1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

『落下の解剖学』ほか緊迫感と謎が渦巻く法廷劇にドキドキハラハラ…ヨーロッパのサスペンス映画4選

Rエンタメディア / 2024年9月28日 12時0分

第79回ヴェネチア映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞をW受賞した本作。セネガル系フランス人女性監督のアリス・ディオップは、実際の裁判記録をそのまませりふにする斬新な手法を取り入れた。
主人公の若き女性作家が傍聴する裁判の被告は、生後15カ月の娘を海辺に置き去りにした殺人罪に問われた女性。彼女は、セネガルからフランスに留学し、完璧なフランス語を話す才女だが、裁判長に「なぜ自分の娘を殺したのですか」と問われると、「分かりません。裁判で知りたいと思います」と答えるところからグッと引き付けられる。
実際の法廷に響いた言葉に耳を傾けるうち、作品の“視聴者”から主人公と同じく裁判の“傍聴人”であるかのような感覚に陥る。法廷劇でありつつ、ジェンダーや差別感情などの社会問題、そして母と娘の関係という深遠なテーマが映し出されていく。

●シチリアーノ 裏切りの美学

実在したイタリアの大物マフィア、トンマーゾ・ブシェッタを描く本作。上映開始1時間ちょっと過ぎから始まる法廷劇が見どころだ。
マフィアの抗争が激化した1980年代のシチリア。家族や仲間たちの命が奪われた中、マフィア撲滅に執念を燃やす判事から協力を求められた主人公は、掟に背く行為ながら、組織に抱いた思いから応じることに。その心理の変化を捉えたあとに広がる法廷の光景に驚かされる。判事の前にたくさんの弁護士がいて、さらにその後ろに備えられたいくつもの鉄格子で仕切られた部屋に被告となるマフィアたちがいる大裁判なのだ。
口を縫って話すことを拒む者の出現に始まり、挑発や野次が飛び交い、厳粛なイメージの場が騒然とする様に目を丸くするばかり。300人以上が捕まったことでこの法廷は特別なものであるようだが、その後、数年かけて裁判が幾度か行われる様子も映し出され、証人と被告が“対決”する形で意見を交わすなど制度の違いを見ることができる。マフィアが暗躍する社会の構造も浮かび上がり、その中で独自の信念を持ち、命を懸けて告発した主人公も知らなかったことが明らかになるなどサスペンス感が高まる。

(文・神野栄子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください