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事故物件公示サイト『大島てる』運営者 大島てる氏注目の、”賃貸ミステリ”小説『瑕疵借り』とは?

PR TIMES / 2018年6月22日 13時1分



[画像1: https://prtimes.jp/i/1719/1762/resize/d1719-1762-527683-0.jpg ]

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000310351
講談社文庫『瑕疵借り』
著者名 松岡 圭祐
発売日 2018年05月15日
価格 定価 : 本体660円(税別)
ISBN 978-4-06-511734-7


事故物件を題材とした小説は、本作品を以て書き尽くされた―――
先日刊行された小説『瑕疵借り』を読み終えた私に真っ先に浮かんだ感想だ。

事故物件とは要するに人が死んだ家や土地のことだ。
したがって、平凡な作品ならまずは殺人事件現場が典型的事故物件として登場する。
しかしながら、ネタバレになってしまうが、この短編集に収められた4つの短編のどれひとつとして殺人事件がテーマとなっていない。
この点からして、さすがは当代一流の作家の仕事だと思い知らされた。
特に、原発関連死が言及されていることを見逃してはならない。

ちなみに、作中に「瑕疵物件情報サイト」等として紹介されているのが、私、大島てるが運営代表を務める事故物件公示サイト「大島てる」だ。少なくとも私はそう解釈している。

さて、瑕疵物件と事故物件とは厳密にはイコールではないので、以下に説明していきたい。


「瑕疵」とは小難しい法律用語だが、易しく言えば、キズや欠陥のことである。よって、「訳あり物件」だとか「いわくつき物件」と呼ばれるものが「瑕疵物件」であるということになる。(「物件」は本来、不動産だけを指す言葉ではないのだが、ここでは不動産に話を絞る。)
その「瑕疵」は、不動産の世界では、3~4種に分類される。
物理的な構造上の瑕疵、法的な権利上の瑕疵、そして心理的あるいは精神的瑕疵である。(以上に環境的瑕疵が加えられる場合もある。)
「物理的瑕疵物件」の例としては、床が傾いている家や雨漏りがするアパートが挙げられる。大工の領域と言ってもよい。いわゆる欠陥住宅の意であるわけだが、欠陥イコール瑕疵なのだから、この用語法は考えてみれば不思議である。
「法的瑕疵物件」の例としては、建替えが法的に認められない土地が挙げられる。
残る「心理的瑕疵物件」とは、「事故物件」を含む、心理的に嫌悪感を抱かれてしまう物件のことだ。ということは、事故物件以外にも心理的瑕疵物件があることになるが、それにはどのようなものがあるのだろうか?
例えば、窓を開けると眼前にお墓が見える家を思い浮かべてほしい。誰かがそこで殺されたりしたわけではないので、事故物件とは呼べない。しかし、忌避する人が多いのは言うまでもない。つまりは、非事故物件の心理的瑕疵物件だ。売却の際には買い叩かれてしまうことも予想される。
余談だが、例えば日照面での魅力を理由に、あなた自身はお墓の隣の物件に対して嫌悪感を抱かずとも、嫌悪感を抱く他人が大多数であることを理解できないのなら、あなたは不動産投資に向いていない。
「瑕疵物件」(=「いわくつき物件」=「訳あり物件」)、「心理的瑕疵物件」、「事故物件」の包含関係については図を参照されたい。

[画像2: https://prtimes.jp/i/1719/1762/resize/d1719-1762-126608-1.jpg ]

それでは、この作品の『瑕疵借り』というタイトルは不適切なのだろうか?
そんなことは断じてない。
ありそうでなかったこのタイトルが洒落ているからというだけではない。
瑕疵物件には数種あれど、その頂点に君臨するのが心理的瑕疵物件であり、中でも事故物件こそが全ての心理的瑕疵物件の王だからである。

大島てる (事故物件公示サイト『大島てる』運営者)

賃借人失踪、 謎の自殺、 家族の不審死・・・・・・訳ありの瑕疵物件に敢えて住み込む男。 彼は、 不動産業者やオーナーたちの最後の頼みの綱。 類まれな嗅覚で賃借人の人生をあぶり出し、 瑕疵の原因を突き止める──。
思わず涙する”賃貸ミステリ”として話題の、『瑕疵借り』(松岡圭祐)は、講談社文庫より、絶賛発売中。

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