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ヌエボ・ラレドは安全ではない――MSF、米メキシコ両政府の移民政策を強く非難

PR TIMES / 2019年7月4日 20時40分

国境なき医師団(MSF)は本日、米国とメキシコ両政府が合意した移民政策の拡充について強く非難する声明を出した。この合意は、米国内で難民申請を希望する人びとが、審査が行われる間、メキシコ側の危険な地域で待機することを強制する内容で、MSFは人びとがさらに危険な状況に追い込まれると懸念している。



[画像: https://prtimes.jp/i/4782/446/resize/d4782-446-331965-0.jpg ]

「犯罪組織の食い物になる」

米国とメキシコ両政府は、いわゆる「メキシコ待機政策」と呼ばれる移民保護手続き (MPP)を、米テキサス州に接するタマウリパス州の都市ヌエボ・ラレドにまで拡充することで合意した。だが、ヌエボ・ラレド市は犯罪組織がはびこる地域で、この合意によって、難民申請希望者は常に強盗、襲撃、ゆすり、拉致、殺害の危険にさらされることになる。

「難民申請希望者をメキシコへ強制送還してヌエボ・ラレド市での待機を強要するなど受け入れ難い政策です」とMSFメキシコの活動責任者、マリア・エルナンデスは話す。「犯罪組織は、人びとを商品や、収入源としてしかみていません。米メキシコ両政府の合意によって、立場の弱い人びとが、犯罪組織の食い物にされる恐れがあります」

狙われる中南米出身者

MSFは、ヌエボ・ラレド市、レイノサ市、マタモロス市内にある複数のシェルターに滞在する移民と難民に対する、医療支援、心のケア、社会的支援に取り組んでいる。

MSFの患者データによると、2019年1月から5月にかけてヌエボ・ラレド市でMSFによる治療を受けた378人の患者のうち45%は、米国への入国を待っている中に、少なくとも1回、市内で暴力を受けていた。また、2019年にMSFの心のケアプログラムで治療を受けた378人の患者のうち45人は拉致を経験し、そのうちの26人は治療を受けた日からさかのぼって7日間以内に、被害に遭ったばかりであった。

「患者の大半は、市街に出ません。すぐにでも拉致される恐れがあるからです」とエルナンデスは話す。「ヌエボ・ラレド市のMSFの施設に来る難民申請希望者は、キューバ、コンゴ民主共和国、カメルーン、メキシコなどさまざま国から来ています。中でも最も拉致の被害に遭いやすいのは、中南米出身者で、このメキシコ待機政策は、まさに彼らをメキシコに大勢送還する内容なのです。暴力から逃げてきた人にとって、メキシコは安全な国だとは到底言えません。タマウリパス州はその典型です」

危険度は戦地レベル

米国国務省の旅行者向け海外安全情報によると、タマウリパス州は最も危険な戦地レベルのカテゴリー4。犯罪発生率が高く、拉致される恐れがあるため、米国からの旅行者に一切の渡航を禁じる警告を意味している。

MSFが集めた証言によると、移民や難民申請希望者は、ヌエボ・ラレド市に着くとすぐに、犯罪組織の標的になっていることが明らかになっている。

「バス・ターミナルで拉致され、犯罪組織の隠れ家に 連れて行かれて、脅迫され、叩かれ、襲われます。殺すと脅されて、長期間身柄を拘束されて強制労働に就かされる人、性的搾取を受ける人や犯罪組織に強制的に加入させられる人もいます」と、エルナンデスは話す。

人道援助を軸にした移民政策を

先週もMSFは、メキシコ南部、グアテマラとの国境地帯でメキシコ当局が行った移民の一斉摘発と逮捕を非難したばかりだ。移民に対する、こうした摘発や逮捕によって、秘密の経路をたどらざるを得ない移民はさらに深刻な危険にさらされる。人身売買に手を染める犯罪組織の手に落ちて、医療も受けられなくなるためだ。

米国とメキシコ政府の決定は、暴力から逃れてきた数千人をさらに苦しめ、命を危険にさらすものであり、MSFは両政府に対し、難民申請希望者を人間として扱う保護策を導入し、人道援助を軸に移民政策を策定するよう訴える。

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