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IBM、実用的な量子コンピューティングの時代に向けた新たなロードマップを発表

PR TIMES / 2022年5月13日 18時45分

4,000 ビット超のシステムの提供を計画

・インテリジェントなソフトウェアと、個々が接続可能な形にモジュール化された新しいプロセッサーを連携し、量子と古典的なコンピューティングの強みを活用して、近未来なQuantum(R) Advantageに到達
・量子コンピューティングへのアクセスのし易さや利便性、性能など大幅に向上させるQiskit Runtimeを開発者に提供
・スピードと品質に妥協することなく拡張可能な能力で、量子コンピューターを中心としたスーパー・コンピューターの基盤を構築
・先進の量子安全機能で、今日の企業データを「今データを盗み、将来的に解読を試みようとする」攻撃から防護



[米国ニューヨーク州アーモンク-2022 年 5 月 10 日(現地時間)発] IBM(R)は本日(現地時間)、大規模で実用的な量子コンピューティングの実現に向け、ロードマップの拡充を発表しました。新たなロードマップでは、IBMの量子システムの量子ビット数を最大数十万ビットに拡大するため、新しい個々が接続可能なモジュール式のアーキテクチャーの計画を詳しく説明しています。 実用的な量子コンピューティングに求められるスピードと品質を担保するために、IBM は、ワークロードを効率的に分散し、インフラストラクチャーの課題を取り除く、インテリジェントなソフトウェア・オーケストレーション・レイヤーの構築を継続していきます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/46783/243/resize/d46783-243-a1086882d81dd1f450f6-0.png ]

IBMは、実用的な量子コンピューティングの時代を切り拓くために、堅牢でスケーラブルな量子ハードウェア、アクセス可能で強力な量子プログラムを実現する最先端の量子ソフトウェア、そして量子コンピューティングに対応した組織やコミュニティーによる幅広いグローバルなエコシステムという 3 つの柱を活用し、取り組んでいます。

IBM のシニア・バイス・プレジデントでリサーチ・ディレクターのダリオ・ギル(Dr. Darío Gil)は次のように述べています。「わずかこの 2年間で、私たちのチームは、既存の量子ロードマップにおいて驚くべき進歩を遂げてきました。 当社のビジョンを実行することで、量子コンピューティングの未来と、実用的な量子コンピューティングの時代に到達するために何が必要かを明確に把握することができました。また、当社のロードマップにある、Qiskit Runtimeプラットフォーム、ハードウェア、ソフトウェア、理論の目標の進展により、開発者コミュニティーやお客様のために大規模で高性能なコンピューターの能力を開放する、量子セントリック・スーパーコンピューターの時代をリードすることを目指します」

https://sqps.onstreamsecure.com/origin/multivu_archive/MNR/IBMAnimation_IBM_Quantum_Kookaburra_4,000plus_Qubit_Processor_2025.mp4

IBMは、2020 年に最初の量子ロードマップを発表しました。 それ以来、IBMは量子ロードマップのタイムラインで示してきた各目標を達成してきました。達成した目標の一例として、古典的なコンピューターでは正確にシミュレーションが不可能な量子回路を備えた127量子ビット のプロセッサーであるIBM Eagleが含まれます。そのアーキテクチャーは、量子ビット数を拡大させるプロセッサーの基礎を築きました。 さらにIBMは、IBMのコンテナ型量子コンピューティング・サービス、およびプログラミング・モデルであるQiskit Runtimeを用いた分子シミュレーション能力において、2017年の先行実験と比較し120倍の高速化を実現しました。さらに、2022年後半には、以前策定したロードマップ上の目標を継続し、433量子ビットの プロセッサーである「IBM Osprey」を発表する予定です。

2023年、IBMは、Qiskit Runtimeとクラウド上に組み込まれたワークフローにより、フリクションレス(摩擦のない)な開発体験を構築するという目標を進展させ、コア量子ソフトウェア・スタックコアにサーバーレス・アプローチを導入し、開発者に高度な簡便性と柔軟性を提供する予定です。このサーバーレス・アプローチは、量子システムと古典システムの間で、問題をインテリジェントかつ効率的に分散処理させるための重要なステップとなります。ハードウェアの面では、IBMは1,000 量子ビットを超える、世界初のユニバーサル量子プロセッサー「IBM Condor」を発表する予定です。


[画像2: https://prtimes.jp/i/46783/243/resize/d46783-243-097f45abe3b1566c9419-1.jpg ]

IBMフェローで、量子コンピューティングの担当バイス・プレジデントのジェイ・ガンベッタ(Dr. Jay Gambetta)は次のように述べています。「私たちの新しい量子ロードマップは、量子技術の可能性を切り拓くために必要なコンピューティングの規模や品質、スピードをどのように達成していくかを示しています。Qiskit Runtimeによってモジュール式の量子プロセッサーと古典的なインフラストラクチャーを組み合わせ、ユーザーがワークフローに量子計算を簡単に組み込むことができるプラットフォームを構築し、それによって現代の本質的な課題に取り組むことができます」

モジュール式量子コンピューティングの導入
この新しいロードマップでは、IBMは量子プロセッサーのスケーラビリティーについて、3つの領域をターゲットにしています。

1つ目は、複数のプロセッサー間で古典領域での通信と並列処理を行う機能を構築することです。従来の計算リソースとサイズを拡張できる量子プロセッサを組み合わせることで、エラー緩和技術の向上やインテリジェントなワークロードのオーケストレーションなど、実用的な量子システムに必要な広範囲な技術へつながります。

スケーラブルなアーキテクチャーを実現するための2つ目のステップは、短距離のチップ間接続の導入です。 これは、複数のチップを緊密に接続して、単一のより大規模なプロセッサーを効率的に形成するもので、スケーリングの鍵となる基本的なモジュール性を導入するものです。

真のスケーラビリティーに到達するための3つ目の要素は、量子プロセッサー間の量子通信リンクの提供です。そのためにIBMは、クラスターをより大きな量子システムに接続するための量子通信リンクを提案しました。

これら 3 つの拡張技術を活用し、IBMは2025 年の目標である、モジュール式に拡張されたプロセッサーの複数のクラスターによって構築された 4,000量子ビット以上のプロセッサーの実現を目指します。

詳細については以下のブログをご覧ください。https://www.research.ibm.com/blog/ibm-quantum-roadmap-2025(英語)

量子セントリック・スーパーコンピューティングのファブリックの構築
IBM のロードマップでは、ハードウェアのブレークスルーと並んで、エラーの抑止と緩和を向上させるソフトウェア面でのマイルストーンを目標としています。これらの技術の活用で現在進んでいることは、ユーザーのアプリケーションに対するノイズの影響を最小限に抑え、量子ソフトウェアの性能を向上させ、さらには誤り訂正を持つ将来の量子システムへの道を拓くものです。

今年の初めにIBM は、アルゴリズムで使用される一般的な量子ハードウェア・クエリを使いやすいインターフェースにカプセル化する Qiskit Runtime のプリミティブを発表しました。 2023 年には、これらのプリミティブを拡張し、開発者が並列化された量子プロセッサー上でそれらを実行できるようにすることで、ユーザー・アプリケーションの高速化を計画しています。

これらのプリミティブにより、開発者は量子や古典リソースを柔軟かつ容易に利用することが可能になり、2023年にIBMのコア・ソフトウェア・スタックに量子サーバーレスを導入するという、IBMの目標を加速させます。最新のロードマップの一部として、量子サーバーレスは、IBMのソフトウェア・スタック内のコア機能のための基礎を構築し、弾力性のある古典リソースと量子リソースをインテリジェントにトレードオフして切り替えを行い、量子セントリック・スーパーコンピューティングのファブリックを形成します。

IBMの拡張版量子ロードマップで示された新しいシステムは、IBM Quantum System Two 内で稼働するように設計されています。IBM Quantum System Two は、モジュール性と柔軟性をテクノロジー・スタックのすべての層に組み込むことで、複数の量子プロセッサーを正しく接続させるために必要なインフラストラクチャーを提供します。このシステムのプロトタイプは、2023 年の稼働開始を目標としています。

IBMの量子安全
本日の発表には、IBMのセキュリティーでのリーダーシップを拡大し、サイバー・レジリエンシーを新たなレベルへ導き、予想される量子コンピューターの進歩によって進化しうる今後の脅威からデータを保護するという、IBMのコミットメントが含まれます。現在、安全に保護されていると考えられるデータさえ、将来の復号化のために盗まれ収集された場合、それらはすでに未来の量子攻撃者に侵害されてしまう可能性があり、大きな懸念材料となっています。過去、現在、未来を問わず、量子安全セキュリティーを使用して保護されていないすべてのデータがリスクにさらされます。量子安全規格への移行が遅れれば遅れるほど、より多くのデータがリスクにさらされることになります。

IBMには、そのような問題に実用的な解決策を提供する量子安全スキームを開発した、世界的に優れた暗号専門家が在籍しています。現在IBMでは、これらのスキームをデータのセキュリティー技術の最前線で活用できるよう、米国国立標準技術研究所(NIST)をはじめ学術機関や企業と連携を強化しています。

また、IBMは、量子力学の時代において顧客の最も貴重なデータを保護するために設計された暗号技術とコンサルティングの専門知識からなるIBM Quantum Safeポートフォリオを近々発表する予定です。

お客様を支援するため提供するIBM Quantum Safeポートフォリオは以下の通りです。

新しい量子安全暗号化の違いや組織への影響を理解するための教育を提供します。セキュリティーの専門家や責任者のために設計されたIBM Quantum Safe Awarenessサービスによる、次世代量子安全暗号化への移行のための戦略的洞察を定期的に提供します。
IBM Quantum Safe Scope Garage のワークショップを通じ、IBMコンサルティングによる戦略的ガイダンスを提供します。この新しいプログラムは、組織ごとのリスクやIT戦略、サプライチェーンの依存関係、エコシステムの運用に合わせた、量子安全への取り組みに優先順位をつけるための最初のステップとなる、ガイダンスと教育を提供するものです。
リスク評価と発見を自動化し、暗号インベントリー、依存関係、セキュリティ・ポスチャーを確立します。例えば、TSSのzSystemテクニカル・サービスでは、zSystem Quantum Safe Assessmentを提供し、量子ベースの暗号攻撃に対するエクスポージャーを迅速に把握することができます。
アジャイル暗号および量子安全暗号への移行により、暗号サービスなど、最新かつ柔軟なパラダイムを実現します。たとえば、IBMはすでにアジャイル暗号と量子安全暗号を実装し、IBM初の量子安全メインフレームシステムであるz16™,を構築し、量子安全暗号を採用しています。


IBM の将来の方向性および指針に関する声明は、予告なく変更または撤回される場合があります。これらは目標および目的を提示するものにすぎません。

<THINK Blogに公開されたQiskit Runtimeの関連情報>
2022年5月13日公開 「Qiskit Runtimeのプリミティブでアルゴリズム開発をより簡単に」
https://www.ibm.com/blogs/think/jp-ja/qiskit-runtime-for-useful-quantum-computing/

当報道資料は、2022年5月10日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URLを参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2022-05-10-IBM-Unveils-New-Roadmap-to-Practical-Quantum-Computing-Era-Plans-to-Deliver-4,000-Qubit-System

IBM Quantum Computingの関連情報:https://www.ibm.com/jp-ja/quantum-computing(日本語)

以上

IBM、ibm.com、IBM zSystems、Qiskit、は、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについは
<< http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml >>(US)をご覧ください。

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