労働者不足の日本、長野の「田切農産」が切り開いた道―中国メディア

Record China / 2018年10月17日 15時10分

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土地が狭く人口の多い日本では今、農業が発展の諸問題に直面している。たとえば、少子高齢化がますます進行し、農業の労働力不足が日々深刻化している。資料写真。

土地が狭く人口の多い日本では今、農業が発展の諸問題に直面している。たとえば、少子高齢化がますます進行し、農業の労働力不足が日々深刻化している。農業の経営コストがますます増大し、農家が巨大な損失のリスクを抱えている。農村の社会的活力がますます弱まっている、などだ。長野の小村・飯島町にある企業「田切農産」は、こうした問題を緩和するために設立され、農村振興のための大胆な試みと実行力で、日本農業の持続可能な発展の実現に一本の道を切り開いた。

■農家を株式会社化し、積極性が向上

古い倉庫を改装した簡素な事務室で、飯島町振興の立役者である田切農産の代表者・紫芝勉さんに話を聞いた。

紫芝さん(57)は細身で肌は日に焼けていた。1990年に日本の農業大学を卒業後、米国に留学し、1年半後に帰国すると父親と一緒に畜産経営をスタート。86年には稲の栽培を始めた。だが数年後、事業は発展のボトルネックに落ち込んだ。飯島町は山々に挟まれた狭い地域で、広い平野はなく、農地は小さなブロックの棚田がほとんどだ。栽培面積が一定の広さになると、今度は草取りなどの管理を十分に行うのが難しくなった。また、農家の高齢化が進行し、労働力が不足し、米の栽培面積がどんどん縮小していった。

紫芝さんは何度も検討と話し合いを重ね、現地の農家とともに株式会社を設立することを決めた。こうして2005年に田切農産が本格的に発足した。10数年にわたる経営の後、現在の栽培面積は100ヘクタールを超え、売上高は年間約1億4000万円を超える。保有する農業機械は約100台で、総額約2億円に上る。

株式会社田切農産には現在258人の株主がいる。農家は1000円を納めれば株主になることができる。会社の経営方法は非常に柔軟性に富んだもので、農民は土地を会社に貸し出してもよいし、保留して田切農産のシステムに組み込んでもよい。紫芝さんは、「当地のすべての農家に株主になってもらえば、みんなが長所を伸ばし短所を補うのに有利になるし、農業の持続可能な発展を促進するし、農家がそこから利益を得ることもできる。たとえば農村が田切農産に作業の手伝いを頼む時は、市場価格より30%ほど安く済むし、優待価格で農産品を購入することもできる」と話す。

■人ごとにポストを作り、若い人はとどまる

少子高齢化は日本の農業の発展に重大な影響を与えている。15年の農家の平均年齢は66.4歳になり、65歳以上が63.5%を占め、平均はさらに上昇する見込みだ。紫芝さんは、「若い人をより多く農業に引き寄せるにはどうするかが、日本の農業が持続可能な発展を遂げられるかどうかに関わってくる」という。田切農産は若い人の興味関心を踏まえて仕事を割り当て、彼らに農業を好きになってもらおうとしている。学んで経験を積んだ後は、独立して農業を営んでほしいと考えている。

田切農産で昨年から働き始めたという2人の若い社員に会った。20歳の中平啓人さんと田原凛さんだ。2人とも農家出身ではないが、農業に強い興味を抱いていたという。2人の各種保険料などを差し引いた毎月の手取りは、大体15万円になる。

紫芝さんは「人は自分のやりたい仕事しかしない」と考えているため、新入社員の採用面接では一人一人に趣味や好きなことを詳しくたずね、興味関心を踏まえて、それぞれに仕事を振り分ける。入社後は、常に社員の考えを聞くという。

■販売に着目、農産品はよく売れる

現地の農民が栽培する野菜、果物、花・植物などの農林産品は自家用に余剰があるが、販売しようとしても販路がなかったので、田切農産は8年前、国道近くに直売所「キッチンガーデンたぎり」を設置した。それぞれの季節がやって来ると、どの農家がどの製品を販売するかがきちんと決まっている。農家は商品を持ち込むと、あいさつをしてすぐ帰る。田切農産は販売を担当し、15%のリベートを受け取る。

田切農産は現在、稲、大豆、そば、ネギ、唐辛子、アスパラガス、桃などさまざまな作物を育てている。紫芝さんの説明では、「作物を植える前の段階で、田切農産は農産品の販路計画を立て、顧客と契約を結んでいる。農作物の付加価値も積極的に高めている。たとえば最近は現地の酒造メーカーと協力して、米を醸造所に売り、できあがった清酒はすべて買い取り、レストランに卸したり直売所で販売したりした」という。

田切農産は3つの理念を掲げる。「持続できる農業」、「環境にやさしい農業」、「創造する農業」だ。現地農業が後の世代まで持続させるためには、人材確保だけでなく、土地資源の保護も必要だ。そこで紫芝さんは輪作を続けることにした。1カ所の水田で数年間稲を栽培した後、水を抜いて地面を乾燥させ、ネギを植える。できる限り原始的な方法で雑草や害虫を除去し、農薬や化学肥料を使わず、自然環境への影響を軽減させている。

東京大学農学博士の張安明さんは、「田切農産の模索と実践は、日本農業の持続可能な発展に道を切り開いた。現在、日本の農業・農村改革には2本の道がある。1本は小規模農家の土地を集めると同時に、ビジネス資本の農業参入を促し、大規模化と効率化を目指す道だ。もう1本は地域の農民が協力し農村を改革し、みんなが参加することで、みんなが発展の成果を享受するという道だ」と話す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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