平成29年度産官学連携によるいじめ防止対策事業の実施結果報告 ~柏市での「脱いじめ傍観者教育」及び匿名報告相談アプリ「STOPit」の取り組み~
PR TIMES / 2018年5月10日 11時1分
子どものコミュニケーション手段の変化に伴い、昨年度より文部科学省でもSNSを活用したいじめ相談について、検討が進められています。また、小学校では今年度から、中学校では来年度から、道徳が「特別の教科 道徳」となり、いじめ防止をテーマとした「考え、議論する道徳」の授業の実施が求められています。
そこで千葉大学教育学部藤川研究室は、平成29年度より柏市教育委員会、敬愛大学国際学部阿部研究室、NPO法人企業教育研究会及びストップイットジャパン(株)とともに、「考え、議論する道徳」としても活用できる脱いじめ傍観者教育の授業開発と実践及び匿名報告相談アプリ「STOPit」活用の取り組みを行っております。
この度、平成29年度実施結果がまとまりましたので、以下のとおり報告いたします。
1.取り組みの背景
[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-743506-0.jpg ]
柏市教育委員会はこれまで「柏市いじめ防止基本方針」の定期的な見直しや改定、性的少数者(LGBTなど)の児童・生徒に対する理解を深めるための研修に取り組む等、精力的にいじめ防止対策に取り組んできた。今回さらなる取り組みとして、昨年度よりネットいじめ早期発見と抑止力を生み出すための新たな手立てとして、傍観者の視点に立ち、ネットいじめを許容しない集団の雰囲気を醸成するための授業「私たちの選択肢」及び匿名報告・相談アプリ「STOPit」の導入を決定した。
2.成果概要
1.授業の有効性:多くの生徒にとって雰囲気を変えるために行動しようと考えるきっかけとなった。
2.アプリの有効性:STOPit相談件数が電話やメールの約9倍を記録、また全体の約35%がいじめ相談だった。
3.基本データ
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-981306-1.jpg ]
a.脱いじめ傍観者教育プログラム「私たちの選択肢」に関するデータ
・授業開始日:平成29年5月22日(月)*以後7月14日までに順次20校にて実施
・対象:柏市内の中学20校全1年生 / 授業回数:99回 / 受講生徒数:3,237人
b.匿名報告・相談アプリSTOPitに関するデータ
・STOPit対象可能生徒数:柏市内全中学生9,825人 / STOPit登録者数:486人
・周知方法:アプリの使用方法を説明した用紙を生徒全員に配布
4.脱いじめ傍観者教育アンケート分析結果
・分析者:敬愛大学国際学部 准教授 阿部 学
・対 象:柏市立内公立中学校1年生18校分 生徒2,885名(*すべてクラスごとに実施)
・実施日:平成29年5月~7月
・授業者:NPO法人企業教育研究会スタッフ
・アンケート分析結果全文は、以下のサイトよりご参照ください。
http://abemanabu.jugem.jp/?eid=1308
*以下、アンケート分析結果より一部抜粋
[画像3: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-320114-2.jpg ]
5.匿名報告・相談アプリSTOPitの成果と柏市の中学校いじめ認知件数
・H29年度STOPit、電話、メール別相談件数
[画像4: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-536294-3.jpg ]
・柏市の中学校いじめ認知件数(認知した件数)
[画像5: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-479026-4.jpg ]
・STOPitによる相談内容内訳
[画像6: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-295181-7.jpg ]
・いじめの態様[複数回答可]
[画像7: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-616828-8.jpg ]
(平成29年度千葉県柏市「3学期いじめの状況調査」より)
6.その他データ
■H30年度「脱いじめ傍観者教育」及び「STOPit」導入予定自治体
・千葉県(柏市、野田市、山武市)/ 茨城県(取手市、牛久市)
・神奈川県(大和市)/ 岡山県 他
■STOPit導入実績(H30年度見込み含む)
・日本:約100校/50,000人
・米国:約6,000校/329万人
■脱いじめ傍観者教育教材について
授業「私たちの選択肢」は、メディアリテラシー教育やいじめに関する研究などを行っている千葉大学の藤川大祐教授を中心に、敬愛大学の阿部学准教授、柏市教育委員会、ストップイットジャパン(株)が連携して開発されました。授業の対象は小学校高学年~中学校3年生です。クラスの雰囲気がいじめの発生に関わるという千葉大学、名古屋大学、静岡大学の共同研究成果を元に、子どもたちが「脱いじめ傍観者」の視点に立ち、いじめの予防や解決方法を話し合い、考えることを目的としております。
「STOPit」導入校以外でも使用できる内容となっており、ストップイットジャパン(株)が映像教材とワークシートを収録したDVD付き冊子を、以下のサイトより無償で配布しております。
http://stopit.jp/workshop
平成29年度は、約3,000部の冊子を全国の学校や教育関係者に配布いたしました。
■今後の展望
今後も「いじめ」について考え、議論する教材シリーズ「私たちの選択肢」の開発に取り組んでいく予定です。今年度は、今回開発した脱いじめ傍観者教育の授業を含め以下の授業を開発し、無償にてDVD付き教材の配布を行う予定です。
エピソード1 変えられる!? クラスの空気 ~ 脱いじめ傍観者教育
エピソード2 どうする!? SOS ~ ホウレンソウ(報告・連絡・相談)教育
エピソード3 自分らしく生きるって? ~ 多様な性を理解する教育
[画像8: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-807948-10.jpg ]
[画像9: https://prtimes.jp/i/15177/277/resize/d15177-277-299446-9.jpg ]
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