J-POPの中心を目指す真夏のアウトサイダー 神聖かまってちゃん×川本真琴「フロントメモリー」レビュー

リアルサウンド / 2014年4月8日 16時22分

写真

 神聖かまってちゃんが、これから狂おしい夏が始まることを告げている。4月9日に発売される『フロントメモリー』は、2012年の『知恵ちゃんの聖書』以来約1年半ぶりとなるシングルだ。

(参考:神聖かまってちゃんは今、何をしている? 個々の活動とクリエイターとしての変化を追う)

 「フロントメモリー」は実にトリッキーな手法で公開された。まず元モーニング娘。の新垣里沙が出演するビデオ・クリップのショート・ヴァージョンが3月21日に公開されて話題を呼んだのだが、さらに事件は起きた。3月26日の神聖かまってちゃんのライヴに川本真琴が登場し、「フロントメモリー」は彼女が歌っていることが明らかにされたのだ。楽曲の正式名称は「フロントメモリー feat. 川本真琴」となった。

 川本真琴の参加を知ったときに思い出したのは、2010年9月19日にSHIBUYA-AXで開催された神聖かまってちゃんの企画ライヴ「窓辺で手紙を調弦っす。vermail」のことだった。神聖かまってちゃん、フルカワミキ、QP-CRAZYとともに出演したのが川本真琴だったのだ。

 川本真琴は「愛の才能」「DNA」「1/2」「桜」などの大ヒット曲で知られるシンガーソングライターだ。しかし、2002年からは活動の場をインディーズに移し、名義を「タイガーフェイクファ」に変えたりするなど独自の活動を続け、3枚目のオリジナル・ソロ・アルバム『音楽の世界へようこそ』(2010年、川本真琴 feat. TIGER FAKE FUR名義)のリリースまでは、2001年の『gobbledygook』から数えて実に9年を要した。

 川本真琴はJ-POPのメインストリームにいながら、あえて独自の道を選んだアーティストだ。そして、2010年の神聖かまってちゃん企画ライヴでは、飛び跳ねてスピーカーに登ったり、ぬいぐるみを抱いて床に座ったりと、自由奔放なステージを見せていたことを思い出す。

 神聖かまってちゃんは、2010年のメジャー・デビュー後もさまざまな物議を呼んできたバンドだ。メジャーから離れて己の道を進んだ川本真琴、そしてあえてメジャーにいながら様々な騒動を起こす神聖かまってちゃん。両者の才能やスタンスが呼応し、共感したことは想像に難くない。それぞれに「アウトサイダー」なのだ。

 「フロントメモリー feat. 川本真琴」では、の子とよく似た川本真琴の歌声が、の子自身ではないからこそ歌詞を生々しくえぐる。歌詞には「真夏日」が出てくるが、「夏」は神聖かまってちゃんにとって重要なテーマだ。「22才の夏休み」「23才の夏休み」「26才の夏休み」といった「夏休み」シリーズは、2011年のアルバム「8月32日へ」にまとめて収録されている。そして、今の神聖かまってちゃんはモラトリアムを終えて、「夏」の時間軸を意識的に進めようとしているかのようなのだ。さらに川本真琴が情感を込めて歌う「ガンバレないよガンバレないよ」という歌詞には、はみだしものたちの叫びを感じた。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
リアルサウンド

トピックスRSS

ランキング