高齢になってから発症するてんかん。認知症と間違われることも

QLife / 2018年11月20日 10時0分

けいれんを伴わず「ボーっとする」など目立たない発作が多い高齢発症てんかん
札幌医科大学医学部神経内科講座教授 下濱俊先生

 患者数が約100万人と推定されるてんかん。神経内科とともに小児科で治療するイメージが強いてんかんですが、患者さんの約3分の1を高齢者が占めていることはあまり知られていません。高齢者のてんかんには、小児期や青年期にてんかんを発症した患者さんが完治せずに年齢を重ねた場合と、高齢者になってから初めて発症(高齢発症てんかん)する場合があります。

 高齢発症てんかんの原因は脳卒中が最も多く、35.8%。その他に動脈硬化(14.9%)、神経変性疾患(12.0%)、外傷(6.9%)などがありますが、原因不明も24.6%と一定数を締めています。また、高齢発症てんかんで多い「複雑部分発作」は、けいれんを伴わず、「意識がボーっとする」「反応がない」といった症状が多く、周囲がてんかんの発作と気づかないというケースもあります。

 認知症と間違いやすい「高齢発症てんかん」について、エーザイ株式会社は11月15日にメディアセミナーを開催。国際医療福祉大学医学部神経内科教授・福岡山王病院脳機能神経センター神経内科の赤松直樹先生と、横浜市立総合保健医療センター地域精神保健部長・副センター長兼務の塩﨑一昌先生、札幌医科大学医学部神経内科講座教授の下濱俊先生による講演と、TMGあさか医療センター脳神経外科部長・脳卒中・てんかんセンター長の久保田有一先生と患者さんによるトークセッションが行われました。

「認知症ではないのでは?」奥さんが気付いたことをきっかけに診断へ

 トークセッションでは、現在65歳の男性高齢発症てんかん患者さんが登壇しました。突然意識がなくなるなどの症状が現れて病院を受診したものの、最初の病院での診断は「認知症」だったとのこと。しかし、奥さんは「認知症ではないのでは?」と考え、TMGあさか医療センターを受診。高齢発症てんかんだと診断されました。最初に「認知症」と診断されてから半年が経過していました。久保田先生は「(早期発見の)ポイントは、身近な存在の奥さまがご主人の様子をよくみていたこと」と解説。患者さん本人は発作時の意識がないため、まずは身近な周りの人が症状に気付くことが大切だと訴えました。

 赤松先生は、高齢発症てんかんに多い、けいれんを伴わない「複雑部分発作」について解説しました。赤松先生は複雑部分発作の症状として以下の5つを挙げました。 1点をずーっと見つめ、ボーっとしていることがある 問いかけに答えが返ってこない、あるいは的外れな返答をすることがある。 口をもごもごする、手をもぞもぞして意識がはっきりしないときがある 動作が止まっていることがある 何をしていたか覚えていない”というときがある

 「記憶障害をきっかけに認知症外来を受診する患者さんの約1%が『てんかん』であり、過去にてんかんを発症したことのない『高齢発症てんかん』です」と、塩﨑先生。最近では、てんかんの合併がアルツハイマー型認知症の経過に悪影響を与える可能性があることもわかってきました。「高齢発症てんかんでは、多くの患者さんが“けいれんを伴わない発作”を起こし、記憶障害がある場合も多いことから、認知症との鑑別が必要です」(塩﨑先生)

高齢発症てんかんは治療可能な病気

 セミナーの最後に登壇した下濱先生は「高齢発症てんかんは、治療可能な病気です」と総括。そして、「一人でも多くの人に『高齢発症てんかん』という病気を知ってもらい、患者さんが早く正しい診断と治療を受けるきっかけをつくってほしい」とお話しました。

 もし、身近な人に「これって高齢発症てんかんかな?」と思う症状がある場合は、日本てんかん学会、てんかん診療ネットワークのウェブサイトなどで、てんかん診療を専門に扱う医療機関を探し、受診を促してみましょう。(QLife編集部)

関連リンク

エーザイ株式会社

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング