【検証実験結果】画像解析AIによるイチゴの生育特徴量の計測について
PR TIMES / 2021年5月26日 11時45分
~初期費用を抑えながら高い精度の生育解析をめざす~
キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンITソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:金澤 明、以下キヤノンITS)は、令和元年度から令和2年度にかけて実施したスマート農業技術の開発・実証プロジェクト「阿蘇イチゴスマート農業実証コンソーシアム(代表機関:農研機構九州沖縄農業研究センター)」の検証実験結果をお知らせします。
キヤノンITSは、農林水産省「令和元年度スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」の公募において採択され、令和元年度から2年度にかけて「阿蘇イチゴスマート農業実証コンソーシアム(課題番号:19189416)」の実証グループに参画しました。
本事業では、促成イチゴ栽培におけるハウス内環境および作物生育情報を活用しながら、局所適時環境調節による省エネでの多収安定生産の実現と、自動選別パック詰めロボットを活用した出荷調整作業の省力化の検証を行いました。その中で、キヤノンITSはイチゴ生育画像解析システム(※1)と遠隔業務支援サービス「VisualBrain(※2)」を活用し、スマートフォンと画像情報を用いたイチゴの花数、果実熟度、葉面積の生育特徴量計測技術(※3)の実証実験を行いました。
[画像: https://prtimes.jp/i/1375/604/resize/d1375-604-288002-0.png ]
スマートフォンを活用した生育特徴量計測の検証
熊本県阿蘇市は、イチゴの中・大規模栽培において、雇用労働力を有効活用することで高収益を維持しながら営農されており、全量共同選果による販売の実現と生産者の負担軽減を進めている先進産地です。さらなるイチゴ生産拡大と収益力向上を図るため、スマート生産技術と共同選果施設を活用した、生産から出荷までの多収省力型一貫体系をめざしています。
本実証実験では、九州沖縄農業研究センター内のイチゴ品種「恋みのり」「さがほのか」の生育状況をスマートフォンにて一定期間にわたり撮影し、解析に適した高精細かつ定点の画像データを収集しました。キヤノンITSは、イチゴ生育画像解析システムを使った画像解析で得られたデータを「VisualBrain」を通じてクラウドシステムに蓄積し、遠隔から現地の映像や解析結果を閲覧できる環境を構築しました。スマートフォンでの簡易な生育解析として実証したところ、2品種の花数、果実熟度、葉面積の生育特徴量の自動計測精度は90%以上を達成しました。これにより、1.多くの人が普段から持っているスマートフォンのカメラ機能を使って、初期費用を抑えた生育解析が可能、2.スマートフォンは高精細画像の撮影ができるため、高精度な生育解析が可能、の2点を確認することができました。
なお、キヤノンITSは農林水産省委託事業「令和3年度スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」に応募し、このたび採択されました。次回のプロジェクトでは「阿蘇イチゴ輸出スマート農業実証コンソーシアム(課題番号:21451798)」に参画し、令和元年度スマート農業技術の開発・実証プロジェクトでの経験を生かしながら、イチゴ生育画像解析システムおよび「VisualBrain」を活用したスマートフォンによる生育計測から収量予測、農業熟練者による映像共有を活用した遠隔指導や農作物のリモート審査の実証実験を開始します。
キヤノンITSは、2015年より農業分野においてカメラとAIを活用したスマート農業技術の研究開発に取り組んできました。イチゴの栽培において、花や実の数、葉の大きさ、葉の色などの生育情報を、ICT技術を用いて数値化するAIを開発しました。さらにこの情報に温度や湿度などの環境データを組み合わせることで、マルチモーダルな情報をもとにした収穫量予測AIの開発に取り組んでいます。今後も、ICT技術を活用した持続可能な農業の推進と生産・サプライチェーンにおける食品ロスの削減に貢献できるよう、技術開発を進めていきます。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/1375/table/604_1.jpg ]
※1 イチゴ生育画像解析システム
映像情報から現在までのイチゴの生育状況を数値化し、また未来の収穫量を予測するシステム。
※2 遠隔業務支援サービス「VisualBrain」
遠隔地で発生している事象をリアルタイムにオフィスと共有し、オフィス側からも状況に
応じて適切な対応を行うことができる、双方向型の映像コミュニケーションサービス。
※3 生育特徴量計測技術
イチゴの生育画像からAIが花の数や果実の生育ステージ等を自動判別し、生育状況の指標として定量化する技術。
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