首相に自虐的答弁をさせた夕刊紙

クオリティ埼玉 / 2014年2月24日 13時4分

 NHK経営委員で作家の百田尚樹氏が、東京都知事選で田母神俊雄氏の応援演説中、候補者を「人間のくず」などと罵倒したという。2月12日の衆議院予算委員会において、野党議員から経営委員に任命した責任を追及された安倍首相は「ある夕刊紙は私のことを毎日のように『人間のくず』というように報道していますが、別に気にしません」と答弁し、議場は笑いに包まれた。夕刊紙といえば、『日刊ゲンダイ』か『夕刊フジ』だが、フジは安倍首相支持の立場だから、ゲンダイを指しているのは明らかだ。
 首相発言の翌日、友人の葬儀で旧知の同紙・下桐治社長と会い、もう2人と連れ立って弔いの酒を飲みに行った。「一度も『人間のくず』なんて書いてないよ」と社長は苦笑していたが、連日、厳しい安倍批判を展開しているのは事実だ。「人間のくず」に近いような表現も散見される。時の政権に対するこのような姿勢は今に始まったわけではない。
 『日刊ゲンダイ』は1975年に創刊されたが、この時の主要スタッフは、私も在籍していた講談社『週刊現代』編集部の出身だ。川鍋孝文会長も下桐社長もしかり。講談社からの出向ではなく、みんな退職して新会社を興したのだ。そこまでの決心ができず、誘いを断った人もいたはずだ。
 強い覚悟でスタートしたものの、部数が落ち込み、廃刊の危機に見舞われたが、1976年のロッキード事件を契機に売れ行きが急伸。田中角栄元首相らの汚職に関して週刊誌的な記事作りが成功したのだ。以後、着実に部数を伸ばしてきた。今は講談社とは人事・営業の関係はなくなり、編集面でも独立性を保っている。
 日本新聞協会には加盟せず、記者クラブにも属さない。こうした事情が政権批判を基調とする編集方針につながっているようだ。作家の小林信彦氏は『週刊文春』の連載コラムでゲンダイの愛読者であると明言しているが、駅の売店でも迷わず同紙を選ぶ人は多い。
 読んでみると、見出しは過激だが、内容は同感できる部分が多い。多少の行儀悪さはあっても、こういうメディアの存在価値は十分あるだろう。
(山田 洋)

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