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新型コロナウイルス:大惨事を招いたブラジルは科学的根拠に基づいた対策を

PR TIMES / 2021年4月16日 12時15分

南米ブラジルでは、新型コロナウイルス感染症による緊急事態の発生から1年以上が経過するも、公衆衛生対策は効果を発揮していない。対応が一元化、組織化されておらず、感染拡大を適切に抑えるという政治的意志も欠如しているため、何千人もの国民の命が日々失われている。

国境なき医師団(MSF)は、ブラジル当局に対し、危機の深刻さを認識し、避けられる死をこれ以上増やさないために、科学的根拠に基づいた新型コロナへの一元化した対応や調整を行う体制を緊急に立ち上げるよう求める。



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公衆衛生の政治化

4月第2週の統計では、世界の新型コロナ感染者数のうち、ブラジルが占める割合は11%、死者数は26.2%にのぼった。4月8日には、24時間のうちに4249人の死亡が記録され、8万6652人の新規感染者が確認された。こうした驚異的な数字は、ブラジル当局が国民の健康や人道の危機に対処できず、なかでも最も弱い立場にある人びとを感染から守れなかったことを示している。

MSFインターナショナル会長クリストス・クリストゥ医師は、「ブラジルでは公衆衛生対策が政争の場となっています。そのため、本来、国民を守るための科学的根拠に基づいた政策も政治的にゆがめられてしまうのです。連邦政府が、エビデンスに基づいた包括的な公衆衛生ガイドラインの採用を全面的に拒否した結果、献身的な医療従事者は集中治療室で重症者の対応に追われ、満床時もその場しのぎを強いられています。こうした状況が死者数を増加させ、医療体制を崩壊寸前にまで追い込んでいるのです」と話す。

MSF事務局長のメイニー・ニコライは、「ブラジルのコロナ対策は、集中治療室だけでなく、地域レベルで始めることが肝要です。酸素や鎮静剤、個人用防護具といった医療品を行き渡らせると同時に、マスクの着用やソーシャルディスタンス、厳格な衛生管理、不要不急の移動や活動制限を、感染状況に応じて地域ごとに推進し実施する必要があります。新型コロナの治療ガイドラインは、最新の医学研究を反映したものに改訂しなければなりません。また、患者治療と流行抑制をともに促進するには、迅速に結果が出る抗原検査をより受けやすくするべきでしょう」と語る。

感染拡大が止まないさまざまな要因

先週、ブラジルにある27の州都のうち、21の都市で集中治療室が満床に達した。また全国の病院で、重症患者の治療で用いる酸素や、挿管に必要な鎮静剤の不足が続いている。その結果、本来なら助かる可能性もあった患者が、適切な医療を受けられずに放置されている姿を現地のMSFチームも目の当たりにした。

ブラジルにおけるMSFの新型コロナ緊急対応でコーディネーターを務めるピエール・ヴァン・ヘッデゲムは、「感染拡大の初期にMSFがアマゾナス州で見た惨状は、その後ブラジルの多くの州でも繰り返されました。連邦保健省と州や自治体の保健当局との間で、計画や調整が欠落していることが、生死に関わる事態を招いています。患者が医療を受けられずに亡くなっていく一方で、医療スタッフは過酷な労働で疲労困憊し、精神への影響も非常に深刻です」と話す。

この状況をさらに厳しくするのが医療従事者の不足だが、ブラジルでは外国籍の人や、ブラジル人であっても海外で資格を取得した者は、医療スタッフとしての労働が認められていない。

その上、国内で流布する膨大な誤情報が、ブラジルでの感染拡大を助長する。マスク着用やソーシャルディスタンス、不要不急の移動や行動制限などは敬遠され、政治的な行為とみなされているのだ。さらに政治家が、ヒドロキシクロロキン(抗マラリア薬)やイベルメクチン(抗寄生虫薬)をコロナ・パンデミックの万能薬だと喧伝するため、医師はこれらの薬をコロナの予防と治療に処方している。

[画像2: https://prtimes.jp/i/4782/514/resize/d4782-514-969111-1.jpg ]


いますぐ新たな対応を

豚インフルエンザ「H1N1」型が流行した2009年には、わずか3カ月で9200万人の予防接種に成功したブラジルだが、新型コロナワクチンの集団接種ではそのスピードが半減。現在、少なくとも1回の投与を受けた人は約11%にとどまる。つまり多くの国民と、国境を接する人びとの命が、いまブラジルで広がる90以上の変異株や、新たに出現するかもしれない変異株の脅威にさらされている。

クリストゥ医師は、「この1年間、ブラジル当局は新型コロナ感染が際限なく広がるのを見てきました。エビデンスに基づいた公衆衛生対策をとることを拒否したがゆえに、余りにも多くの命が失われていきました。避けられる死をこれ以上増やさず、一流とされた国内の医療体制を崩壊させないためにも、ブラジルの対応は科学的根拠に基づいた、かつ的確な連携をなすものへと早急に切り替える必要があります」と訴える。

MSFは1991年にブラジルで医療活動を開始。当初はコレラやマラリアの流行に対応するためであった。新型コロナウイルス感染症に関する活動は2020年4月、サンパウロ市内でホームレスの人びとをサポートすることから始まった。以来、MSFは8つの州で、50カ所余りの医療機関を支援している。当初は最も弱い立場の人びとへのケアに力を注いできたが、感染拡大に伴い、膨大な数の感染者や死者に対応しきれないブラジルの医療体制を援助する活動も始めた。現在、ブラジル北部のロンドニア州、ロライマ州、アマゾナス州で、新型コロナ治療を担う病院を支援している。

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