予防接種率最新データ:三種混合(DTP)の接種率が初めて低下~パンデミックによるさらなる低下に警鐘【プレスリリース】
PR TIMES / 2020年7月16日 19時40分
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【2020年7月15日 ジュネーブ/ニューヨーク 発】
ユニセフ(国連児童基金)とWHO(世界保健機関)は本日、世界で予防接種を受けている子どもの数が驚くほど減少していると警鐘を鳴らしました。これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックのもたらした予防接種サービスの中断が原因です。ユニセフとWHOが新しく発表したデータによると、10年間の接種率低迷に加え、この中断によって、予防接種をより多くの子どもと若者に届けようとしてきた取り組みの成果が覆される恐れがあります。
ユニセフとWHOが発表した2019年の推定予防接種率に関する最新データは、106カ国へのHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの拡大や、より多くの感染症から子どもたちを守ることにおける改善が途絶える恐れがあることを示しています。例えば、2020年の最初の4カ月の予備データは、三種混合ワクチン(DTP:ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)を3回接種する子どもの数が大幅に減少していることを示しています。世界で三種混合ワクチンの接種率が低下したのはこの28年間で初めてです(三種混合ワクチンの接種率は、国の予防接種率を測る指標として用いられます)。
【COVID-19による予防接種の中断】
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COVID-19のパンデミックにより、少なくとも30件のはしか予防接種キャンペーンがキャンセルされた、或いはキャンセルになるリスクがあり、それにより2020年以降のさらなる流行につながる可能性があります。米国疾病予防管理センター(CDC)、サビン・ワクチン・インスティテュート(Sabin Vaccine Institute)、ジョンズ・ホプキンス・ブルームバーグ公衆衛生大学院(JHU)と共同で実施した新しいユニセフ、WHO、GAVIアライアンスのパルス調査によると、82カ国のうち4分の3の国々が、COVID-19に関連する予防接種の中断を報告しました(2020年5月時点)。
予防接種サービスが中断される理由はさまざまです。サービスが提供されている場合でも、外出への抵抗感、交通手段の運休、経済的困難、移動制限、またはCOVID-19の感染者と接触する不安により、人々はサービスにアクセスできていません。また、多くの医療・保健従事者も、移動制限やCOVID-19対応業務への再配置、または防護具がないという理由から、人員が不足しています。
「COVID-19によって、従来の定期予防接種の実施は困難な挑戦になりました」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「予防接種率のさらなる低下を防ぎ、子どもたちの命が他の感染症に脅かされる前に予防接種プログラムを緊急に再開しなければなりません」
【世界の予防接種率の停滞】
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COVID-19が流行する以前から、三種混合ワクチンとはしかワクチンの予防接種率の進捗は85パーセントで止まっていました。今日生まれた子どもが、5歳になるまでに世界的に推奨されているすべてのワクチンを接種する可能性は20パーセント未満です。
2019年には、約1,400万人の子どもがはしかワクチンや三種混合ワクチンなどの命を守る予防接種を逃しました。これらの子どもたちの大部分はアフリカで暮らしており、他の保健サービスも利用できない可能性があります。また、3分の2は以下の中低所得国10カ国に集中しています:アンゴラ、ブラジル、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン。中所得国の子どもたちが大きな割合を占めています。
【国と地域ごとの進展と課題】
いくつかの進展もありました。南アジアにおける三種混合ワクチンの3回目の接種率は、過去10年間、特にインド、ネパール、パキスタン全体で12ポイント増加しています。しかし、その進歩は、COVID-19に関連する混乱によって覆されるおそれがあります。エチオピアやパキスタンなど、著しい進歩を遂げた国々もまた、予防接種サービスができる限り早く再開されない場合、その成果が後退するリスクがあります。
ラテンアメリカとカリブ海諸国の状況は、特に懸念されています。この地域では、歴史的に高かった予防接種率が、この10年間で低下しています。ブラジル、ボリビア、ハイチ、ベネズエラでは2010年以降、予防接種率が少なくとも14ポイント低下しました。これらの国は、COVID19に関連する中程度から重度の中断にも直面しています。
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COVID-19関連の中断から巻き返しを図るため、ユニセフとWHOは、予防接種のありかたを再創造し、これまでよりもより良いものにする(Build Back Better)ための以下の取り組みにおいて、各国を支援しています。
公衆衛生および物理的な距離に関する推奨事項を守り、医療従事者に防護具を提供することにより、パンデミック時でも各国が定期予防接種サービスを安全に提供できるようにする
安全を確保するためにサービスがどのように再構成されたかを説明する上での、医療従事者と保護者の積極的なコミュニケーションを支援する
予防接種率とワクチン・ギャップ(他国と比べて公的に接種するワクチンの数が少ない等)を改善する
定期予防接種サービスを拡大し、支援の届いていない、最も弱い立場に置かれた子どもたちが暮らすコミュニティに到達する
* * *
■ データに関して
ユニセフとWHOは毎年195カ国の国別予防接種率を推計しています。ユニセフとWHOの推定プロセスでは、最新の推計値を計算するだけでなく、最新のデータに基づいて過去の一連の予防接種データを修正します。2019年版は1980年から2019年の40年分のデータを含みます。三種混合ワクチンの接種率は、子どもが予防接種を受けている割合を評価する指標として用いられ、1歳未満の子どもが計算の対象です。予防接種を受けた子どもの数の推定には、国連発表の「世界人口予測」のデータを用いています。
詳細のデータ(英)はこちら:
・予防接種率推計 インフォグラフ(Immunization coverage estimates data visualization)
https://data.unicef.org/resources/immunization-coverage-estimates-data-visualization/
・予防接種率推計 資料(Brochures:Immunization coverage)
https://data.unicef.org/resources/immunization-coverage-are-we-losing-ground/
・2020年6月パルス調査:予防接種と新型コロナウイルス(IMMUNIZATION PULSE SURVEY, JUNE 2020)
https://www.who.int/immunization/monitoring_surveillance/immunization-and-covid-19/en/
* * *
■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/
■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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