7/13(水)にポジティブ政治心理学国際セミナー1 をオンライン開催 ウェルネスと公正︓心理学と社会的次元
PR TIMES / 2022年7月6日 21時40分
千葉大学国際高等研究基幹 研究支援プログラム「公正社会研究の新展開」では、本プロジェクト構成員から国際的に新しく提起された「ポジティブ政治心理学(以下にて詳説)」に関して国際セミナーを開催します。初回は「ウェルネスと公正︓心理学と社会的次元」をテーマとし、社会的次元も含めた心理学的研究において国際的に著名なアイザック・プリレルテンスキー教授(米国マイアミ大学)にオンラインで講演していただきます。
プリレルテンスキー教授は、コミュニティ心理学の世界的権威で、個人的・組織的・コミュニティなどに関する多次元的ウェルビーイングの概念を提唱されています。同教授は『心理学のフロンティア』で小林正弥教授(千葉大学大学院社会科学研究院)が寄稿した特集「共通善のための心理学︓市民性・正義・ウェルビーイング」の客員編集者も務められ、今回はこのテーマに即して「ウェルネス・公正・(称賛に値する)価値――共通善の心理学的基礎」と題した講演をしてくださいます。
また、心理学および社会科学の観点からワーク・エンゲイジメント研究で著名な島津明人教授(慶應義塾大学総合政策学部)にご討論いただき、本プロジェクト構成員からの関連コメントも予定しています。
貴重な機会ですので、多くの方々が参加してくださることを願っております。
■日時︓2022 年 7 月 13 日(水)10:00-12:00
■開催方法︓オンライン(ZOOM)
↓お申し込みはこちらから(参加費無料)
[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/604/resize/d15177-604-7502ff4d3204df47be3f-1.png ]
■アジェンダ︓
10:00-10:10【開会挨拶】水島治郎(千葉大学教授/「公正社会研究の新展開」代表)
10:10-10:50【講演】アイザック・プリレルテンスキー(マイアミ大学教授)
"ウェルネス・公正・(称賛に値する)価値--共通善の心理社会的基礎"
10:50-11:25【コメント】島津明人(慶應義塾大学教授)
【コメント】小林正弥(千葉大学教授)
11:25-12:00【応答と質疑】
【閉会挨拶】水島治郎(千葉大学教授)
■司会︓石戸光(千葉大学教授)
■言語︓英語
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/604/resize/d15177-604-e4ebaeeebabcaf6afe47-0.png ]
本セミナーに関連する研究成果をご紹介します。
ウェルビーイング調査結果 公正な社会が人びとの幸福を増大
Frontiers in Psychology(2021,12)の特集「共通善のための心理学――世界における市民性・正義・ ウェルビーイングの相互依存」で発表した 2 つの論文*1)において、小林正弥教授は、ポジティブ政治心 理学という新しい概念を国際的に提起し、ポジティブ心理学*2)と政治哲学との学際的なアプローチを理 論的に示して、それに基づいた実証研究を世界で初めて行いました。その結果、コロナ禍において、正 義・公正がウェルビーイングに好影響をもたらしていることを見出しました。
第 1 論文「政治哲学とポジティブ政治心理学――共通善のための学際的枠組み」︓主要な現代政治哲学 を「個人主義/集団主義」と「倫理的/⾮倫理的」の⼆軸によって整理し、それぞれとシティズンシップ (市民性)、正義、ウェルビーイング(良好な状態、以下WB)との関連性を示しました。その中で、コ ミュニタリアニズム(善や共同性など、地域や家族などの中で培われる価値観を重視する政治哲学の立 場)において、市民性や正義とウェルビーイングがもっとも密接に関連しています。 この整理は、心理学の知見に基づいて、政治哲学の理解を深めるためにも寄与します。「従来の心理学 /ポジティブ心理学」という対比と同じように、「従来の政治哲学/ポジティブ政治哲学」という対比を考 えることができて、功利主義やコミュニタリアニズムはポジティブ政治哲学とみなすことができるから です。このような枠組みによって、共通善を探究するための(社会科学を含めた)学際的協力が可能にな ります。
第 2 論文「政治哲学の心理学的検討――日本における市民性・正義・ウェルビーイングの相互関係」︓ 上記の枠組みに基づき、代表的な政治哲学に基づく仮説を想定し、2 回のインターネット調査( 母数 5000,2020 年/ 母数 6885, 2021 年)の結果をもとにそれぞれの妥当性を検証しました。その結果、 市民性、正義、WB(もしくは政治的WB)間に強い相関が明らかになりました。また、これら 3 つの 相関関係のほぼ全てについて、美徳に関連するWB指標を用いた相関関係の方が、快楽に関係するWB 指標を用いた相関関係よりも高いことがわかりました。これらの知見はコミュニタリアニズムに基づく 仮説と整合的です。 また、市民性と正義は、一般的なWBよりも政治的WBと密接に関連していました。さらに、格差解消 とWBには正の相関があり、社会で格差が減少している方が人々のWBは高まる傾向があることがわか りました。快楽に関連するWB指標よりも美徳に関連するWB指標を用いた方が、倫理的正義とWBと の相関の方がより大きいものでした。これは、福祉などによる分配的正義は倫理的側面に関連があるこ とを示しています。これらは、コミュニタリアニズムに基づく仮説と整合的です。市民性・正義・WBの 3 つの概念の関係は政治哲学において重要な点なので、これらの結果は、他の政治哲学に比して、コミュ ニタリアニズムの信憑性を高めるものです。
*1)第 1 論文︓”Political Philosophies and Positive Political Psychology: Inter-Disciplinary Framework for the Common Good”, 13 December 2021, (https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.727818)
第 2 論文︓”Psychological Examination of Political Philosophies: Interrelationship Among Citizenship, Justice, and Well-Being in Japan”, 28 February 2022 (https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.790671)
*2)ポジティブ心理学︓幸福や繁栄など、良い方向の心理について科学的に検証・実証を試みる心理学
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