<直言!日本と世界の未来>失われた国民の信頼=難題山積の「仕事人内閣」、口先だけではない抜本策を願いたい―立石信雄オムロン元会長(直言篇17)

Record China / 2017年8月13日 8時30分

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安倍晋三首相は内閣を改造し、新内閣を「仕事人内閣」と名付けた。心機一転内外の課題に総力を挙げることを期待したいが、失われた国民の信頼は容易に取り戻せるものではないだろう。

安倍晋三首相は内閣を改造し、新内閣を「仕事人内閣」と名付けた。心機一転内外の課題に総力を挙げることを期待したい。

内閣改造や自民党人事が、内閣支持率の回復につながるか注目したが、結果は微増かほぼ横ばいにとどまった。失われた国民の信頼は容易に取り戻せるものではないだろう。

従来のお友達人事からやや脱却した一方、副総理や官房長官などの中核ポストを留任させた。しかし、すべての調査で安倍内閣を「支持しない」が「支持する」を上回った。不支持の理由として「安倍政権への信頼の欠如」が最も大きな比率を占めた。「加計学園」「森友学園」「自衛隊日報」など都合の悪い事実や報告書を隠ぺいしたり、開示が不足したりして、国民の不信が高まり急落した支持率の回復は容易ではない。

さらに、深刻なのは安倍首相や菅官房長官の発言そのものが信頼を失っていることだ。「謙虚さに欠けた」とか「心からお詫びする」とか口では低姿勢を演出するが、実際の行動が伴わない。8月10日の閉会中審査でも加計学園理事長、稲田防衛大臣、安倍明恵夫人らの出席を拒否した。

首相は改造後の記者会見で「最優先は経済再生だ」と語ったが、本当にやりたいのは憲法改正ではないかと国民の多くが見透かしている。経済最優先を方便にするのはもう限界だろう。首相の経済政策「アベノミクス」を旗印とした異次元緩和や、日銀や年金基金による株・国債購入による株値押し上げや2度の消費増税延期など国民受けする政策で支持率を浮揚。そこで生まれた政治的な“蓄え”を安全保障法制など経済とは別なところに使う。その繰り返しだった。「経済最優先で行く。憲法改正ありきではない」と安倍首相は強調したが、国民は「もう騙されない」という気分になっているのではないか。

日銀の金融緩和や財政再建では真実を語ってほしい。日銀の「2%物価上昇目標」は4回も延期され、達成は絶望視されているが、依然固執している。基礎的財政収支の黒字化目標も、政府は名目成長率3%超、実質2%超と仮定して計算しているが、実際には良くてそれぞれ2%、1%が現実的ではないか。基礎的財政収支の黒字化が20年に難しければ、現実を直視して再考し、達成目標を2〜3年ずらすべきである。
加計学園の獣医学部新設が問題になった国家戦略特区諮問会議の論議はすべて開示すべきである。公平性を保つため会議とは別に第三者機関を設置するのが有効だろう。

一方、改造内閣に早くも懸案が浮上。江崎鉄磨沖縄・北方相が「(国会答弁で)役所原稿を朗読する」と発言し、民進党など野党が辞任を要求している。「加計学園」の獣医学部新設問題でも情報公開のあり方を巡る新たな疑惑が判明した。政権側のさらなる不祥事が傷口を広げかねない。

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