大規模木造建築で都市にうるおいを 過疎地を宝の山に

クオリティ埼玉 / 2014年3月1日 0時7分

今月14日~15日にかけて降った大雪によって秩父地方や飯能市の一部の集落が雪に閉ざされた。10日あまりを経過して雪による集落の孤立は解消されたが、改めて山間部に住む住民への緊急時の支援という課題が明らかになった。これらの地域は、かつて林業で栄え、その衰退と共に過疎化が進んでいる。
 
我が国では、戦後に植林した樹木が活用期を迎える一方、木材自給率は3割にも満たない。1980年代後半の輸入制限緩和による海外からの木材の急増と価格の暴落による採算性の悪化から林業の収益性は悪化し、さらに必要な設備投資や人材の教育ができないためにコストは高い水準のままという状況が続いている。これに対して、国は2020年までに木材自給率を50%以上に高めることを掲げ、2010年に「公共建築物等木材利用促進法」を施行した。公共施設のような大規模施設での国産材の採用をテコに需要を喚起し、集約化、機械化等林業の生産性向上に必要な投資を呼び込む必要がある。
 
サウスウッド
ここにきて、大規模な木造建築を可能にする技術的な裏付けも出てきた。木造建築を採用する場合のネックの一つに耐火性の問題がある。都心の防火地域に新築する建物は、火災に強い耐火建築物にしなければならない。㈱竹中工務店は、都心の防火地域で地上4階建てまでの“木造ビル”を可能にする耐火集成材「燃エンウッド」を開発し、これを使った国内初の木造大型商業施設サウスウッド(横浜市都筑区 運営㈱横浜都市みらい)を建設した。昨年10月にオープンしたサウスウッドは、ほぼ全面ガラス貼りのモダンな建物を木材の柱や梁が支える。都会的なイメージでありながら、木材を使うことで暖かみや優しさを感じさせる美しい建築だ。風や自然を感じさせる木造の建築物は都市の生活にうるおいをもたらす。
 
また、木材は鉄筋コンクリートに比べて弱いイメージがあるが、三井ホーム㈱は昨年12月銀座にツーバイフォー工法で5階建のビルを建設した。欧米ではCLTと呼ばれる集成材を用いて10階程度の木造ビルが次々と建てられているという。CLTとはCross laminated timberの略で、板材の繊維方向が交差するように張り合わせることで強度を持たせた集成材のことである。 CLTは我が国でも研究中で、近く解禁される見込みだ。
 
埼玉県には、秩父地方や飯能市等の良質な木材の産地があり、森林面積は122.118haで全県面積の約32%を占める。この地域を住民にとっては不便な生活を強いることになり、行政にとってはコストがかかる過疎地としてしまうか、文字通りの宝の山とするかは、今後の林業の再生に懸っている。大規模な木造建築が造られ始め、震災復興、東京オリンピック等大規模な開発が本格化する今がそのチャンスだ。県には県内の林業、木材加工業者への支援と同時に集成材メーカーや研究機関の誘致を期待したい。
(三津橋 真也)
 

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