ヒューマンタッチ総研が独自分析 2019年3月期第3四半期決算から見る建設市場の動向
PR TIMES / 2019年2月28日 12時40分
~業界全体として好調な決算も、土木工事業は減収減益~
ヒューマンホールディングス株式会社の事業子会社で、人材紹介事業を行うヒューマンタッチ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:高本和幸、以下「ヒューマンタッチ」)が運営するヒューマンタッチ総研は、総合工事業(ゼネコン)、土木工事業、電気設備工事業、管工事業の4業種に分けて、2019年3月期第3四半期決算から見る市場動向をまとめました。対象は3月期決算で2018年3月期売上高の上位各10社です。
[表: https://prtimes.jp/data/corp/5089/table/790_1.jpg ]
<全体概況>電気設備工事業と管工事業は増収増益で好調
2019年3月期の第3四半期決算(連結)の各業種主要10社の実績を合計すると、電気設備工事業と管工事業は増収増益となり、業界全体として好調な決算となりました。ゼネコンは減益ながら売上高は前年同四半期比106.1%となり、手持ち工事の消化は順調に進んでいるとみられます。一方、土木工事業は減収減益となっており、売上高、収益性ともに厳しい決算となっています(=図表1.)。
【図表1. 各業種主要10社の2019年3月期の第3四半期決算(連結)の実績合計】
[画像1: https://prtimes.jp/i/5089/790/resize/d5089-790-890728-0.jpg ]
<総合工事業(ゼネコン)>10社中9社が増収、4社が増収増益
各社ともに潤沢な手持ち工事を順調に消化して10社中9社が増収となり、全体として好調な決算となっています(=図表2.)。
大林組、清水建設、長谷工コーポレーション、前田建設工業の4社が売上高、利益ともに好調に推移し、増収増益となっています。長谷工コーポレーションと前田建設工業は好調な業績推移を受けて、通期業績予想を売上高、利益ともに上方修正しています。
一方、18年7月に発生した建設現場での大規模火災の影響などから、第2四半期発表時において通期業績予想を売上高、利益ともに大幅に下方修正した安藤ハザマは、第3四半期についても減収減益となりました。
また、戸田建設は第3四半期の業績動向を踏まえて、売上高、利益ともに通期業績予想を下方修正しています。
※竹中工務店は非上場のため除いています
【図表2. ゼネコン主要10社の2019年3月期の第3四半期決算(連結)の実績】
[画像2: https://prtimes.jp/i/5089/790/resize/d5089-790-704721-1.jpg ]
<土木工事業>10社中7社が減益 道路舗装業各社が総じて厳しい決算に
10社中7社が減益となり、収益面で厳しい決算となっています(=図表3.)。第2四半期に減収減益となり通期の利益予想を下方修正した、道路舗装業界首位のNIPPOは第3四半期についても減収減益の決算が続いています。
道路舗装業界2位の前田道路も減収減益となり、通期業績予想を売上高、利益ともに下方修正したほか、増収減益の東亜道路工業も通期業績予想を売上高、利益ともに下方修正しました。第2四半期に売上高、利益ともに下方修正した世紀東急工業は減収減益に転じ、道路舗装業各社は総じて厳しい決算となりました。
一方、鋼製橋梁、プレストレスト・コンクリート橋梁を主要分野とする川田テクノロジーズは増収増益となり、第2四半期に続いて通期の利益予想を上方修正しました。また、法面保護工事、斜面安定・防災工事、地盤改良工事などを中心に手掛けるライト工業や日特建設も増収増益となっています。
【図表3. 土木工事業主要10社の2019年3月期の第3四半期決算(連結)の実績】
[画像3: https://prtimes.jp/i/5089/790/resize/d5089-790-891283-2.jpg ]
<電気設備工事業>増収増益企業が増加、全体として好調に推移
関電工、きんでん、コムシスホールディングス、協和エクシオ、トーエネック、住友電設の6社が増収増益(第2四半期決算では5社)となり、全体として好調な決算となりました(=図表4.)。
業界2位のきんでんは好調な決算を背景に、通期見通しを売上高、利益ともに上方修正しました。また、コムシスホールディングスと協和エクシオは、それぞれ同業子会社の経営統合を18年10月に完了したことがプラス要因となり、大幅な増収増益になっています。
一方、ユアテックと中電工の2社は減収減益で、中電工は通期利益予想を下方修正しました。
【図表4. 電気設備工事業主要10社の2019年3月期の第3四半期決算(連結)の実績】
[画像4: https://prtimes.jp/i/5089/790/resize/d5089-790-525169-3.jpg ]
<管工事業>増収企業が増加し、好調な決算が続く一方、減収減益の企業も
三機工業、ダイダン、朝日工業社、テクノ菱和の4社が増収増益になるなど、豊富な手持ち工事を背景にして、10社中7社が増収(第2四半期決算では6社)となりました(=図表5.)。
第2四半期に通期業績予想を売上高、利益ともに上方修正した三機工業に続き、第3四半期においては、テクノ菱和が売上高、利益を上方修正しました。
一方、ヤマト、大成温調の2社は減収減益決算となりました。また、第2四半期に通期業績予想を売上高、利益ともに下方修正した日比谷総合設備は赤字に転じています。
【図表5. 管工事業主要10社の2019年3月期の第3四半期決算(連結)の実績】
[画像5: https://prtimes.jp/i/5089/790/resize/d5089-790-657455-4.jpg ]
*日比谷総合設備の前年同四半期の経常利益は1,091百万円
■ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸(ヒューマンタッチ代表取締役)のコメント
[画像6: https://prtimes.jp/i/5089/790/resize/d5089-790-823256-5.jpg ]
2019年3月期第3四半期の主要建設関連企業の決算結果を見ると、ゼネコン、電気設備工事業、管工事業において、豊富な手持ち工事を背景に順調に売上高を確保して、好調な決算になっています。
一方、ゼネコンの第3四半期の単体受注高を見ると、大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設の大手4社はいずれも前年同四半期を割っており、来期に向けて若干の不安材料だと考えられます。
また、土木工事業では、道路舗装業各社は売上高、利益ともに苦戦が続いていますが、橋梁工事や法面保護工事などを中心に手掛ける企業は好調な決算になっています。
今後の大きな課題は、年度末に向けて増加する工事量を確実に予定通り進捗させるための人材および資機材の確保と、来期に向けての受注高の積み上げだと考えられます。
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