり、今回の先例をみない規模の流行は国際平和と安全保障への脅威と国連が宣言、緊急対応への要求につながった。WHOは8月の専門家会合で、この例外的な状況においては、実験段階の治療薬の使用は倫理にかなうと全会一致で結論している。

いくつかの候補薬については、すでにヒト以外の霊長類に対する動物実験やコンパッショネート・ユース(※)などで有望な結果が出てきているものの、エボラに感染したヒトに対する有効性や安全性に関する試験が行われたものはまだない。全ての新薬は臨床試験の厳格な環境下で評価される必要があり、治験はオックスフォード大学熱帯医学世界保健衛生センターとISARICに所属するピーター・ホービー医師によって主導される。実際に候補薬をエボラ患者に投与してその効能を迅速に評価し、安全性と有効性が確認された薬物は最速で実用化できるようになる。

※人道的配慮から、生死に関わる病気の患者に対し、販売承認に先立って未認可薬の使用を認める制度

資金はコンソーシアムによる臨床試験プラットフォームの立ち上げと、治験が正式に行われる西アフリカ域内の複数の治療施設に投入される。コンソーシアムは流行各国の保健衛生当局と連携し、治験そのものが、現在行われている治療やスタッフの安全面ならびに心理面の負担とならぬよう、また治療施設自体の運営に害を与えないように徹底しつつ、治験に適した施設を選定する。その上でWHOは、候補薬の手配、迅速な倫理審査と流行国における治験実施を進める。今回の治験が実際にどのように行われるかといった詳細は、全関係者ならびに治験に関与する地元コミュニティも参加の上で議論が続いている。また治験が無作為と非無作為介入群の両方で行われることも可能性として存在している。

候補薬は現在複数が検討されており、WHOによって任命される独立した専門家グループが、見込まれる効果、それらを使用して処置を行える医療機関とその数、治療施設環境下で安全投与が可能か、使用にたえる規模での製造能力などを総合的に判断し優先順位を決める。製薬会社は、マップ・バイフォファーマシューティカル社、サレプタ・セラピューティクス社、テクミラ・ファーマシューティカルズ社など複数社が協力し、潜在的な候補薬数種に関して、有効性、安全性、製造能力に関する重要データを提供することが決まっている。

最初にどの薬の試験が行われるかに関してはWHOの勧告を待ちつつ、コンソーシアムは流行国における治験実施組織との協働を開始して候補施設の適合度評価、臨床試験プラットフォームの機材設置と人員配置などの体制づくりにかかる。これと並行して治験責任者らは流行地域住民、各国の倫理および規制当局とも連携して、今回の流行状況下で可能な最良の研究計画を決定する。

この試みはウェルカム・トラストによる数百万ポンド規模の支援の一環として行われ、公衆衛生の危機に取り組む、公共、営利、非営利をまたぐ他に例をみない国際協力――英国および西アフリカにおけるエボラワクチン候補の治験、および流行抑制のための人道援助活動研究に対する資金確保の加速を可能にしている。

<コンソーシアム関係者のコメント>

ピーター・ホービー医師:「西アフリカの状況は大きな悲劇であり、有効な薬があるかどうかすぐにでも知る必要があります。他の疾患の薬と同様に、まともな臨床試験が必要なのですが、これまでで最も難しいと思われる流行に対し、迅速で信頼できる回答を出すには新しいやり方が必要です。有効な薬は患者を助けるだけでなく、現地住民の間にエボラ治療施設に対する信頼を醸成し、患者の隔離と治療による流行抑制の成算も高めるのです」

ウェルカム・トラスト、ディレクター、ジェレミー・ファラール医師:「このような困難な状況下で臨床試験を実施することは大きな難題ですが、新しいエボラ候補薬に実際効き目があるか分かるのはこの方法だけです。それだけでなく、迅速な治験の後には、有効性が確認された候補薬全てについて大規模製造と流通が続きますから、今回の流行で使える医薬品も出てくるかもしれません。ウェルカム・トラストの資金援助でこれらの治験を、倫理面、科学面の必要要件を満たした環境で素早く行えるようになります」

WHO、保健医療体制とイノベーション事務局長補、マリー=ポール・キエニ医師:「より多くの住民に資するため、WHOは今回の流行を背景に、安全性と有効性に関してできるだけ多くのデータ収集を徹底しつつ、エボラ患者の治療には未収載の候補薬利用も倫理にかなうと承認しています。本プラットフォームはこの勧告を行動に移す絶好の機会です」

WHO熱帯病研究と研修特別プログラム、シニア・リサーチ・マネジャー、ピエロ・オリャロ医師:「この臨床試験プラットフォームによって、エボラが流行している西アフリカ地域の国々で、潜在的な候補薬の試験が素早くできるようになります。進行中の科学研究における重要な一歩として、治験で得られたデータは公開されます。ウェルカム・トラストの財政援助はこのひどい流行に対する新たな治療法発見を後押してくれるのです」

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