脳卒中・心筋梗塞や認知症予防、血管の“アンチエイジング”がポイントに

QLife / 2019年2月27日 14時0分

食後の中性脂肪高値、心筋梗塞や脳卒中などのリスクに
日本抗加齢医学会副理事長 森下竜一先生

 加齢に伴う老化によって起こる心身の衰えを防いで、年をとっても高い生活の質(QOL)を維持することを目指す抗加齢(アンチエイジング)医学。高齢化が進むわが国で、高齢者の自立を促し、社会的な生産性を維持するうえでも注目されています。日本抗加齢医学会が2月18日に開催したメディアセミナーでは、さまざまな領域のアンチエイジング研究の第一人者が登壇し、最新の研究を紹介しました。今回は、日本抗加齢医学会副理事長で、脳心血管抗加齢研究会世話人代表でもある大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座教授の森下竜一先生の講演「血管から見るアンチエイジング」の内容をご紹介します。

 厚生労働省の平成25年度の人口動態統計によると、日本人の主な死因の1位はがん。その次に多いのが、心筋梗塞などの心疾患、次いで、脳卒中などの脳血管疾患です。これらはまとめて「脳心血管系疾患」と呼ばれ、発症の背景には動脈硬化が潜んでいます。動脈硬化はいわば血管の老化現象。そこで近年注目されているのが、「血管のアンチエイジング」です。森下先生によれば、とくに重要と考えられているのが“食後”の中性脂肪値です。これまでの研究から、食後の中性脂肪値が高いと、脳心血管系疾患の発症リスクが高くなることがわかっており、脳心血管系疾患の予防には、食後の中性脂肪値を高くしないような食生活を心がけることが大切です。

 中性脂肪値を高める成分が、ファーストフードなどに含まれることが多い劣化(酸化)コレステロールです。糖尿病患者さんではコレステロールの吸収で重要な役割を担っているコレステロール輸送体が多い状態となっており、そこへ酸化コレステロールを含む食事を摂取することで、食事から吸収されるコレステロールの量が増え、動脈硬化が進行しやすくなると考えられています。酸化コレステロールが多く含まれる食品や食事は、ファーストフードのほかにもありますので、食後の中性脂肪値が高くなりやすい方は注意が必要です。

<酸化コレステロールを多く含む食品の例> 焼き鳥の皮部分 インスタントラーメンの麺 漬込みされた魚卵 レトルト食品 加工肉 するめ ビーフジャーキーなど紫外線照射を受けているもの

肥満などが原因で起こる高インスリン血症は、アルツハイマー型認知症の原因物質蓄積の原因に

 食後に注意が必要なのは、中性脂肪値だけではありません。2016年には、テレビ番組で紹介された「血糖値スパイク」という言葉が話題になりました。血糖値は、食事の摂取によって上昇します。血糖値が上がると血中の糖分を吸収するためにインスリンが分泌されますが、肥満などが原因となり、インスリンが効きづらい「インスリン抵抗性」が起こります。インスリンの効きにくさを補うためにインスリンが多く分泌されるのが、「高インスリン血症」です。

 高インスリン血症は糖尿病を悪化させるだけでなく、患者さんの脳ではアルツハイマー型認知症の原因のひとつであるアミロイドβが増加していることがわかっています。通常は、インスリンの分解酵素(IDE)がアミロイドβを分解しますが、高インスリン血症の人ではIDEがアミロイドβの分解まで追いつかず、結果的にアミロイドβが蓄積してしまうのです。福岡県久山町の住民を対象に行われている疫学調査「久山町研究」でも、空腹時のインスリン値やインスリン抵抗性の高さと、アミロイドβの蓄積に関連があることがわかっています。「インスリン抵抗性と高インスリン血症を引き起こさないことが、アルツハイマー型認知症の予防に良いといえます」(森下先生)

 また、「自分にインスリン抵抗性があるかどうかを知ることも大切」と森下先生。食後は眠くて仕方ないという人のなかには、インスリン抵抗性となっている可能性のある人もいるそうです。医療機関でインスリン抵抗性の検査を受ける場合は、食後すぐに受けるようにしましょう。インスリン抵抗性にならないためにも、大切なのは日々の食事と運動です。血管のアンチエイジングを意識して、食後に血糖値を上げないように、野菜中心の食生活を心がけることや運動習慣を見直してみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

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日本抗加齢医学会ウェブサイト

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