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私の選ぶ2019-20シーズン年間アウォード【大柴壮平コラム vol.44】

NBA Rakuten / 2020年8月1日 11時0分

2019-20シーズンの個人アウォードは中断前までの実績でジャッジ。筆者が選んだのはどの選手か


NBAは先日、2019-20シーズンのアウォードは3月のシーズン停止前までの試合を対象とすると発表した。そこで今週は、候補に名前の挙がっている選手を紹介しつつ、当コラムでも独断と偏見で各アウォードの受賞者を選出しようと思う。


新人王と最優秀守備選手賞はサプライズなし


まずは新人王。今シーズン、もっとも議論が盛り上がらないのがこのアウォードだ。シーズン前半にジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)が独走、1月にデビューしたザイオン・ウィリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)の追い上げが期待されたが、3月にシーズンが終わってしまったためにザイオンはわずか19試合しか出場できなかった。そのため、受賞者は圧勝でモラントだ。満票での選出も有り得るだろう。グリズリーズファンの私にとっては久しぶりの嬉しい話題である。

続いては最優秀守備選手賞(以下DPOY)。候補に挙がっているのは、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)、アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)、ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)、バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)といった面々だ。新人王よりは混戦に見えるが、蓋を開けてみればヤニスの圧勝になると予想する。

今シーズン最もディフェンスの良かったチームはバックスだ。ディフェンシブ・レーティングで2位のトロント・ラプターズに3.3もの大差をつけている。ヤニスはそのバックスの攻守の要であり、今シーズンは特にディフェンスにおける影響力が大きかった。ガベージタイムの数字を取り除いたスタッツを提供するサイト『Cleaning The Glass』によれば、ヤニスがコートにいるときは不在時に比べ、100ポゼッション当たり11.3も失点が少なくなるという。チームの優秀さでも、個人としてのパフォーマンスでも、ヤニス以上のインパクトを残した選手はいない。



可哀想なのが、過去2シーズン連続で同賞を受賞しているユタ・ジャズのルディ・ゴベア。今シーズン、よりオフェンシブなチームにシフトしたジャズにおいて、ゴベアのディフェンスでの貢献度は上がっていた。また、ここ数シーズンはリーグ全体が3ポイントのアテンプトを増やす方向にシフトしていたが、今季はそれが頭打ちになり、打たせていい3ポイントは打たせるかわりにペイントをしっかり守るという傾向が出てきた。チーム事情的にもトレンド的にもDPOYを取った昨シーズンよりも、ゴベアのディフェンスにおける価値は上がっているのだ。それにもかかわらず今シーズンの受賞を逃すとなれば、ドワイト・ハワード以来の3シーズン連続DPOYがかかるゴベアにとっては気の毒な話だが、相手が悪かったと思うしかないだろう。


今シーズンのサプライズチーム、サンダーから2人を選出


毎シーズン予想が難しいのが最優秀コーチ賞(以下COY)だ。今シーズン候補に名前が挙がるのは、ニック・ナース(ラプターズ)、フランク・ボーゲル(レイカーズ)、マイク・ブーデンホルザー(バックス)、ビリー・ドノバン(オクラホマシティ・サンダー)である。有力なのはナース。昨シーズン、NBAにおけるHCデビューと同時に優勝を果たした鬼才だ。今シーズンは、カワイ・レナードがロサンゼルス・クリッパーズに移籍した影響を感じさせない戦いぶりで、さらに評価を上げている。

しかし、私がCOYに推したいのはドノバンだ。今シーズン、サンダーがここまでの成績を残すとは、一体誰が予想できただろうか。2016-17シーズンのMVPラッセル・ウェストブルックとオールスター選出6回のポール・ジョージを一気に失ったチームを率いて、タフなウェストで5位につけているのだ。しかも中断時点の成績とは言え、勝率は昨シーズンより上。がらりと陣容の変わったチームで、この快進撃を見せたドノバンの手腕は素晴らしい。


直近2シーズン連続でルー・ウィリアムズ(クリッパーズ)が受賞している最優秀シックスマン賞も、DPOY同様新たな受賞者が誕生しそうである。候補にはルーの他、クリッパーズでルーと共にプレイするモントレズ・ハレルとサンダーのデニス・シュルーダーの名前が挙がっている。ルーは一昨季をピークにトラディショナル・スタッツ、アドバンスド・スタッツの両方が年々下がっており、あえて強調するような要素が見当たらない。

ベンチから平均18.6点、7.1リバウンドのハレルと、19.0点、4.1アシストのシュルーダーは甲乙つけがたいが、私はシュルーダーを推したい。EFG%の53.2は同賞受賞年のルーと比較しても高く、ガードとしてはかなり優秀な数字だ。レーティング上でもシュルーダーがコートにいる時間は、いない時間に比べて8.6ポイント向上する。一方のハレルはプラスマイナス0で、クリッパーズという優勝候補に所属していることを差し引いてもシュルーダーほどのインパクトはない。また、ルーとハレルが組んでいるクリッパーズと違い、サンダーのベンチでシュルーダーの次に得点をとっている選手が誰か、おそらくサンダーファン以外は把握していないだろう(ちなみに答えはナーレンズ・ノエルで平均7.7点)。チーム事情を鑑みてもシュルーダーが受賞に相応しいと私は思う。


コート内に留まらないレブロンの功績


MIP候補にはバム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)、ブランドン・イングラム(ニューオーリンズ・ペリカンズ)、デボンテ・グラハム(シャーロット・ホーネッツ)の名前が挙がっている。この賞は3人全員に賞をあげたいぐらい、どの選手もインパクトがあった。イングラムは2016年のドラフト全体2位でレイカーズに指名されたエリートだが、昨年のオフにアンソニー・デイビスとの交換でペリカンズに放出された。その鬱憤を晴らすかのような活躍ぶりが清々しい。グラハムはほぼ無名の状況から一気にチームの主役になった。

2人の活躍も目を見張るものがあったが、私が最も驚いたのはアデバヨの成長ぶりだ。昨シーズンまで正センターだったハッサン・ホワイトサイドが移籍したこともあり、アデバヨの活躍はある程度予想されていた。しかしそれは得点やリバウンドの話で、アシストを2.2から5.1に伸ばすとは思いもしなかった。センターの中でこの数字は、おそらく歴史を振り返ってもトップクラスにパスの上手いセブンフッター、ニコラ・ヨキッチに次ぐ記録で、リーグで最も器用なビッグマン、カール・アンソニー・タウンズより上だ。現在イーストの4位につけているマイアミ・ヒートの中心を担っていることも考慮し、私はアデバヨを選びたい。



MVPはもっとも価値のあるアウォードということで最後に持ってきたが、ROYに次ぐ圧勝ムードが漂っている。トップランナーはヤニス、大きく離された2番手がレブロン・ジェームズ(レイカーズ)という図式である。ヤニスはMVPをとった昨シーズンを上回る成績を残しており、文句のつけようがない。さらに苦手な3ポイントを打ち続けてものにしようとしている姿勢にも好感が持てる。

ただ、あとから今シーズンを振り返ったときに思い出すのは、ヤニスではなくレブロンではないだろうか。私はそんな気がしている。コービー・ブライアントが不慮の事故で帰らぬ人となったときも、悲しみにくれるレイカーズファンを支えたのはレブロンだった。コロナ禍ではリーグ再開を積極的に支援し続け、BLMムーブメントでも声を上げるだけでなく、黒人社会の投票を促進するNPO団体「More Than A Vote」を設立した。レブロンが怪我で不本意に終わった昨シーズンから復活し、再びリーグの顔として活動してくれたことが、さまざまな面でポジティブな影響を与えたように見える。おそらく本物の賞レースではヤニスの2連覇だろうが、当コラムではレブロンのコート内に留まらない功績を讃え、MVPの栄誉を贈りたいと思う。


最後に、私が選ぶオールNBAチームは以下の通り。皆さんのご意見も是非コメント欄にてお聞かせください。

■ファーストチーム
G:ジェームズ・ハーデン(ロケッツ)
G:ルカ・ドンチッチ(マーベリックス)
F:レブロン・ジェームズ(レイカーズ)
F:ヤニス・アデトクンボ(バックス)
C:ニコラ・ヨキッチ(ナゲッツ)

■セカンドチーム
G:クリス・ポール(サンダー)
G:デイミアン・リラード(ブレイザーズ)
F:カワイ・レナード(クリッパーズ)
F:アンソニー・デイビス(レイカーズ)
C:バム・アデバヨ(ヒート)

■サードチーム
G:トレイ・ヤング(ホークス)
G:ブラッドリー・ビール(ウィザーズ)
F:ジェイソン・テイタム(セルティックス)
F:パスカル・シアカム(ラプターズ)
C:ルディ・ゴベア(ジャズ)


大柴壮平:ロングインタビュー中心のバスケ本シリーズ『ダブドリ』の編集長。『ダブドリ』にアリーナ周りのディープスポットを探すコラム『ダブドリ探検隊』を連載する他、『スポーツナビ』や『FLY MAGAZINE』でも執筆している。YouTube『Basketball Diner』、ポッドキャスト『Mark Tonight NTR』に出演中。




(C)2020 NBA Entertainment/Getty Images. All Rights Reserved.

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