菅義偉「たたき上げの誇りと凄味」 二階俊博「目配り気配り金配り」 小池百合子「ジャンヌ・ダルクになり損ねた女」…政治評論の第一人者が明かす政治家の「風圧」とは?
PR TIMES / 2020年1月27日 11時15分
かつては対峙しているだけで、知らずに「風圧」を感じさせる政治家たちがいた。彼らはどのように「風圧」を身につけたのだろう。そこにはどんな社会背景があったのか。逆になぜ、今の政治家たちから「風圧」が消えつつあるのだろうか――。
田中角栄、中曽根康弘、後藤田正晴、大平正芳…彼らがいたから永田町は面白かった。
「強風圧」から「微風圧」「逆風圧」まで、熟練の政治アナリストが凡人だらけになった政界を斬る!
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光文社から1月22日(水)に発売された、伊藤惇夫著『消えた「風圧」~絶滅危惧政治家図鑑~』が早くも話題を集めています。
本書は、ラジオの文化放送『くにまるジャパン 極』の名物コーナーから生まれた企画。番組の中で、著者の伊藤惇夫氏が政治家を「風圧」の観点から論じ、そのユニークすぎる視点が大きな反響を呼びました。
「風圧」とは、具体的にどんなものを指すのか。本書で田中角栄について論じた項の中から、少し長くなりますが引用してみましょう。
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自民党のスタッフとなってからまだ間もない頃、国会内の廊下を歩いていた時のことだ。国会内の廊下は幅がおよそ4メートル。その中央にはこれも幅2メートル弱の赤絨毯が敷いてある。それだけあれば、絨毯の上ですれ違うことは十分可能だ。事実、僕も何度となく議員と絨毯を降りずにすれ違ってきた。だが、この時は違った。
なぜか周辺の空気が変わったような気がしたため、ふと前方を見ると、遠くのほうから田中が周りを衛視や記者などに囲まれて歩いてくるのが見えた。距離がだんだん縮まっていく。確かに周りを人が囲んでいるが、無理をすれば絨毯の上ですれ違えないほどの人数ではないし、ちょっと絨毯から降りれば問題なくすれ違える。だが、まったく無意識のうちにとった行動は、さっと絨毯から飛び退き、窓際の壁に体を貼り付けるようにして田中が通り過ぎるまで立ちつくすことだった。
誰かにどかされたわけでも、指示されたわけでもないのに、何でそんな行動をとったのか、自分でも説明がつかない。だが、体が自然に動いていた。なぜか。答えは田中の発する「風圧」がそうさせた、と言う以外に言葉が見いだせないまま、今に至っている。
そんな風圧について、本書では圧の度合いから政治家を4つのカテゴリー――「強風圧」「弱風圧」「微風圧」「逆風圧」に分けています。
それぞれ、どんな人たちが含まれるかというと…
■「強風圧」:田中角栄、岸信介、菅義偉、小沢一郎、野中広務、竹下登、後藤田正晴ほか
■「弱風圧」:中曽根康弘、二階俊博、岡田克也、野田佳彦、金丸信、梶山静六ほか
■「微風圧」:鈴木宗男、浜田幸一、古賀誠、上田清司、渡部恒三、宇野宗佑ほか
■「逆風圧」:小泉純一郎、小池百合子、森喜朗、細野豪志、菅直人、前原誠司、鳩山由紀夫ほか
そして、各人の「風圧」がどこから来るのかについて、くわしく論じています。
2人ご紹介しましょう。
■菅義偉
菅は驚くほど「こまめ」である。超多忙なはずなのに、彼は時間さえあれば、朝昼晩、誰かと会食している。その多くは一対一であり、相手は政権に協力的な人物に限らない。批判的な立場をとる者とも積極的に会おうとする。例えば僕のような。
かつてはそうした政治家が少なくなかった。批判的な人物であっても会えばお互いの距離は微妙に縮まる。少しでも近づかせることができれば、政治家にとって損はないからだ。だが、最近の政治家の多くは批判的な人物とは会おうともしないし、何かで出会うことがあっても、目を合わせようとしない。要するに「子ども」が増えてしまった。そんな今の永田町にあって、菅は間違いなく「大人」の政治家である。
■竹下登
「虫も殺さぬ顔をして 夜ごと夜ごとの虫潰し」
まさに“名句”だと思った。政界の裏方生活約30年、数え切れないほどの政治家を見聞きし、あるいは付き合い、時に味方として、あるいは敵として対峙してきたが、それらの人たちの中で、最も恐ろしいと感じた政治家は誰か、と聞かれれば、躊躇なく竹下登と答えるだろう。
人は自らの感情を完璧にコントロールできるものなのだろうか。僕ならとても無理だし、普通の人間にはとうていできることではない。逆に言うと、そこまで完璧に自らの感情をコントロールできるとしたら、実は極めて恐ろしい人間なのではないか。なにしろ、他人に対し、一切自分の心の内を明かさない、というか、悟られないわけだから。
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【書籍詳細】
書名:『消えた「風圧」 絶滅危惧政治家図鑑』
著者:伊藤惇夫
発売:光文社
発売日:2020年1月22日
体裁:四六判ソフトカバー
価格:本体1,600円+税
【著者プロフィール】
伊藤惇夫(いとう あつお)
1948年、神奈川県生まれ。学習院大学法学部卒。約20年にわたり自民党本部に勤務後、太陽党、民政党、民主党各党の事務局長などを歴任。'01年に退任して以降は、政治アナリストとして書籍の執筆や報道番組への出演、ラジオ番組のレギュラー出演など、幅広いメディアで活躍している。『国家漂流』(中央公論新社)、『情報を見抜く思考法』(ビジネス社)、『政党崩壊』(新潮新書)、『永田町「悪魔の辞典」』(文春新書)、『永田町の回転ずしはなぜ二度回らないのか』(小学館)など著書多数。
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