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グランツーリスモとリアルモータースポーツの二刀流!令和の新世代ドライバー、宮園拓真さんの正体とは…?

レスポンス / 2024年9月27日 21時33分

レーシングゲームであるグランツーリスモの2020年、2022年の世界チャンピオンであり、現在はトーヨータイヤの社員としてモータースポーツに携わる業務を行っている宮園拓真さん。そんな宮園さんがeスポーツを志したきっかけやTOYO TIRE株式会社(トーヨータイヤ)への入社、さらには現在の仕事内容についてお話を伺った。


◆グランツーリスモがきっかけでクルマ好きに、コツコツと努力した結果、念願の世界チャンピオンを獲得


バーチャルの世界であるeスポーツとタイヤメーカー、関係ありそうでちょっと遠い存在の両者をつなげたのはグランツーリスモというゲームや、リアル/バーチャルを分け隔て無くモータースポーツをこよなく愛している宮園さんのパーソナリティだった。


そんな宮園さんがモータースポーツに興味を持ったのは物心ついてすぐのことだった。父親がクルマのレースファンで、F1やスーパーGT、D1やWRCなど、さまざまなジャンルのクルマのレースをテレビやビデオの映像で見ていたのが今も記憶に残っているという。


「すぐにクルマのレースに熱中しました。中でもD1GPはすごく好きでした。タイヤを滑らせて走る迫力は他では見られないものだったし、豪快な走行シーンに憧れたんです。そんな経験からどんどんクルマやレースが好きになっていったんです」


さらに4歳頃には早くもグランツーリスモを経験する。モータースポーツ好きの父親はゲームも大好きで、宮園さんがゲームができる年齢になるとすぐざま一緒にプレイするようになる。


「もちろん最初は遊びでゲームを始めました。父親と色々なゲームをやって楽しく遊んでいたんですが、その中にグランツーリスモがあって一気にはまりました。その魅力に強く惹かれて練習しているとどんどんうまくなっていって、数年後には父親よりもうまくなってしまっていたんです。それからは父は一緒にグランツーリスモをやってくれなくなりましたけどね(笑)」


めきめきとグランツーリスモを操作するスキルを高めていく宮園さん、中学、高校、そして大学とグランツーリスモに熱中する日々が続く。それほど彼を引きつけたのにはどんな理由があったのか?


「とにかくコースもクルマも走りもリアルさが際立っていました。これが他のゲームは無い魅力だと感じていたんです。またクルマを自分の好きなスタイルに改造できたり、パーツ交換ができるのも楽しい要素だだと思います。どんどんドライビングがレベルアップしていったのも楽しい要因になっていたのだと思います」


大学生になっていた宮園さんはグランツーリスモの世界大会が開催されることを知る、2018年のことだった。


「とにかく海外に行ってみたいのもあってこの大会に出場しようとすぐに思いました。すでにオンラインで色々なプレイヤーと対戦していましたし仲間も多くいました。グランツーリスモのランキングでも当時そこそこ上位に位置していたこともあって、世界でも戦える自信も少しはあったんです。この時にはじめてグランツーリスモを遊びではなくeスポーツとして捉えるようになったんです」


2018年の世界大会には実際に国別対抗チームの一員として参戦。しかし惜しくも4位となり表彰台を逃すことになる。この悔しさが宮園さんのグランツーリスモへの本気度が急速にアップして行くターニングポイントになる。“なぜ勝てなかったのか”“どうしても勝ちたい”そんな思いがそれまでは“遊び”だったゲームをコンペティティブなeスポーツの世界へと変貌させていく。


「勝てなかった悔しさが強かったので、勝ちきれなかった要因を分析したんです。まずは自宅でのグランツーリスモをプレイする環境が大会と異なっていたました。そこで大会と同様のシミュレーターを導入することにしました。幸いなことにレーシングコクピットのメーカーであるストラッセから機材提供を受けて環境を整えることができました。そしてもうひとつはメンタルの面でした。2019年は勝つという強い気持ちでレースに向かうことになりました」


さらに分析する中で見つけ出したのがクルマやグランツーリスモを操る上での知識量の差だった。ドライビングテクニックだけではなく、タイヤマネジメントや給油のタイミングなど、レースに勝つための情報をより深く知り全般に気を配るようになっていく。


「特にタイヤは摩耗や熱の入り方など、条件ごとに異なる状態を知ることもレースで勝つためには必須なんです。実際にプレイしているときにタイヤの状態を注目してみると他のプレイヤーよりも自分はタイヤの使い方が劣っていたと感じたんです。そこからは、どうすればタイヤをうまく使えるのかも深く考えてプレイするようになっていきました」


こうして着実に経験を積んだ宮園さんは、2020年には国別個人/チーム戦などの3つのカテゴリーで世界チャンピオンを獲得、ついに世界の頂点に立つ。世界チャンピオンになるとまわりの環境が変わっていくのを感じた宮園さん。そのひとつがリアルなモータースポーツとの関わりが生まれてきたことだった。


「ゲームだけではなくリアルなクルマも大好きです。でもモータースポーツをやるとなると費用も掛かるので二の足を踏んでいたのですが、グランツーリスモで世界チャンピオンになるとレースに誘われて出場する機会も増えていきました。そこからは少しずつリアルなモータースポーツの世界にも力を入れはじめました」


◆就職を機に念願のクルマ業界を目指す、第一志望として目指したのはトーヨータイヤ


バーチャルとリアルの二刀流でモータースポーツを楽しむという充実の時期を過ごした宮園さんだったが、学生時代も終わりを告げ就職の時期が迫ってきた。進路を考えていた宮園さんが真っ先に目指したのがクルマ業界、中でもトーヨータイヤだった。


「就職を考えた時に真っ先に頭に浮かんだのはトーヨータイヤでした。子供の頃からD1GPが好きで、そこにはトーヨータイヤのワークスチームがありました。車両はもちろん川畑真人選手をはじめとしたドライバーも好きで、トーヨータイヤは大好きなブランドでした。ここで働きたいと思ったのはそんな憧れがあったからでした。またグランツーリスモを通じてタイヤの重要性を痛感したのも、タイヤメーカーを志した理由になっています」


トーヨータイヤの面接ではこれまでのeスポーツの実績やリアルなモータースポーツに関わっていきたいことをアピール、トーヨータイヤとバーチャルの世界を結びつけることや、リアルとバーチャルの両方を知る自身の強みなどを語ることにした。そんなプレゼンが功を奏したのか見事採用が決まった宮園さん。しかも念願だった、モータースポーツチームへの配属が決定する。


「採用されたのも嬉しかったのですが、いきなり希望していたモータースポーツチームへの配属は正直驚きました。モータースポーツチームではリアルなレースのさまざまなサポートを行うので、入社すぐは学ぶことばかりだったのでやりがいのある社会人としてのスタートを切りました」


◆念願のトーヨータイヤへの就職、現在はeスポーツとリアルモータースポーツの架け橋となる存在を目指して日々精進しているところ


トーヨータイヤのモータースポーツチームとはどんな業務を行っている部署なのかをあらためて宮園さんに紹介してもらった。


「レースへの参戦、契約ドライバーへのタイヤ供給の手配、さらにはモータースポーツに関する報告書をまとめたりモータースポーツ関連のリリースを作る仕事などもあります。レース参戦ではチームの体制作りからドライバー、メカニック集め、クルマの手配からチューニングショップとの連携などを行います。これらをひとつひとつ作り上げて行くのも私の仕事です」


一方で宮園さんは入社後も積極的にグランツーリスモの大会へも参加している。そんな宮園さんをサポートする意味から、トーヨータイヤでは宮園さんのスケジュールの面などでも配慮があるという。


「グランツーリスモの大会前には十分な練習ができるように会社からは配慮をしてもらっています。社員でありながらeスポーツの大会に注力できる環境を作ってもらえるのが心強いです。またトーヨータイヤはしっかりと手続きを踏めば副業もOKなのも良いところです。そのため大会でスポンサードを受けることも可能になります。すごく良い環境でeスポーツをやらせてもらっているので、本当に良い会社に就職したと思っています」


今後も精力的にグランツーリスモの大会に出場して、トーヨータイヤのPR活動にも役立てていく予定だ。


「これらの活動を通じてリアルとバーチャルをつないでいけると思っています。eスポーツ、リアルなモータースポーツを通じてトーヨータイヤを知ってもらうことにますます力を入れていきます。自分自身がグランツーリスモの大会で活躍すること、合わせてリアルなモータースポーツの世界でレースをマネジメントしたり、自らがレースに参戦するなどして、もっとリアルとバーチャルの世界を近づけて行きます。そんな橋渡しができるのが自分の役割なのだと思っています」


最近ではスーパーFJの鈴鹿シリーズへの出場など、リアルな世界でのレース活動にも力を入れつつある宮園さん。するとこれまでもその重要性を感じていたタイヤへの思いがますます強くなっていくのを感じるという。


「タイヤって本当に奥が深いんです、グランツーリスモでタイヤの管理を行っているときには理論で突き詰めることができたんですが、リアルな世界では不確定要素が数多くあります、それらを私自身が経験して感じています。そんな経験を踏まえてモータースポーツにおいて/クルマをドライビングすることにおいてタイヤがいかに大切なのかを広く知ってもらいたいと思っています」


「目標とする内容は多いです。トーヨータイヤが手がけているニュルブルクリンク24時間耐久レースのプロジェクトを成功させること、いつかは自らもリアルなレースでドライバーとしても活躍することです。もちろんグランツーリスモで成績を残すこともそのひとつですね。グランツーリスモを世界で戦った経験を生かして、バーチャルとリアルの世界を結びつけ、トーヨータイヤをもっと広くアピールできる活動をこれからも続けていきます」


そんな宮園さんはこの週末、9月28日に東京で開催される「グランツーリスモ ワールドシリーズ 2024 ラウンド3 - 東京」へ参加予定。本大会は年間4戦で争われており、後半戦となる第3戦が、いよいよ開催だ。ワンメイクレースへの参戦やこれまでの経験を経て、さらに“バージョンアップ”した宮園さん。一体どんな走りを見せてくれるのか、楽しみにしたいと思う。


土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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