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特許・論文のキーワード分析から見えた製造現場のイノベーションとは? 「自働化」と「個別化」が切り拓く「モノづくりDX」の未来

PR TIMES / 2022年7月26日 3時40分

アスタミューゼ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 永井歩)は、自社のイノベーションデータベースの解析から、製造業の現場におけるDX(いわゆる「モノづくりDX」)に関わるさまざまな注目キーワード(IoT, machine-learning 等)の出現頻度の変化から、製造現場のDXにおける技術開発の方向性を分析し、紐づくキーワードを抽出しました。その分析内容と結果についてご報告します。



アスタミューゼでは、技術とそれを生み出す人物(イノベータ)のデータから中長期的にプレイヤーチェンジを起こす可能性のある動きを特定し、その解析結果にアナリストの考察を加えた「未来予測」手法を提供しています。当レポートでは「未来予測」手法により導き出された未来を領域ごとにご紹介します。

モノづくりにおいて、デジタル化・DXはどのように進むのか

DXとは一般にデジタル環境を活用してビジネスや社会に変革をもたらすことを言い、企業の業務改善や医療、エネルギーなど、社会全体に大きな影響を及ぼしつつあります。

コロナ禍の影響によって様々な活動がリモート化され、さらには仮想空間であるメタバースが注目されるなど、私たちの生活においてデジタルの影響力はますます高まっています。その一方で、私たちの生活から「モノ」がなくなることはありません。DXはモノづくりにどのような影響を与えていくのでしょうか。

今回、モノづくりにおけるDXについて、アスタミューゼのイノベーションデータベースの解析を行いました。その結果、関連するさまざまな注目キーワード(IoT, machine-learning 等)の出現頻度が近年急激に増加していることから、この分野の技術開発が急速に進められていることが分かりました。データ種別ごとの統計分析から、時系列でグラント→特許→論文の順にそれらキーワードの増大が見られており、このことからこの分野が基礎研究段階から社会実装段階へとシフトしつつあることがうかがえます。

さらに、個々のキーワードの動向と萌芽領域における研究事例から予測した、この分野の未来の方向性の一端を紹介したいと思います。

※解析手法の概要は以下リンク参照
https://www.astamuse.co.jp/news/2022/0316/
[画像1: https://prtimes.jp/i/7141/244/resize/d7141-244-19d6ac40955d71565726-0.png ]

※注目キーワード:対象領域のイノベーションの動きを特定するため、特許、論文、グラントデータからテキストマイニングによって抽出した、時系列変化に特徴がみられるキーワード

DXの本質は「機械化」と「最適化」

世の中は情報にあふれています。しかし、こうした情報のほとんどは、まだコンピュータで処理することができません。コンピュータで処理するためには、数値にしなければならないからです。

情報というのは、なにもインターネットが提供するコンテンツやデータだけではありません。私たちの感じる色、音、匂いも、あなたのまわりにある物の大きさや形、動き、あなたが今感じている気持ち、今日の予定や昨日の出来事。こうしたすべてのことが情報です。

これらをコンピュータで扱えるように数値化する、このことをデジタル化といいます。

コンピュータはインタフェースを通してヒトと会話できます。通信を通してコンピュータ同士で会話できます。与えられたデータをもとに学習し、最適な答を導くことができます。そして、さまざまな機械を手足として制御することができます。

これまで機械化できなかったものを機械化し、すでに機械化されていたものは最適化する、これがDXの本質です。

モノづくりの未来におけるキーワードは「自働化」と「個別化」

機械化と最適化が進むことによって、モノづくりはどうなるでしょうか。最終的には「自働化」と「個別化」になると予想します。

もちろん、「低コスト」「低エネルギー」などの従来からの価値観は継続的に進められていくことは言うまでもありませんが、これらを実現した上での最適状態としての「自働化」と「個別化」ということになります。

データベースの解析では、machine-learning、deep-learningなどのAI関連キーワード、fog、edge、quantumなどのコンピューティング関連キーワード、IoT、5G、 LoRaWanなどの通信関連キーワードが近年急速に伸びていることが確認されており、モノづくりの領域においてもデジタル化、すなわち機械化が急速に進んでいることがわかります。さらに、生産工程の最適化に関連するscheduling、optimization、scheme、grey wolfなどのキーワードは特に特許において伸びており、実用段階に入ってきているものと考えられます。

また、自動化に関してはmaintenance、robotといったキーワードがいずれのデータソースでも伸びており、技術開発が進んでいることがわかります。personalize、additive manufacturingなどといった、個別化に関連するキーワードもいずれのデータソースでも伸びていることが確認されています。

以下のキーワードに沿って、特許、グラント、論文の具体的な事例を紹介することで、さらに詳しく説明したいと思います。


デジタル化
プロセスの最適化
自動化
個別化


デジタル化

さまざまな情報をデジタル化し、コンピュータ上で活用できるようにするためには、センサーにより測定し、その結果をリアルタイムに収集することが必要です。多くのセンサーが協調して作動するための通信技術をセンサーネットワークと呼びますが、自動で安定的なデータ収集によって、正確な結果の算出が可能になるでしょう。

コーク大学らのグループは、低電力の広域通信技術である LoRaWan の信頼性をさらに高める研究を行っており、センサーの長寿命化によるメンテナンスフリーな製造ラインを実現します。

[画像2: https://prtimes.jp/i/7141/244/resize/d7141-244-7278646a8a5f9e8a239a-1.png ]

情報の収集は工場内の工程から行うだけでなく、複数の工場と共有したり、さらには他の産業分野と連携して社会全体のシステムとして共有されるようになるでしょう。これはマルチパーティと呼ばれます。

例えば、英国ではレイナルドフーズ社やリンコルン大学などの産学連携により、食品のサンドウィッチをモデルとしてデジタル化された食品サプライチェーンを構築するための試みがスタートしています。

[画像3: https://prtimes.jp/i/7141/244/resize/d7141-244-723518acbf0c08db587f-2.png ]


プロセスの最適化

生活に必須なモノはなくならないと予想されます。DXを用いた生産計画と需要予測の最適化・効率化によって、安価なコモディティはさらに加速するでしょう。

最適化のためのアルゴリズムは日々進化しており、数多くの手法が提案されています。オオカミが群れのヒエラルキーに従って狩りをする様子に着目した灰色オオカミ最適化法、カッコウが他の鳥の巣に卵を産む托卵に着目したカッコウ探索アルゴリズム、クジラが円を描きながら獲物を追い詰めて捕食する行動に着目したクジラ最適化アルゴリズムなど、生物の集団を模倣した手法は良く研究されるようになっています。

モノづくりへの利用としては、例えば昆明理工大学では製造ラインのスケジューリングの最適化のために灰色オオカミ最適化法を適用しています。これにより短期間でリードタイム、省エネ、省ロスなどに結び付けることが可能になるといいます。


[画像4: https://prtimes.jp/i/7141/244/resize/d7141-244-4ab64421999dac883935-3.png ]


自働化

DXはロボットにより自動化された工場を現実的なものにします。1台のロボットを精密に動かすだけでも大変ですが、工場ではたくさんのロボットたちが協力して働くようにしなければなりません。

中国科学アカデミーらのグループは、複数のロボットの衝突を防ぐ研究を行っています。複数台のロボットがそれぞれのタスクにより自動走行することが想定されますが、それらを衝突することなく連携させることは難しいので、デジタルツインを活用してロボットの動きをシミュレートするマルチロボット監視システムを提案しています。

このような研究の積み重ねにより、工場内で複数台のロボットが働く姿が見られるようになるでしょう。

[画像5: https://prtimes.jp/i/7141/244/resize/d7141-244-a526b93ff207f74c3e44-4.png ]



コンピュータは学習できるので、究極的には自ら学習して工程をカイゼンしていく「自働化」工場へと進んでいくでしょう。製造に人手が必要なくなれば、雇用や工場の立地など、経済全体に大きな影響を与えるかもしれません。

個別化

コモディティ商品が安く大量に生産される一方で、パーソナライズされた小ロット生産が増加し、二極化が進むと予想されます。

パーソナライズのためには消費者個人の情報に加えて、小ロットで効率よく生産することが求められます。より多くの情報の組み合わせが必要となり、高いレベルでの最適化が必要になります。

パーソナライズの形のひとつとしては、3Dプリンタなどのパーソナルファブリケーションが挙げられます。3Dプリンタは一筋ずつ積み上げていく方式のためスピードが遅く、大量生産には向いていないとされています。ただし、金型が必要な製品などでは少しだけ作るとかえって割高になってしまうので、ロケットの部品のように少数だけ必要な製品では工業生産の手段として使われるようにもなっています。

ネブラスカ大学では、センシングデータを活用した3Dプリントによる製造が研究しており、3DプリンティングとIoTを組み合わせたスマート生産が進められていくと予想されます。

[画像6: https://prtimes.jp/i/7141/244/resize/d7141-244-f9dfbb46f1511bd7cd1d-5.png ]


<著者:アスタミューゼ シニアテクノロジスト 金森二朗>

さらに詳しい分析は……

アスタミューゼでは、新規事業開発や企業の中長期の経営計画策定、研究開発計画の立案などに際し、データドリブンでより解像度の高い未来予測/把握をご提供いたします。

アスタミューゼ「未来予測」に関するリリースは以下です。


[表: https://prtimes.jp/data/corp/7141/table/244_1_8375762c95611fc9027d23212ec9ecde.jpg ]



【本件に対する問い合わせ】
アスタミューゼ株式会社 広報担当 E-Mail: press@astamuse.co.jp
https://www.astamuse.co.jp/contact/

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