液状化対策にみる自治体トップの役割

クオリティ埼玉 / 2014年4月15日 20時22分

今年で丸3年を迎えた東日本大震災。津波の被害にあわれた東北の被災者の方々には1日も早い復興を願ってやまないが、津波の被害以外にも液状化被害が東北に限らず関東にも及んでいたことはご存じだろうか。今年の2月に発表された関東学院大の調査によれば、東北と関東の全13都県の計189市区町村に発生していたそうだ。
 
液状化とは地震によって、地盤の砂の粒子が離れてしまい地盤の中にあった水が浮き出す現象である。その結果、建物が傾いたり、マンホールなど地中ににあるものが浮き上がってくる。この現象が起こりやすい地盤は、もともとが埋立地であったり、海岸や川のそばの比較的地盤がゆるいところ、地下水位が高い砂地盤などだそうだ。
 
浦安市を筆頭に千葉県や茨城県の沿岸部の埋め立て地が液状化被害を受けたと報道されていたが、実は内陸部でも液状化の被害が広がっていた。その一つが埼玉県久喜市の南栗橋地区だ。南栗橋の造成地は、水田の上に砂を埋め立ててつくられたので砂地に地下水がながれていたわけではないが、全体的に地盤が下がったため地下水位が高い砂地盤になっていた可能性が高い。しかし、液状化の復旧をしたとしてもそれで終わりでなく、今後首都直下地震の発生可能性も踏まえて再液状化に対する対策も考えなければならないのだ。「再液状化」とは一度起きた場所で液状化が繰り返し発生することで、地盤の強化を行わず液状化が繰り返されると、建物の価値もなくなってしまい街はゴーストタウン化してしまう。そうなると家をもっている人もその資産価値を失ったうえ、生活のメドがたたなくなるという悪夢が現実のものとなってしまうのである。
 
このようなときに行政、特に自治体は何ができるのか。久喜市の例をみてみよう。東日本大震災で久喜市南栗橋地区が大規模な液状化被害を受けた時、田中暄二市長は埼玉県市長会で必死に県知事に対策を訴え、国に対しても支援を要望した。その結果、被災者生活再建支援法の適用が決まり、全壊家屋には最大300万円、大規模半壊には同250万円が支給されることとなった。また再液状化対策については液状化被害のあった市町村と連携し、国へ更なる支援制度の創設などを要望した。その結果、市街地液状化対策推進事業が創設され、復興交付金事業として国の支援で再液状化対策の実証実験をおこうなうことになったのだ。この実証実験の結果は久喜市のみにとどまらず、全国を災害に強い街、市民の財産を守れる街にすることにつながるのである。
 
わが埼玉県は埼玉都民という言葉もあるように、昼間東京に働きに出てしまうため住んでいる地域の行政に興味がない人が多い。その結果、投票率がさがり先日の川口市長選では27.32%という低投票率を記録してしまった。しかし、行政、特に自治体のトップがしっかりその役目を果たせる人物でないと市民の財産は守られないといっても過言ではない。改めて言うまでもないが、インターネット、情報社会である自分たちが住んでいる地元行政がなにをしているのかという情報収集は難しくない。市民が自律的に情報収集し、行政へ参画する唯一の手段である投票にかならず行くという姿勢が、民主主義の原点ではないだろうか。
(小林 司)

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