ベクトルと九州大学が共同でコロナ禍におけるESGスコアと株価相関のグローバル調査 コロナ禍においてもESGスコアが株価の上昇に影響
PR TIMES / 2020年9月25日 16時45分
株式会社ベクトル(本社:東京都港区、代表取締役:長谷川創、東証一部:6058、以下ベクトル)は、九州大学の馬奈木俊介教授と共同で、コロナ禍の状況におけるESGスコアが株価に与える影響の検証を目的とし、グローバル調査の分析を実施いたしました。
Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス=企業統治)の3つの観点から、企業の将来性や持続性などを分析・評価する考え方が急速に広まる中で、その取り組みや情報開示の状況を評価し、スコアを付与する形で格付けするESGスコアが注目されています。
■ESG投資と企業利益・株価上昇の相関
前回のリリースに於いてESGの合計点と利益・株価の相関を分析するにあたり、ESG投資の先進地域と言われているEU諸国の現状を把握すると共にESGスコアが1ポイント上昇すると企業利益が14.86%、株価が13.37%上昇していることが分かりました。環境配慮や社会貢献、企業統治といった領域における対策及び対外的情報発信がEUにおける企業の利益や株価に影響を与えていると言えます。 ※ 利益=税引き前当期純利益
そして今回ベクトルでは、九州大学と共にドイツのESG評価会社「アラベスク」の「S-Ray」データの調査結果を分析し、コロナ禍(2020年1月~2020年5月)における企業のESGスコアの運用について調査しました。
■コロナ禍に於ける現状
◎国際通貨基金(IMF)が「世界経済はマイナス成長」と提示
国際通貨基金(IMF)は6月の改定版世界経済見通しで、2020年の成長率をマイナス4.9%と予測し、4月時点から1.9ポイントさらに下方修正しました。この事から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは2020 年前半の経済活動に予想以上のマイナス影響を及ぼしており、2020年の第一および第四半期のロックダウン期間中の経済活動への打撃が予想以上に大きく先進国と新興国がそろって景気後退に陥った事が分かります。さらに、IMFは2020年~21年における経済損失を「12.5兆ドル(約1300兆円)」と試算し、「世界経済は『大封鎖』に陥り、大恐慌以来で最悪の景気後退だ」と提言しました。
また、日本においても4月の成長率見通しが-5.2%、6月の成長率見通しが-5.8%とさらに0.6%低くなっており、日本経済も打撃を受けていることが分かりました。
(参照;IMF世界経済見通しWEO 2020年4月・6月版)
■コロナ禍におけるESG投資と企業株価上昇の相関
世界的な経済成長の見通しがマイナスと予測されている中、コロナ禍において環境・社会・企業統治に考慮している企業つまり、ESGスコア改善に取り組んでいる企業はそれだけでも評価が高いと言えます。それを裏付けるデータとして、九州大学の分析によってコロナ禍に於いても企業のESGスコアへの取り組みが株価の上昇に寄与していることが分かりました。以下に示している内容は、九州大学の調査結果から読み取った世界・EU・日本それぞれのエリアにおける、「ESGスコアが1ポイント上昇した場合の株価の上昇比率」のグラフとその数値になります。
◎コロナ禍における
世界・EU・日本のESGスコア1ポイント上昇した場合の株価の上昇比率
[画像1: https://prtimes.jp/i/204/278/resize/d204-278-937858-0.png ]
[画像2: https://prtimes.jp/i/204/278/resize/d204-278-304856-1.png ]
(※ グラフ内の数値は%)
◎コロナ禍における世界・EU・日本3エリアにおける
ESGスコアの1ポイント上昇とした株価平均上昇比率グラフ
[画像3: https://prtimes.jp/i/204/278/resize/d204-278-912207-2.png ]
(参照:アラベスク「S-Ray」)
■ 上記のデータをうけて
九州大学によるデータ分析から世界・EU・日本でもコロナ禍において株価の上昇が見られる事が分かりました。世界平均と日本の株価上昇率を比較した場合、日本の株価上昇率が世界平均より「2.62倍」と大きく上回りました。このことから、日本企業のESGスコアに対する意識の高まり、および投資家側はコロナ禍においてもESGスコアを意識した経営をしている企業を投資対象として評価の軸にしていることが読み取れます。
しかし、ESG先進国のEU諸国と日本の株価上昇率を比較した場合では、EU諸国の株価上昇率が日本より「1.58倍」上回っていることから、依然としてEU諸国のESG投資に対する関心の高さが高く、日本は今後もEUの高い基準に到達できるよう努める必要があるといえるのではないでしょうか。
【馬奈木教授より総括】
国際通貨基金が「世界経済はマイナス成長」と提示するほど、2020年前半の全世界における経済活動が沈む中、特に企業経営の観点においては、短期での改善対策に注力しがちなところではあります。しかしながら、今回の調査結果を分析するに、このような場面においてもESG分野における経営面での注力が、結果的に株価への好影響を与えている点が注目すべきところです。危機的状況においても、企業としての本質的な社会的役割を崩さないということの重要性が伺えます。
また、日本企業の影響が欧州ほどには、これまではなかったということは今後のポテンシャルが大きいということです。是非、日本独自の取り組みを含めて成果を挙げて頂きたいです。
■調査概要
アラベスク社「S-Ray」のデータを用いて、2020年1月~2020年5月を対象に分析。
■過去リリース内容
ESG合計スコアと株価・利益率の相関
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000265.000000204.html
■ベクトルのESG投資分野におけるプロジェクトについて
ベクトルでは、ESG投資分野において先進的な研究と具体的活動を展開されている九州大学の馬奈木俊介教授と提携し、ESG投資分野における具体的サービスを共同で開発する産学連携プロジェクトをスタートしています。馬奈木教授がこれまでの活動で培われた実績・知識と、ベクトルグループのテクノロジー及びマーケティングコミュニケーション力を掛け合わせ、日本企業のESG情報の総合的なプラットフォームを開発中。日本企業のESG投資に対する取り組みの認知・理解を広め、日本企業の企業価値向上に向けて世界中に発信できるよう取り組んでまいります。
【馬奈木俊介教授 プロフィール】
[画像4: https://prtimes.jp/i/204/278/resize/d204-278-534595-3.jpg ]
九州大学大学院工学研究院 教授
九州大学都市研究センター長・主幹教授
IPCC代表執筆者、IPBES総括代表執筆者、
経済産業研究所ファカルティフェロー、
2018世界環境資源経済学会共同議長を兼任。
2017年に独ベルリンで開催された環境会合で
「富の計測プロジェクト」を代表し
『国連・新国富報告書 2018』を発表。
近年では国連プロジェクトを主導し気候変動や人的資本の分析、
SDGsの施策を進めて、豊かな社会づくりを実現するための
新しい指標をつくる研究を実施。令和元年度日本学術振興会賞受賞。
【株式会社ベクトル 会社概要】
会社名 :株式会社ベクトル
代表取締役 :長谷川 創
住所 :東京都港区赤坂 4-15-1 赤坂ガーデンシティ 18F
資本金 :2,880百万円(2020年2月29日現在)
設立 :1993年3月
事業内容 :PR 事業、プレスリリース配信事業、ビデオリリース配信事業、
ダイレクトマーケティング事業、メディア事業、HRTech 事業、
デジタルマーケティング事業、インベストメントベンチャー事業 等
URL :https://www.vectorinc.co.jp
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