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動画配信サービスにはない『テレビらしい』楽しみ方とは?~「アド街ック天国」「サザエさん」の視聴行動からみえたキーワード~

PR TIMES / 2018年6月1日 12時1分

レポートシリーズ 「インテージのライフログデータが示す、メディアの未来」 #1



株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃、以下:インテージ)はこの度、弊社が保有する生活者の「ライフログデータ」を自主分析し、「インテージのライフログデータが示す、メディアの未来」と題したレポートシリーズを発行いたします。 

今回はその第一弾として、スマートテレビの視聴ログデータを活用したサービス「Media Gauge TV」のデータを使い、テレビの視聴実態を明らかにすることで、インターネット上の動画サービスにはない『テレビらしい』楽しみ方について考えてみます。

近年、インターネット上の動画サービスとテレビの境界が非常に曖昧になっています。TVer等のサービスによるキャッチアップ配信、自らを「インターネットテレビ局」と称するAbemaTVなどがその一例です。このような動画視聴環境の変化は「通信と放送の融合」と呼ばれる大きな流れの中に位置づけられ、法制度の面からも議論されています。この「通信と放送の融合」、そもそもどのような違いがあるものが融合していくということなのでしょうか。

[ポイント]
動画配信サービスでは置き換えられない『テレビらしい』楽しみ方のキーワード:
1.「地域特化」
地域に特化した番組が、当該エリアの人々の非常に高い関心を引き付ける
⇒「アド街ック天国」の「八王子市」放送回の番組平均接触率は、関東広域計で4%に対し、八王子市では17%、周辺のあきる野市や相模原市緑区でも10%超

2.「同時に見るからこそ」
「団らんの場でみんなで見る」ことに意義がある
⇒低タイムシフト接触率(1.5%未満)、高リアルタイム視聴率(11%超)のアニメ番組、「サザエさん」
[画像1: https://prtimes.jp/i/1551/381/resize/d1551-381-364271-0.jpg ]

「地域特化したテレビコンテンツ」-市区町村単位で見られ方が大きく変化 
テレビの、放送としての特徴の1つはその地域性です。インターネット上のコンテンツは基本的に世界中のどこからでもアクセスできるのに対し、テレビ放送を受信できるのは、その放送局の電波が届くエリアに限定されています。この放送の地域性により、各地域で受信できる放送局の数には大きな差が生まれています。関東広域、近畿広域、中京広域の3つの広域放送域には5~7つの民放があるのに対し、それ以外のエリアでは1~3つしかないところも多く存在します。この放送の地域性は、地域によって見られる番組が限られてしまうという制約とも捉えられますが、一方で各局が制作した、地域に特化した番組を見ることができるというメリットにもなっています。

実際、地域に特化した番組はその地域の人にどの程度見られるものなのでしょうか。スマートテレビのデータを活用したサービスである「Media Gauge TV」のデータを使ってみてみましょう。Media Gauge TVのスマートテレビのデータは日本全国で約61万台という膨大なサンプルサイズで収集されており、市区町村レベルの分析でも一定のサンプルサイズを確保できるため、視聴傾向の詳細なエリア差を把握することができます。

特定の地域を特集した番組として4月14日(土)にテレビ東京系列で放送された「アド街ック天国」を取り上げてみます。この回は八王子市が特集され、関東広域計での番組平均接触率は4.4%という結果でした。図表1は番組平均接触率で市区町村別に色分けしたデータです。色が濃い市区町村ほど接触率が高いことを意味しています。特集された八王子市では接触率17.1%と、関東広域計の接触率である4.4%の約4倍の接触率でした。さらに周辺のあきる野市(11.8%)や相模原市緑区(10.2%)でも接触率が高くなっています。地域に特化した番組がその地域の人々から非常に高い関心を持たれていることがわかります。
[画像2: https://prtimes.jp/i/1551/381/resize/d1551-381-935856-1.jpg ]

放送の地域性に伴って地域ごとに放送局が存在しているということには、各地域の人々の関心に寄り添った番組が制作されやすいという長所があります。何気なくつけたテレビの画面で地元のスポーツチームの試合が中継されている、選挙や災害などの際に地元の情報をまず先に得ることができる、といった私たちがテレビを通して当たり前のように経験していることは、放送の地域性にもとづくものと言えます。インターネット上の動画サービスにはない、非常に『テレビらしい』経験と言えるのではないでしょうか。

ちなみに、テレビ東京系列の民放を持たない山梨県ですが、図表1からは「アド街ック天国」の接触率が関東広域の接触率と同程度ということが読みとれますが、これは区域外再放送(CATV等を通し、他の放送エリアの放送局の番組を放送すること)による視聴と考えられます。山梨県を放送域とする民放は2局だけと非常に少ないですが、多くの人がCATVに加入し、隣接するエリアの放送局の番組を区域外再放送で視聴しているという実態がスマートテレビデータからみえてきます。

「同時に見るからこそ楽しめる」テレビコンテンツ
もう一つ、テレビの放送としての特徴として同時性があります。インターネット上のコンテンツには基本的にいつでも好きなときにアクセスできるのに対し、テレビの場合は番組が放送されたその時点に受信しなければならないという制約があります。この「放送と同時に受信する」という制約を「同時性」と呼ぶことにします。

近年、録画機の利便性の向上やHDD容量の増加による録画視聴の普及により、放送の同時性はいくらか緩和されているとも言えます。特にいわゆる「全録機」はテレビの視聴スタイルに大きな変化をもたらすと言われています。自動的に録画された多くの番組の中からその時に見たいものを見るという視聴スタイルにはビデオ・オン・デマンド(VOD)やその他のインターネット上の動画サービスに近いものがあります。

放送と同時に受信して見るリアルタイム視聴と、好きな視聴タイミングで見るタイムシフト視聴、生活者はどのように使い分けているのでしょうか。Media Gauge TVが取り扱う、インターネットに結線された録画機約58万台のデータ(再生・巻き戻し・早送りなどの視聴者の細かい操作を秒単位の細かさで取得したデータ)を用い、リアルタイムで同時に視聴されやすい番組とタイムシフトで好きなタイミングに視聴されやすい番組の傾向を見てみました。

図表2はRT(リアルタイム)接触率を横軸、TS(タイムシフト)接触率を縦軸にとり、アニメ番組をプロットした散布図です。VODなどでの視聴が特に広がっているアニメですが、RT視聴とTS視聴にはどのような傾向があるでしょうか。
[画像3: https://prtimes.jp/i/1551/381/resize/d1551-381-869641-2.jpg ]

データからは、番組ごとに傾向が異なることが分かります。グラフ右上に位置しているのはリアルタイムでもタイムシフトでも人気のある定番アニメです。「ドラえもん」や「ワンピース」など、ある程度幅広い年代の視聴者が楽しめる作品が並んでいます。幅広い視聴者層が自分のライフスタイルに合わせたスタイルで視聴している姿がうかがえます。一方、「ポケモン」や「アンパンマン」など主に子供に向けたメジャー番組は、幅広い年代が楽しんでいる定番アニメよりリアルタイム、タイムシフトともに低くなっています。また、チャートの左中央には深夜アニメ(※「七つの大罪」は早朝6時30分)が集中しています。RT接触率に対してTS接触率が高く、「毎週深夜まで起きて見るのは辛いが、欠かさず見たいのでTSで」という視聴スタイルがうかがえます。

さらに、チャートの右下には他の番組から大きく離れた特徴的な2つの番組があります。日曜18時台放送の「サザエさん」と「ちびまる子ちゃん」です。TS接触率はいずれも1.5%未満と非常に低いですが、RT接触率は11.0%、8.5%と非常に高い数値です。「TSで好きなタイミングで見るよりも、家族団らんの場でみんなで見ることに意義がある」、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」へのそんな視聴スタイルが想像できます。弊社の「グッド・ライフ意識調査から見えてきた日本人の幸せとは?(前編)」(https://www.intage.co.jp/gallery/goodlife01/)のデータからも、「サザエさん」視聴者が「家族で過ごす時間」を大事にする層であることがわかっています。この家族団らん、まさに『テレビらしい』楽しみ方と言えるのではないでしょうか。

同時性を積極的に活かした新しいテレビの楽しみ方も広がっています。データ放送を利用した「めざましじゃんけん」のような各種のプレゼント企画、ハッシュタグを使ってSNSで意見や感想を共有しながら番組を楽しむ視聴スタイルはその一例です。「お茶の間で家族と」、もしくは「多くの視聴者と」、同時に同じコンテンツを視聴できるところが、同時性のもたらす価値と言えます。


今回の記事では「通信と放送の融合」を起点に、インターネット通信と比較した際のテレビ放送の特徴として「地域性」と「同時性」を挙げ、地域性を活かしたコンテンツの視聴実態や、同時性があるからこその視聴実態を見てきました。いずれも生活者にとってある種の制約でありながら、一方でインターネット通信による動画サービスによっては置き換えづらい『テレビらしさ』でもあるといえます。今後ますます通信と放送が融合していくとき、この『テレビらしさ』がどのように変わっていくのか、もしくは維持されていくのか、注目していきたいと思います。

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※本レポートに使用した当社調査データについて
【Media Gauge TV】 https://www.intage.co.jp/service/platform/mediagauge-tv/
日本全国を調査対象に、月あたり61万台のスマートテレビと58万台の録画機から収集された視聴ログデータです。都道府県ごとのエリアマーケティングや、テレビCMのプランニングやバイイングにご活用いただけます。
2018年5月、新たに日々の時間帯別、番組別の接触率が確認できる【日報】機能を搭載した「ASP Liteプラン」をリリースしました。
[画像4: https://prtimes.jp/i/1551/381/resize/d1551-381-757623-3.jpg ]

【株式会社インテージ】 https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:石塚 純晃)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、様々な業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、ともに生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。

【報道機関からのお問い合わせ先】
■株式会社インテージ 広報担当:西澤(にしざわ)
TEL: 03-5294-6000
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage.co.jp/contact/

【本分析内容に関するお問い合わせ】
■株式会社インテージ Life Log Data事業本部 クロスメディア情報部
担当:山津(やまつ)
メールアドレス: mgauge-inquiry@intage.co.jp

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